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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2016年2月7日

特集 LGBTー映画にみるゲイ169 
晴れ、ときどきリリー(下)(2010年 ゲイ映画)

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監督 ファビアンヌ・ベルトー

出演 ダイアン・クルーガー/リュディヴィーヌ・サニエ

 

シネマ365日 No.1654

リリーのすべて

(承前) 

家の敷地は広い。妹は「リリーの事務所」という小屋をつくり、ネコの尻尾をつけたキーホルダーとか、毛皮のパンツとかスリッパとか、なにやら自然素材の小物を作っている。ミシンをかけるのはうまいものである。近所の高校生くらいの男子4・5人が、バンのなかで大騒動。クララが騒音に気づきやってくると、リリーはセックスの最中である。クララはほうきでバンの腹をガンガン叩き「警察を呼ぶわよ! バカ! 出て行け」クララもワイルドになってきました。「遊んでいただけよ」と妹。「あれが遊び? やらせたいの? 事件になるわよ」「わたしの体にひきつけられたのよ」「あなたにはうんざりだわ」ぷりぷりしながら「リリー、おふろに入りなさい」「背中流して。クララママ。ママの服を着ないで、キモいわ」クララは発作的にリリーのアタマをお湯に沈め殺しかける。そうそうピエールの母親の愛犬チワワが行方不明になった。さんざん探したが見つからないまま帰った。クララは妹が怪しいと決めつけ、冷蔵庫を調べたがなにもなかった、そのまま忘れ、ある日洗濯物を集めに妹の部屋に入ったとき、布の包からイヌの足が出ているのを見て声も出ない。「わたしの人生が失敗だったとしたら、あんたのせいよ」とクララは妹に怒鳴る。「あんたが大変な子だったから、せめてわたしのことで親を心配させまいと優等生になったのよ」「わたしは姉さんを救っているのに」「救っている? なにから? ひとりで生きていけないくせに。イヌを見たよ!」「ママみたい。怒ってから泣くのよ」クララはリリーのむなぐらをつかみ階段から突き落とすと、転げ落ちた妹はどこかへ行方をくらましてしまった▼クララは妹を探しまわるがどこにもいない。一睡もせず夜があけ、気がつくと台所が食い散らかされている。帰ってきたのだ。クララは「リリーの事務所」に一目散にかけつける。妹は高いびき。クララはとびかかり妹をだきしめ、早口になにかいいながらキスの雨をふらせる…ふつうならブン殴るところじゃない。クララの受難は続く。つくづく苦労性な子である。夫がリリーを無視するとクララは不機嫌になる。旦那の神経のほうがよっぽどまともだと思うけど。リリーといっしょに散歩にでると「泳ごうよ」と言う。水着がないとクララ。そんなもの、とリリーはスッポンポンになって川にとびこむ。クララはブラとパンティはつけていっしょに水浴びする。週末に夫がきた。リリーをつれてピクニックに行く。何組もの家族が集まる公園である。イヌがやってきてリリーの腕をなめた。「ヨダレを垂らしたわ」とリリーがなじる。「暑いからよ」向こうの家族は自分のイヌの味方である。しょうもない言い合いがあり、ピエールが「もういい」と終わらせる。「妹が正しいわ」とクララ。「かばうのかい。問題だな」と旦那。す・る・と…クララは夫に「あなたはバカだわ。とうとう言えたわ!」ここに至り思う、姉はリリーに、植民地化された!▼離婚である。姉妹は桟橋に足を垂らし、アイスクリームを食べている。どっちの足がどうなのか知らないが、片方の足をからめたりしている。アイスクリームを舐めるクララは、目を伏せ物憂げである。こんな妹がいたら物憂げにならないほうがおかしい。朝。なんとリリーがトレーの朝食をクララのベッドに運ぶのだ。寝させて、という姉に「3日間眠り続けよ。仕事しようよ」と耳を疑うようなことを言う。この張り切りようはなんだ、姉が離婚したとたんマトモになったのだ。リリーは生き生きと草木染めやら、動物の革でこしらえた小物やスリッパや、自然食のジャムをこしらえ、ふたりはワゴン車ででかけた。道端にとめ、手作り雑貨に自然食品を並べたら、珍しがった女性ドライバーたちが残らず買っていった。「このあとどうする?」「そのうちわかるわよ」ことわっておくと、前者の心配気な発言がリリーで、後者のふてくされた発言がクララだ。キャラがいれかわってしまった。天気のよい日。クララは手足を思い切り延ばし、リリーがそばにくっつくようにして眠っている。ふたりが寝転んでいる植え込みはハート型に刈り取ってある(笑)。母親を失ったときからがクララはリリーのすべてになったのです。クララは無意識のうちにそれがわかっていた。クララにしたら(もうなるようにならせるしかないわね)って感じ。諦観という形になった愛が、透き通っています。

 

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