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特集「美魔女」

2016年1月20日

特集「美魔女2」② クリスティン・スコット・トーマス2
ルパン(2005年 アクション映画)

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監督 ジャン=ポール・サロメ

出演 ロマン・デュリス/クリスティン・スコット・トーマス/エヴァ・グリーン

 

シネマ365日 No.1636

骨の髄まで 

ルパン(2005年 アクション映画)

ご存知モーリス・ルブランが生み出した稀代の義賊、アルセーヌ・ルパンの「カリオストロ伯爵夫人」が原作です。ヒロインの伯爵夫人にクリスティン・スコット・トーマス。マリー・アントワネットが巻き込まれた有名な「首飾り事件」が物語のベースにあります。マリー・アントワネットは甘い蜜のような存在で、彼女をめぐる陰謀と毀誉褒貶はいくつもありますが、「首飾り事件」はその最たるもの。大作家の創作意欲をかきたてアレキサンドル・デュマが「王妃の首飾り」を、ゲーテが「大コフタ」を書きました。簡単にいうと豪華な首飾りに端を発した詐欺事件です。首謀者ラ・モット伯爵夫人は王妃と自分が昵懇の間柄であると思わせ、ロアン枢機卿なる人物に首飾りの代理購入をもちかけた。枢機卿は王妃にのぼせていたから、念願の王妃との謁見をかなえてくれたらと条件をだすと、伯爵夫人は大胆にも娼婦を王妃の替え玉に仕立て枢機卿と面会させた、枢機卿は王妃の所望であると信じて首飾りを購入、伯爵夫人に渡した▼なんでこんな話をくどくど書くかというと、事件が発覚したとき伯爵夫人は枢機卿と親しかったカリオストロ伯爵も一味であると画策し、カリオストロは事件とは無関係なのに逮捕された、彼がヒロインの父親にあたります。このカリオストロという男がまた実在の詐欺師で、医師だとかオカルト研究家だとかでたらめの肩書で上流社会にとりいろうとした。ルブランはその娘であるという架空の伯爵夫人を設定したのですから、当然まともな女であるはずがない。身も蓋もない言い方をすると、義賊だとか怪盗紳士だとか体裁はいいですが、ルパンも殺人が嫌いであるが、本業は泥棒であり詐欺師である。だからこの映画は腕の良い泥棒同士の騙し合いです。本作の舞台は20世紀初頭ですから、アントワネット時代から100年以上たっている。カリオストロ伯爵夫人は若さを保つ秘薬を飲み、かわらぬ容貌を保っていると劇中ありますが、本人は「母親とそっくりなだけよ」と一笑に付します。しかしところどころあやしげな緑色のクスリを飲み、ひょっとして本当の魔女かという思わせぶりなシーンがあります▼ルパン・シリーズの初期の作品ですからルパンも若いです。少年時代に泥棒である父親から格闘技を教えられ、成長したルパン(ロマン・デュラス)は鍛え上げた運動神経で神出鬼没。手品のように高額商品を盗み取る。本作はカリオストロ伯爵夫人ことジョゼフィーヌと、ルパンと、怪人物ボーマニャンが三つ巴となって修道院に隠された財宝を狙うお話を縦糸に、少年時代顔を岩石でつぶされ惨殺されたルパンの父親、幼なじみのルパンの従姉妹クラリス(エヴァ・グリーン)が横糸となってサスペンスを織りなす。クラリスはルパンの子を身ごもりますが、ルパンはジョゼフィーヌとの情事に余念がない。お互いに相手を裏切るのは時間の問題だと承知しながらですが。ボーマニャンという謎の男は、ルパンの敵か味方か。彼のからみが映画を面白くしています。演じるのはパスカル・グレゴリー。「この人、あの映画でもこの映画でもみたわ」とすぐ思い当たる渋い脇役です▼クリスティン・スコット・トーマスは「わけあり」の女をやるとピッタリですね。ツンとした硬質な顔立ちが、生き生きと精彩を放つ(笑)。オスカーにノミネーされた「イングリッシュ・ペイシェント」もよかったですが、最初の衝撃作は「赤い航路」でした。夫役ヒュー・グラントがはまってしまった人妻エマニエル・セリエを、横からあっさり頂いてしまうヒューの妻。監督のロマン・ポランスキーは、恋や愛は、なんの説明も海図もない、予測不可能な「航路」だといいたかったのでしょうし、突発的な衝動をほとんど無言で演じたトーマスが出色でした。それにくらべたら本作はよくしゃべりますね、ニコリともしませんが(笑)。クラリスはルパンの息子ジャンを産むが、ルパンは相変わらず泥棒稼業である。事件のトバッチリをくってクラリスは死に、ジャンが奪われる。それから十数年。すっかり中年になったルパンは大仕事に手を出すが、同じくジョゼフィーヌもひともうけを狙っていた。ふたりは再会するが、彼女が相棒に育て上げた青年こそ、ジャンだった…ジョセフィーヌの陰険な復讐ということでしょうか。トーマスは「オンリー・ゴッド」のあと、役が限られてきたことを理由に映画にはでないと表明しました。年齢によって女優の役が制限されるというのは、確かにあるものの、過去の事実となりつつあります。イングリッド・バーグマンも言っているじゃないですか。「何歳であろうと演じることはできる。それにクリスマス前になればぜひ魔女役が必要だ」これはガンと闘病中、自伝を書いていたときの言葉です。クリスティン・スコット・トーマスも、骨の髄まで女優であって、本物の魔女になってほしいくらいの女優のひとりです。

 

 

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