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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2016年2月12日

特集 LGBTー映画にみるゲイ174 
ファム・ファタール(2002年 ゲイ映画)

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監督 ブライアン・デ・パルマ

出演 レベッカ・ローミン/アントニオ・バンデラス/リー・ラスムッセン

 

シネマ365日 No.1659

デ・パルマの楽しさ 

してやられるけど後味のいい映画だわ。オチのあとでもうひとつオチがあるのね。ブライアン・デ・パルマは劇中にラストのヒントをいくつか与えているけど、そういうのは得てしてあとで思い当たるものでしてね。彼のほとんどの映画がそうであるように、騙し方に嫌味がないわ。ヒロインのファム・ファタール、ロールを演じるのはレベッカ・ローミン、その相方ヴェロニカをリー・ラスムッセン。元パパラッチのカメラマン、ニコラスにアントニオ・バンデラス。レベッカとリーはどちらもモデル出身です。ロールはショートヘアの金髪だけ見せ、半裸でベッドにねそべっています。泥棒チームのボス、ブラック・タイが「ラリっている場合か」とひっぱたく。隠微かつ緊迫の犯罪ムードがたちこめるオープニングです▼ロールそっくりの女性が自殺するとか、彼女になりすまして追手をのがれアメリカに逃亡するとか、15年後にロールは大使夫人となってパリにやってくるとか、ムショいりしたブラック・タイが刑期を終え娑婆に出てくるとか、ニコラスが相変わらずしがない街頭カメラマンをやっていて、ところが彼の撮った写真が特ダネとなってロールの運命を変えるとか、つぎからつぎとめどなく続く、盛りだくさんなエピソードは本作の魅力です。いかにもまことしやかで、デ・パルマ・マジックにうまうまと乗せられる、というより、観客は監督がどうせなにかたくらんでいることはわかっていますから、とりあえず流れにまかせていこうというノリになります。一言でいうと、ロールが相方のヴェロニカとなにをするのか、にこの映画はつきるのです。盗みの舞台はカンヌ国際映画祭会場。レッドカーペットに登場する超一流の俳優たち。ブラック・タイが狙うのは女優ヴェロニカがつけた蛇のビスチェだ。上半身ハダカの体に、金色の蛇が身をよじらせて乳首にあたるところを隠し、くねくねと肩、手首、お腹にまといつく形。蛇身のあちこちに、全部で385カラットのダイヤがちりばめられており、金額にして1000万ドル。どうやってこのお宝を盗むのか▼報道カメラマンに扮したロールが、カメラを手にヴェロニカに近づく。180センチのロールの姿態は人目をひかずにはいない。ヴェロニカは一瞬でロールに惹きつけられる。シャッターがバシャバシャ切られているさなか、ロールは大胆にヴェロニカの耳に唇をつけてささやき、ふたりはす〜と離れる。ヴェロニカはトイレに。影のように追ってきたロールと抱き合いますが、ロールはこれからが仕事。愛撫しながらひとつ、ひとつ、手首、胸、首とビスチェを外し足下に落とす。隣のトイレにいるのがブラック・タイで、彼は素早く足下のビスチェを偽物とすりかえるのです。超アナログの方法には笑ったわ▼あんまりヴェロニカのトイレが長いものだから、ガードマンが「ヴェロニカさん、どうかしましたか」ブラック・タイはあわててビスチェをかき集め、ガードマンが発砲、弾はブラック・タイに当たり彼はロールに「逃げろ」という。ところがロールが「逃げるのよ」という相手はヴェロニカなのだ。「みろ、全部ガラス玉だ」という声が背後でする▼最後のどんでん返しまでに、監督はいくつかのヒントを与えています。まず劇中しばしば現れる時計。時刻はいつも3時33分です。出所したブラック・タイが、撃たれたときの血だらけのシャツを着ている。ムショ入りしたときのままの服装はよいとしても、赤い血がそのままの色である。14年も時間経過があるのにロールはひとつも年をとっていない。ロールとヴェロニカがカフェで再会しますが、このシーンの直前に本作のいちばん大事なシーンがはさまります。な〜んだ、種明かしはそうだったのか、と思うと大間違い。最後のどんでん返しが待っています。ヴェロニカはカフェで「ロール、あんたにあうのはこれが最後よ」と言う。あのとき床にちらばったのがみなガラス玉だったのなら、本物はどこに? ダイヤは取り替えられたのではなかったのか? ロールはアメリカ大使夫人になっていたのか? 復讐の鬼ブラック・タイはついにロールとヴェロニカを追い詰める。おわかりですね、ロールとヴェロニカは主犯と共犯者なのです。でも陰惨な結末ではありません、最後まで楽しめます。

 

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