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シネマ365日

2016年1月3日

特集「新年おめでとうございます」③
45歳からの恋の幕アケ(2015年 コメディ映画)

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監督 グレイグ・ジスク

出演 ジュリアン・ムーア/グレッグ・ギニア

シネマ365日 No.1619

最後に笑う女 

特集「新年おめでとうございます」

2015年にDVD発売になった日本未公開映画。この映画のいいたいことは「女は我慢して男に勝ちを譲っていれば、最後においしいものにありつく」ってこと? オープニングはいいですよ、テキパキして。「リンダ(ジュリアン・ムーア)は45歳。高校の英語教師。杓子定規でなく、機知にとんだ授業で生徒の人気がある。結婚の予定はない。平凡な毎日を送っている。心がけは倹約・品格を保つ・高望みしない・落胆の人生とみなす。なんの贅沢もせず、小さな幸せに喜びを見出す。ペンシルバニアの生家の近くに家がある。リンダはでも情熱的でロマンチックな女性だ。だから独りだ。幼い頃からずっと独りだ。多感なリンダには本の世界が拠り所だった。日常生活はお寒い俗世間に思えた」思うに、リンダがこのまま本の世界に浸り、俗世間を超越したままでいれば、多少変わり者といわれる程度で、トラブルは生じなかった。それなのに「情熱的でロマンチック」な性向が頭をもたげたばかりに、この映画は始まったのである。まあみていこう▼ある夜、リンダは暴漢と間違えて若い男に催眠スプレーを浴びせる。彼は教え子のジェイソンだった。ニューヨーク大学に進学したものの、父親に脚本家の進路を反対され、法学部に転部するという。リンダは書いた脚本をみせてくれと頼んだところ、ある日の授業中、封筒に入ったそれがドアの下からさしこまれた。リンダはジェイソンを教室に招き入れ、本校の先輩、しかも名門ニューヨーク大学に合格と紹介すると、生徒たちはいっせいに憧れの視線。脚本を読んだリンダはできばえに感動、ぜひ演劇部で上演すべきだと校長・副校長を説得する。演劇部の担当教師カールは昔オーディションを受けたという役者のはしくれ、腕まくりして賛成するが、予算は厳しい。リンダは予算枠をオーヴァーしたら自腹を切ってでもやると宣言し、許可は得たが肝心のジェイソンは「高校生のために書いたのではない」と渋い顔。リンダは「何言っているの! これがデビューの第一歩よ」と励まし、ゴーした▼93分と小ぶりの映画ですが面白いです。本の世界からしか現実をみていなかったリンダが、男の身勝手にふりまわされ、いいように使われ、金を使い果たし裏切られ、あざけりのあげくクビを言い渡される。具体的にいえばそういうなりゆきだ。父親の無理解に泣くジェイソンを力づけているうちに、リンダと彼は勢いのまま教室の机でセックス。さすがにリンダは反省しきり、もう二度とああいうお付き合いはやめるといったところ、ジェイソンは調子よく、演劇部の生徒ハリーに手をだす。カールが金を無心するたび小切手を切るリンダは、とうとうカードの支払いができなくなる。学校ではジェイソンとの情事がばれ、教室のドアに「尻軽女」の落書き。リンダは解雇。カールが発作で倒れ、校長はリンダに後任を命じた。クビになったのにというと「正式にはまだ、失地挽回の最後のチャンスよ。教師魂をみせなさい」とドヤされ出勤。口汚い言葉を浴びせる男子生徒らのなかを講堂へ。そこでリハーサルだ。最後の場面が自殺では、陰惨だから変えるようにと言った校長の意見を、ジェイソンの脚本は無視。校長は怒りまくる。中止を免れるにはエンディングを変えるしかない。リンダはジェイソンに頼むが、作家気取りの彼はせせら笑いとりあわない。半端ない読書量で鍛えたリンダの読解力は、ジェイソンの脚本にある致命的な弱点を突く。怒り狂ったジェイソンは芝居を放り出し、リンダは徹夜で自分の意図する結末に改稿する▼ジェイソンは泣き言とウソばかりのヘタレ男だ。息子の正体を知っている父親はリンダに「あいつのいうことを信じたのか。法律をやりたいとは彼が自分で選んだことだ。おれはアルコール依存症でもないし、離婚はしたが女房は生きている」。発作で倒れたカールは開幕寸前にかけつけ、意気揚々とカーテンコールに現れる。リンダはひっそりと教師に復帰した。ある日ジェイソンの父が訪ね「息子と寝たというが、君は実際魅力的だ」と告白する。し、ディナーに誘う。ヒロインの生き方をキレイ事に収めず、ふんだり蹴ったりの目にあわせ、自力で立ち上がらせる、それもひっそりと。でもまちがいなくリンダに幸福は微笑む、そんなラストがいいですね。ドレスに着替えエスコートされ、車に向かうリンダに、もっさりした田舎の中年教師の風情はかき消え、ジュリアン・ムーアは地を出しています。数秒のシーンですがさすがでした。

 

 

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