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特集「ベストコレクション」

2016年3月6日

特集「春の麗らのベストコレクション」⑥ 
マジック・マイク(2013年 恋愛映画)

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監督 スティーブン・ソダーバーグ

出演 チャニング・テイタム/コディ・ホーン/マシュー・マコノヒー

 

シネマ365日 No.1682

夜のアポロたち 

踊るギリシャ彫刻。ンもう素晴らしい。映画がどうの、こうの、などと講釈垂れる前に、男たちの肉体の美しさに見惚れるわ。制作費たった700万ドルに対し、興収1億6700万ドルのバカ当たりは、妖しい腰のフリにヨダレを垂らした肉食女子が、あとさき見ずにかぶりついた結果だったのではないでしょうか。監督はスティーブン・ソダーバーグ。映画の中身は堅実なお話です。ソダーバーグ好みの人物の陰影はくっきり。女と金とサクセスに欲望する男たち。そのセッションのなかで、自分の生き方を決める運命の岐路はどこに、だれとある。自称・青年実業家のマイク(チャニング・テイタム)は、男たちが華やかなダンスと肉体を競う、レヴューの世界で、マジック・マイクと呼ばれる人気ナンバー1のダンサーだ。店の経営者ダラス(マシュー・マコノヒー)の右腕でもある。19歳の青年アダムと知り合い、彼にショーマンの才能を感じたマイクは、クラブに連れて行き、人気ストリッパーに育て上げる。地道な医療事務に携わる、アダムの姉ブルック(コディ・ホーン)は、たったひとりの弟の将来に不安を覚える▼映画のみどころは、もちろんテイタム君ですよ。鍛え上げたボディは芸術的だ。それにまして…余計なことを付け加える前に、振付のアリソン・フォークのインタビューを聞こう。彼女はマドンナのワールドルアーの振り付けもやっているカリスマです。「出演者たちにまずダンスの基本を学んでもらった。全身をセクシーにくねらせるボディ・ロール、回したり突いたりする腰の動き、セクシーに見える服の脱ぎ方」。聞いているだけで「くねくね」のシーンが目に浮かんでくる男性版バーレスク。消防士や警官などの特徴的な衣装でキャラを固定し、制服を一瞬で脱ぐとムキムキのお尻。ステージに仰向けの男たちの糸のようなTバックには、女性客から差し込まれた1ドル札がぎっしり。女たちの濡れるような愛と注目を一身に浴びる男たち▼テイタム君のダンスもショーは正統派。華やかなステージにクレージーな彩りを注ぎこむのがこの人、マシュー・マコノヒーなのだ。彼が現れるとテイタム君が純情そのものに見えるから不思議。クラブの経営者ダラスはいずれフロリダに拠点を移し大々的に店を発展させたい野望に燃える。そのためには有望なストリッパーは常に予備軍を補充していかねばならない。今はマジック・マイクが人気絶頂だが、いずれアポロのような肉体も、二の腕の筋肉はたるみ、太ももはタブタブ、腹が出て凋落は隠すべくもない時期がくる。ダラスが目をつけたのはアダムだ。朴訥な地元の青年だったアダムは、先輩のマイクはもちろん、仲間からも好かれ、順調に人気者になっていった。しかしよくあることとはいえ、ドラッグに足をすくわれる▼マイクは姉のブルックから冷たい目で見られていたが、自分は将来実業家となって会社を経営する、体が衰えてくるとこの仕事はいつまでもやっておれない、と冷静な判断を示し、ブルックは「弟をお願いね」と託す。ところがアダムがドラッグで大失敗、支払いの厳しい取り立てを食い、マイクは事業設立資金にコツコツ貯めていた貯金をはたいて弁済してやる。アダムはところがこうきた。「あんたには感謝しているよ、マイク。3ヶ月前おれはチンケな雑魚だった。いまはどうだ。金もある、やりたい女とはだれとでもやれるし、自由もある。マジで楽しい。マイアミに行ってもっと楽しもうぜ。君はサイコーの人生をおれに与えてくれた」反省どころか、地獄に一直線である。見切りをつけたマイクはブルックに「おれはマイアミには行かない。ここに残る」。あんたなんかしょせん三十男の男ストリッパーだとこきおろしたブルックは、マイクが運命の岐路に、自分といまここで立っていることを知る。テイタム君の華麗な「三十男」と、怪人マコノヒーの、さりげなく鍛え上げた44歳のスリムな腰が、いい味をだしていました。

 

 

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