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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2016年2月26日

特集 LGBTー映画にみるゲイ188 
エヴァとステファンと素敵な家族(2000年 ゲイ映画)

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監督 ルーカス・ムーディソン

出演 リーサ・リンドグレン

 

シネマ365日 No.1673

人生はお粥のようなもの 

1970年代、フラワームーブメント「ラブ&ピース」全盛期の時代、若者たちが男女平等、フリーセックス、同性愛、既存の価値観と異なる生き方と自由を求め、理想郷を作ろうとコミューン「トゥゲザー」で共同生活をしている、のがこの映画の舞台です。そこにいる弟ヨーランのもとへ、DVの夫から逃れたエリザベート(リーサ・リンドグレン)が、娘エヴァと息子のステファンを連れ、転がり込んでくる。共同生活の一端はこうだ。キッチンで数人が食事中。「君のパーツに目がいく、なんとかしろ」と言われたアンナは、下半身のヘア丸出し。「見なきゃいいでしょ。締め付けると悪いの。風に当てないといけないのよ。見たら目が汚れるの? 隠すべきものなの?」という調子だ。隣人は窓からながめ「やつらのアカの仲間がまたきたぞ。正気か。ひとつ所に大勢で暮らして」と気色ばむ。ステファンはママといっしょの部屋、ひとりになりたいエヴァは物置を与えられた。この家はテレビもみない、肉も食べない、クリスマスも祝わない、もちろんプレゼントもない。子供たちは奇妙な大人たちに囲まれ、自閉気味。ただひとりママだけは、毎日の家事、口うるさい夫から解放され、アンナの誘いに応じ、いっしょに酒を飲み、踊り、歌っていちばん先に溶け込んだ▼アンナは「政治的理由でレスビアンになった。男根主義に抵抗している」。ハウスの女たちは「理屈はわからないけど、母みたいな生き方はイヤ」「本能的に感じるの。主婦より自由に人生を生きたいって」それに対し、クラッセは「僕は主婦になりたいよ。夫を見つけなきゃ」彼はゲイだ。彼はラッセに言う。「ぼくたちはいいカップルになれる。お粥のようだ。最初は小さなフレーク。バラバラで壊れやすい。まぜあわせるうちに融け合って、見分けがつかなくなる。少しも孤独じゃなく、大きなものの一部になる。人生はお粥だと思わないか」。ラッセは「興味ない」とクラッセを拒否していた。「同性愛の男が怖いンだろ。男もいいものだよ。君の奥さん(アンナ)は何かがわかっている。男と女は区別できない、同じ人間なのだよ」。「わかった、試してみる」とラッセが言い、ズボンをずりおろす。「時間は1分。僕を勃たせたら君の勝ち。ダメなら僕はノーマル。好きにしろ」さてどうなる。結果はあとでわかります、彼らはすっかり意気投合します。エヴァは隣家の男の子と仲良くなった。熟女に誘惑された彼はふりきってエヴァの部屋に来て「泊めてくれる?」。エヴァは承知、なにもしないで寝る。ステファンは父親を訪ねて家に戻るが、ゆきちがいになって会えない。家族であれ、他人であれ、愛しあうとは、かくも障害のある面倒なものだと監督は言っているようだ▼夫がエリザベートを迎えに来た。妻は「ここが好きなの。二度と主婦に戻るのはイヤ! ダメ亭主の面倒をみるのもイヤ!」と突っぱねる。夫は「酒を飲まない、台所も手伝う」と懇願する。アンナは「その手に乗らないで」と物陰から言う。で、どうなったか。夫は一泊し翌朝妻が目をさますと、甲斐甲斐しく朝食の支度。すっかり仲はもどり、エリザベートは満足そう。スウェーデンでも「夫婦ケンカはイヌも食わない」ということわざはあるのだろう。雪がつもり、ハウスの一同は大人も子供も、外に出てサッカーに興じる、堂々たる予定調和。ルーカス・ムーディソン監督は「ショー・ミー・ラブ」に続く二作目です。一作目は少女の世界でした。本作では大人の世界になっていますが、とんがっていたのは一作目のほうでした。よくはわからないけど、自分たちはなんとなく世間体の悪い状態を選んだらしいと、感じていた少女たちが、あっさりその世界に入っていく。本作ではセリフのうえでこそ「男も女も人間は同じだよ」と、大事なことが語られますが、説明になってしまって残念だった。少女ワールドは強いな(笑)。「素敵な家族」というのは、エヴァとステファンを取り巻く大人たちの共同体のことでしょうね。ルールを守らなかったり、共同生活がいやになって出て行くカップルもいましたから、監督は全面的に肯定しているのではないだろうけど、ラストの「めでたし、めでたし」の収め方はかなり退屈でした。

 

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