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シネマ365日

2016年1月6日

特集「新年おめでとうございます」⑥
誘拐の掟(2015年 サスペンス映画)

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監督 スコット・フランク

出演 リーアム・ニーソン/ダン・スティーブンス

シネマ365日 No.1622

男は自らの掟で生きる 

特集「新年おめでとうございます」

自分でも言っているけど、リーアム・ニーソンは、いわゆる「古い」といわれる男のタイプが好きなのね。健さんみたい。寡黙で、まじめでミステリアス。群れることを嫌い、自分一人でなんでも引き受けやりぬく、ストイックな一匹狼。たいていの場合、彼は心に傷をもち、贖罪を自らに課している。本作の主人公、スカダー(リーアム・ニーソン)は8年前までアルコール依存症だった。昼間からバーで酒を頼み、飲んでいるところへ踏み込んだ強盗二人組みを追撃して射殺したとき、あやまって少女の左目を撃ち抜き即死させた。もし酒を飲んでいなかったら、弾を外すことはなかった…そんな良心の呵責が、彼に警官をやめさせ、酒を絶たせた。いまは免許のない私立探偵だ▼断酒会で知り合ったピーターがスカダーに仕事をもってきた。依頼主は彼の弟のケニー(ダン・スティーブンス)。ドラッグの仲介人をやり大金持ちになった男。スカダーは断るが、事情を聞いて引き受ける。ケニーの妻が誘拐され、身代金40万ドルを払ったにもかかわらず死体で発見された。殺され方がむごたらしかった。体は寸断され、いくつものビニール袋に包まれ、車のトランクに詰め込まれていた。犯人は二人組の凶悪な異常者、レイとアルバートだ。バンに乗って町をまわり獲物を探す。ふだんはごく普通の市民を装いDEA(麻薬取締局)の者だと名乗っている。犠牲者はあいつぐ。市営墓地のゴミ捨て場にビニール袋に詰められ、墓地公園の池に浮いた白いビニール袋の中に、乳房をえぐられ、手足を寸断された、えげつない手口で。優秀な女性DEA捜査官マリーも犠牲になった。レイとアルバートはDEAのリストから、犯罪に手を染めているゆえ、被害にあっても警察に訴えられない立場の者を標的にしていたのだ。そこへ新たな誘拐事件。ケニーの友人でありドラッグの売人である、ダニエルの14歳の娘ルシアが誘拐されたのだ。スカダーはダニエルの依頼を引き受ける▼スカダーが交渉人となり、少女の無事を確認し、現金と人質の交換にこぎつける。警察とは無関係なスカダーの取引条件は、娘さえ無事で返したらあとは勝手にしろ、お前らの好きな変態殺人だろうとなんだろうとおれには関係ない、だった。交換は無事終わり、一件落着となるはずのとき、二人組は身代金の一部が偽札であることに気づき、銃撃戦となる。ピーターが射殺されレイとアルバートは車で逃走した。隠れ家にもどったアルバートは、銃弾をくらい足手まといになったレイを絞殺する。スカダーの助手の、黒人少年JTの機転で、隠れ家に到着したスカダーとケニーはアルバートをパイプ棒でなぐり倒し、手錠でしばりつけ、あとをケニーに任せてスカダーは隠れ家を出た。JTをタクシーで帰したものの、気になったスカダーが隠れ家に戻ると、手錠を外したアルバートはケニーを殺し、スカダーに襲いかかる…▼アルバートの殺人鬼ぶりが怖いです。隠れ家にある大きな肉きり包丁や、拷問の責め具、ハサミ、針、不吉な金具、廃屋のなかでそれらの金属が不気味な光り方をする。殺傷した遺体は具体的には映らないのですが、小道具や部屋のライティングや、空気、極端にアップにした女性の体の一部などで、異常な状況をかきたてます▼スカダーは、サム・スペードやフィリップ・マーロウのようなハードボイルドのスター探偵ではありません。うらぶれた中年男のあわれさをにじませ、妻も子も家族もいない独身者、着古したジャケットの襟を立て、底の減った靴で大股に歩く。ケータイもパソコンも使えないアナログ人間です。ドロップアウトしていても彼は誇り高い。道徳的な是非を厳しく問い、悪を許しません。彼は誘拐犯に言う。「人質を殺したらお前たちを殺す。一生おびえて暮らせ」。殺されたケニーは麻薬の仲介人だった。ダニエルは密売人だ。立派な犯罪者だ。しかし彼らにも愛する妻や娘がいる。彼らよりひどい悪があるなら、彼らの側に立って闘うのが筋だ、スカダーはそう考える男だ。自分の掟で判断し、動き、生きる。リーアムが似合うのはそういう男なのですよね〜。

 

 

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