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シネマ365日

2016年1月11日

特集「新年おめでとうございます」⑪
リピーテッド(2015年 ミステリー映画)

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監督 ローワン・ジョフィ

出演 ニコール・キッドマン/コリン・ファース/マーク・ストロング/アンヌ=マリー・ダフ

シネマ365日 No.1627

見ようによっちゃ純愛 

特集「新年おめでとうございます」

ニコール・キッドマンとコリン・ファースは「レイル・ウェイ 運命の旅路」に続く共演、マーク・ストロングは「記憶探偵と鍵のかかった少女」につぐ記憶障害サスペンスへの出演。この3人が主要人物で、あとひとり、ヒロインの女友だちクレアがからむ程度。この少人数で殺人事件ならたちまち犯人はわかってしまうだろうけど、本作はそうはさせない。記憶を失うことによって自分がだれかわからなくなる、その恐怖をていねいに描いています。ヒロイン、クリスティーンにキッドマン、夫ベンにコリン・ファース、医師のナッシュにマーク・ストロング、親友クレアにアンヌ=マリー・ダフ。映画は冒頭キッドマンの、眼球の血管まで見えるドアップで始まります。なにゆえ最近のキッドマン映画はアップが多いのでしょう。全体を映すと、別人に勘違いされるほど顔が変貌しているからか。いや、余計な考えはカット▼クリスティーンは事故の障害で記憶が1日しかもたない。夜眠ると翌朝は昨日までのことを忘れ、覚えているのは事故にあうまでの、26歳のときの自分しか思い出せない。彼女は現在40歳。14年間の空白をかかえている。だから夫のベンは毎朝自己紹介から始める。「僕はベン、君の夫だ」と。そして一日の予定を紙に書き出し出勤する。彼は教師だ。ベンの留守中、ナッシュと名乗る医師から電話がかかり、クリスティーンが毎日のできごとを映像に撮り、日記にしていると言い、その隠し場所を教える。映像日記によればクリスティーンはある日暴行を受け、瀕死の重傷を負ったこと、場所はホテルでシーツだけをまとった全裸だったこと、精液は発見できなかったことなどを知る。自分が残した日記を頼りに、クリスティーンは過去にさかのぼり、何が起こったのかを知ろうとする。事故のあとベンは自分を離婚したがまた戻ったこと、息子がいたが8歳で死んだことなどが、薄皮をはがすようにわかってくる▼クリスティーンが不倫していて、相手はマックスという男だったとか、ナッシュ医師の名前がマックスだとか、ベンによれば、クレアがクリスティーンから去ったのは、親友の記憶喪失に耐えられなかったからだとか、どことなく胡乱な状況が劇中で語られ、ヒロインを取り巻く人物すべてが、彼女を陥れようとしている、そんなふうに進展します。クリスティーンはクレアと会うことにした。クレアは正直で誠実な友だちで、記憶を失った妻の介護でたいへんなベンをなぐさめるうち、一度だけ関係したとうちあける。クリスティーンも(そういうこともあるかも)と許す。1日しか記憶がもたないのだから、明日になれば忘れているのですが、ビデオカメラに残しておくという方法があったから、いやでも思い出すわね。1日で忘れる「記憶のその日暮らし」も悪くないだろうけど、クリスティーンにとっちゃそうはいかないのね。気の毒ね▼クレアとベンは当然お互いの顔を見知っている。ここに隙があった。クレアの知っているベンと、現在のベンが同一人物であることをクリスティーンは疑わなかった。自分の知っているベンに会ったクレアはクリスティーンに電話し驚きの事実を伝える「ベンは4年前あなたと離婚し、その後一度も会っていないというのよ。あなたの今のベンって、だれ? 背は高い? 髪の色は何色? 頬にスケートで怪我した時の傷跡はある?」そして叫ぶ「あなたがいっしょに暮らしている人は別人よ!」映画は急展開。コリン・ファースは陰気な、変質者みたいな顔をして、じわじわキッドマンににじりより、質問しようとする妻を殴ったり、投げ飛ばしたり、バイオレンス男に急変します。殴られた記憶がよみがえり、キッドマンは事件の当日を思い出す…ベン、じつはベンの友人マイクがいうには「事件後ベンは君を棄てた。ぼくは病院から君をひきとり、14年間ともに暮らした。目的は君の世話をし、愛することだった」というから、マイクは友人の妻に恋していたのね。叶わぬ恋。でも事故で記憶障害になった妻を友人は離婚し、病院に置き去りにされたクリスティーンをマイクはひきとった。でも14年間毎朝初対面の挨拶で始まる生活にマイクは疲れた。わからんでもないが今ごろ言うなよ。結果としてクリスティーンは生きていた息子との再会によって記憶を取り戻す、夫も元に戻る、マイクは刑務所に行く、万事解決。う〜ん、悪くはないのだけど、マイクを刑務所に放り込んでおしまい、というところに「アザーズ」のような哀惜がないね。マイクの献身って、変質的かもしれないけど、妻を棄ててホイホイ安全圏に入った夫に比べたら、見ようによっちゃ、純愛じゃないの?

 

 

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