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シネマ365日

2016年1月1日

特集「新年おめでとうございます」①
ピッチ・パーフェクト(2015年 青春映画)

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監督 ジェイソン・ムーア

出演 アナ・ケンドリック/アンナ・キャンプ/レベル・ウィルソン/エリザベス・バンクス

シネマ365日 No.1617

女優のギャラをあげろ

特集「新年おめでとうございます」

新年あけましておめでとうございます。平成28年のシネマ365日、元旦のスタートはこれ「ピッチ・パーフェクト」。ガールズたちが頂上めざし、力をあわせてよじのぼっていく弾けぶりがサイコーです。女同士の友情を描くハリウッド映画は、ゆうに一ジャンルをつくるくらい製作されるようになってきました。古くは「ファースト・ワイフ・クラブ」「チャーリーズ・エンジェル」「フォーエバー・フレンズ」「フライド・グリーン・トマト」それに「天使にラブソングを」も。現在「シーズン6」迄製作され(2015年)放映中の長寿番組「リゾーリ&アイルズ」なんか、犯罪に立ち向かう、刑事と検視官が、女同士にして親友という、バリバリの友情物語です。これはヨーロッパ映画には少ないハリウッドの傾向だと思えます。「セックス&ザ・シティ」の大ヒットも、男同士であればあれほど派手に、美々しいまでに騒々しいドラマがなりたっただろうか。男社会とは上下の信頼でなりたつタテ構造が基本であって、女社会とは連帯によって成り立つヨコ社会である、と仮定すると友情の質のちがいがわかる気がしませんか▼ともあれ制作費1700万ドルの本作が、世界の興収1億1500万ドルを稼ぎだしたメガヒットです。負け犬から知恵と工夫を凝らし、頂上めざして這い上がっていく女の子たちの奮戦です。この映画がまとっているのはアメリカ映画の伝統路線に、一分の狂いもない、最強のガールズ友情物語です。「ブルージャスミン」の晴れのオスカー授賞式でタンカを切った、ケイト・ブランシェットの謝辞を引くまでもなく、ハリウッドは頭の中が石器時代の、おじさん重役たちの頑固な体験談にふりまわされず、率直に市場に学び、女性市場への取り組みを改めるべきだ。ガンガンヒットを飛ばす女優のギャラを倍増し、出演枠を広げ、彼女らの意見と提案を優先し、失敗を責めず…男だってこけた映画はいっぱいあるのに、一度でも女優がこけると再起不能なまでに叩くのは、能力のせいというより、やっぱり女はダメという、男の優越感を満足させるためではないですか▼お仕着せの役柄に反発して、というよりアホらしくなってどんどんプロダクションを作って製作に乗り出す女優たちがいます。そらそうでしょう、かつてメリル・ストリープがこぼしていました。40過ぎたら魔女の役しかオファーされなかったと。オスカー候補常連の大女優にしてこの扱いである。試しにメリルのギャラはいくらか。レオナルド・ディカプリオの半分(推定だが約3500万ドル)もあればいいほうではないか。大ヒットした「ゴーン・ガール」の製作に、リーザ・ウィザースプーンが加わっていたことを思い出してほしい。マリリン・モンローやジョディ・フォスターと同じく、能力のある女優たちが、プロダクションを設立し、結果が損だろうと得だろうと、映画ビジネスに全責任をもって乗り出していきました。裸にさえなれば、演技力など要らないという「おじさんの掟」に、しばられていなければならない理由はどこにもないのだ。ジェニファー・ローレンスやアマンダ・セイフライドが、女優のギャラが男優に比べて低すぎると批判していたのは、やる気のある女優からすれば当然と思えます。若くて才能のある女優たちが従わなければならないのは、自分の意志と夢で充分ではないでしょうか▼粗筋より、この人のことを書こう。エリザベス・バンクスです。本作ではアカペラの主人公グループに、辛口の採点をする審査員ゲイルで出演。他に「イフ・ユー・キャン・キャッチ・ミー」とか「スリーデイズ」「ハンガー・ゲーム」などに女優として出ていますが「ピッチ・パーフェクト2」で監督に乗り出し、前作に勝るヒットにしたことでハリウッドの注目を集めました。アイビーリーグのひとつ、ペンシルバニア大学を出て、明るい知的な役で順調にキャリアを築きながら、製作・監督へ踏み出しました。女優をやっていたときよりずっとシャープないい顔になっています。女が知り尽くした女性市場への、女性監督による進出はますます顕著になっています。キャスリン・ビグローのアカデミー監督賞につづいてほしいですね。サリー・ポッター(「オルランド」)やジェーン・カンピオン(「ピアノ・レッスン」)やナンシー・マイヤーズ(「恋愛適齢期」)らのベテランに続く期待組は、ブリット・マーリング(「アナザー・プラネット」)やサラ・ポーリー(「アウェイ・フロム・ハー」)、レア・フェネール(「愛について ある土曜日の面会室」)らでしょうか。女性はマジメで律儀だから自分をしばりすぎる。グザヴィエ・ドランのあの、らくらくとした「自分ふう」がいい例だと思えます。謙虚であってわがまま、わがままであって謙虚、そんな不都合な都合こそ女性の強みではないですか。

 

 

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