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特集「美魔女」

2016年1月31日

特集「美魔女2」⑬ マルーシュカ・デートメルス 
肉体の悪魔(1986年 恋愛映画)

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監督 マルコ・ベロッキオ

出演 マルーシュカ・デートメルス

 

シネマ365日 No.1647

なんぎな女 

肉体の悪魔(1986年 恋愛映画)

原作はレイモン・ラディゲですが、マルコ・ベロッキオ監督は原作の時代を現代に移行した時点で、主題をあっさりマルーシュカ・デートメルスという「肉体」にフォーカスしました。彼女を初めてみたのは「ラ・ピラート」でした。その直前に「カルメンという名の女」を撮っている。つまり、彼女は21歳、22歳、24歳でジャン=リュック・ゴダール、ジャック・ドワイヨン、本作のマルコ・ベロッキオと、ヨーロッパを代表する監督の主要作品に出演したことになります。まことに幸運な女優だと思えます。「ラ・ピラート」の共演は、当時すでに人気実力とも定着していたジェーン・バーキンでした。ヒロインは彼女のほうだと疑わなかった。映画が始まるとまだ22歳だったマルーシュカがベテラン、ジェーン・バーキンを押し気味である。タジタジする芯の強さはどっちもどっちなのですが、マルーシュカは冷静な中にも、女に対する迷いのない愛を力強く演じていました▼本作のマルーシュカは、獄中のテロリストの婚約者・プルチーニの出所をまつジュリアです。冒頭屋根から投身自殺を試みる黒人の女性が登場する。オレンジ色の瓦屋根がどこまでも続く平穏な風景の端っこに、よろめきながら現れる。高校の窓からは詩の朗読が聞こえる。自殺をとめようと大騒ぎになり、眠っていたマルーシュカは目が覚める。昼近くまで寝ておれる身分である。マルーシュカは黒人のあわれな境遇をみてとり思わず涙を流す。情にあふれたマルーシュカの視線に心を溶かしたように、黒人女性の目からも涙が流れ、我に返った彼女は自殺をとりやめる。もうひとり、高校の教室にいたアンドレアがマルーシュカに一目惚れ、彼女をストーカーして裁判所までバイクを走らせる。ある日ジュリアがひとりで傍聴に来た。改心しない者が入れられた檻で、一組の男女が「もぞもぞしている」と、マルーシュカは隣に座ったアンドレアに気づかせる。とんでもないことを始めたとわかった警官たちは、檻に駆け込んでふたりを止めようとするが、仲間たちは警官を近づけさせない。マルーシュカは「最後までさせてあげて」と叫び、びっくりしたアンドレアは彼女の腕をつかみ法廷から飛んででる▼アンドレアの父は精神科医でジュリアは元患者だった。カウンセリングを受けに来て全裸になり、鍵を庭に放り投げて誘うような「異常者」であり、危険な女だから身を引けと息子に言う。とはいうものの親父もまた並々ならぬ関心をジュリアに抱いていることが、男同士として息子にはわかる。ジュリアにのぼせあがり気味な男たちに比べ、ただひとり冷静なのがジュリアの義母、つまり婚約者の母のプルチーニ夫人である。夫人はジュリアが奔放な多情な女だとわかっている。男を引き込むのは時間の問題だと見当をつけている。案の定ジュリアは忍び込んできたアンドレアと早くふたりきりになりたくて、体よく義母を送り出したのに、理由をつけて戻ってきた義母にむしゃくしゃし、贈り物の高価な皿を割る。義母とフォーマルを代表する存在であり、ジュリアはインフォーマルの代表なのだ。水と油であるから合うはずがない▼父は父でこういうのだ。「父さんの人生は平凡かもしれないが誠実に生きてきた」。婚約者のプルチーニもテロ活動からあっさり身を引き、面会にきたジュリアに「平凡であることが誇りだ」と言う。ジュリアは聞いているのかいないのか、彼の股間をせっせともんでやるのだが、しまいに男は「痛いよ、もっとやさしくしてくれ」。平凡で誠実に生きることを人生の指標にする男にとってジュリアは悪夢である。そのうちアンドレアも匙を投げるだろう。ジュリアという女は、いっしょにいる人間をひとつも落ち着かせてくれないのだ。刺激的であるとはなんとくたびれることだ。ちょっと男にためらいが見えると「わたしがイヤになった?」とか、いちいち「寝かしつけて」なんて注文の多い女、アンドレアが高校生だから相手になっているヒマがあるかもしれないが、仕事においまくられている忙しい男に務まる話ではないでしょ▼プルチーニ夫人にいわせたら「運命を狂わす魔性の女よ。悪気はないのだけど奔放なだけです」なのだが、そんな女に限って好きになる男がいるのだ。おだやかな日常では満足しない女、彼女が「イッチョ噛み」するとすべてコトが面倒になる女が。アンドレアの卒業試験の口頭試問の日。クレオンとアンティゴネーの愛と法の在り方について、試験官の前で自説を述べる。そこへジュリアが現れ教室の後ろにすわる。釈放された婚約者ではなく、ジュリアはアンドレアの元へきたのだ。高校を卒業したアンドレアは大学に進学するのか、仕事するのか知らないがジュリアといっしょに暮らすことになろう。さわらぬ神に祟りなし、という古今の真実を男は知るべきだ。ふたりの先はみえている。愛とは罪なものだからね。マルーシュカは全裸シーンを二度、ヘアもあっさり見せていた。

 

 

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