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特集「ベストコレクション」

2016年3月11日

特集「春の麗らのベストコレクション」⑪ 
グッド・ライ〜いちばん優しい嘘(2015年 社会派映画)

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監督 フィリップ・ファラルドー

出演 リース・ウィザースプーン

 

シネマ365日 No.1687

しみじみと泣けるぞ 

両親は爆撃で殺された家族の現代の移民の話だ。内乱のスーダンを逃れ、安住の地を求めて、兄弟姉妹がアフリカの大地をエチオピアへ、エチオピアへ向かう途中難民にあい、エチオピアは危険だという情報に、行く先をケニアに変更。500キロ、1200キロを歩き続ける。身にまとう布一枚、携える鍋ひとつ、食べるものもろくにない、おしっこを飲み、ヒョウの獲物の上前をはね、兵士に狙撃され末弟は死に、家族のリーダーである長兄テオは連行された。残った次男マメールが「チーフ」となり、ポールとジェ マイア、彼らの姉アビタルは、半死半生でケニアの難民キャンプにたどりついた。内乱で約2万人の子供が孤児となった。彼らはロストボーイズと呼ばれた。2000年、アメリカは難民キャンプの3600人の子供を全米各地で受け入れる計画を実施した。数年をキャンプで過ごしたマメール姉弟は、移住家族に選ばれ欣喜する▼受け入れ先はカンザスシティだった。しかし空港で姉の受け入れ先はボストンだといわれ、姉弟は引き離される。必ずいっしょに暮らそうと誓い合う。マメールたちに仕事を斡旋する職業紹介所の担当者がキャリー(リース・ウィザースプーン)だった。だれとも深い関係を持ちたがらない。相手はアフリカ人だからと、空港へ迎えにいくのも平気で遅刻。機内食は手づかみで、電話も電灯も初めて見る彼らは文化の違いにとまどうが、キャリーのほうも常識のちがいや勘違いの連続にうろたえる。ポールは工場で、ジェレマイアはスーパーで、マメールは学校に行くことになった。賞味期限切れの食品が大量に捨てられるのにジェレマイアはもったいなくてしかたない。ホームレスの女性がゴミ箱から食品を盗もうとしているのをみかけ、見逃してと頼む女性に、こっちの新しいのを持って行ったほうがいいと、運んできたダンボールを渡す。勝手なことするな、と叱った上司に「与えないことは罪だ」といってジェレマイアは店を辞める▼キャリーは怒り「身元引受人はうちの会社よ、そんなことしたらつぎから雇ってもらえない。社会にはボスがいて、中にはバカもいる。でも彼らは権力を持っている。我慢しなさい」。キャリーは「ヤディット」というアダ名をつけられた。意味は「偉大な白い牛」だ。よくわからないが悪くはないらしいとキャリーは思う。ポールは工場でグウタラな工員の3倍も働き、彼の真面目さが目障りになった連中は、ポールにドラッグを与え、夜遊びに引きずり込む。マメールは学校で先生からハックルベリー・フィンのテキストの「いいウソ」について聞かれ「厳しい環境を生き抜くためのウソです」と答え、模範解答だとほめられた。ポールの腕には太い溝のような傷跡がある。「ライオンにやられたのさ。そのライオンは雨の匂いがした。兄弟の脚に食いついたライオンを引き離そうとして噛まれた。ライオンは骨を残さない。家族に分けるため、奴らは骨を持って帰る。兄弟を食ったライオンをおれはわかるだろうか。やつはおれに気づくかどうか、考えることがある。想像を絶するポールの過去にジャンキーたちは黙りこむ▼ポールが警察に引っ張られた。兄たちとキャリーは引き取りに行った。警察を出たポールは、テオがつかまったのも弟が殺されたのもマメールのせいだ、アメリカでおれたちはクズだ、いくら働いても相手にされない、と怒りと悲しみを爆発させた。両親に死に別れ、スーダンから1200キロを歩いてナイロビにたどりつき、キャンプで読み書きを覚え、勉強して人の役にたち、アフリカの兄弟を助けたい、見知らぬ国アメリカで、いつか家族がいっしょに暮らしたいと願うマメールたちの真摯な生き方に、キャリーは自分がいかにおろそかに生きていたかを教えられる。自分ができることはなにか。姉娘をひきとるにはどうしたらいいのか。福祉事務所、州の担当部署のあちこちを訪ね「受け入れ先がなくて引きとってもらえないのなら、受け入れ先を作ればいい」と解決策を得る。キャリーは豚小屋のように散らかっている自宅を断捨離する。掃除の手伝いに呼ばれた友人は「あんた、本気でいっしょに暮らすの?」キャリーは人生最大のミッションをやろうと決めたのだ。やがてクリスマスの夜、キャリーが開けたドアの外に立っていたのはアビタルだった。最高のプレゼントだった▼マメールはケニアのキャンプで一人の男が、離散した兄弟を探しているという情報を聞く。長兄のテオにちがいない。事実を確かめに彼は再びアフリカへ。マメールは無事テオと再会できたが、リウマチ熱で心臓が弱っていた。アメリカに連れて帰るには出国ビザが要る。9.11以後テロ警戒態勢は厳しく、アメリカへの入国は難しかった。マメールは足を棒にして大使館を訪ね「ビザがとれた」と兄に報告する。兄弟は空港に来た。搭乗手続きが始まった。弟は言う。「これがビザだ。おれたちは双子のように似ている。今日からマメールになってアメリカへ行け。ぼくはキャンプに引き返して病院で働く。兄さんがおれたち兄弟を救ってくれた。兄さんにもらった命の恩返しだよ。ぼくのふりをして行ってくれ。これはいいウソだ」…どんな苦境にあっても「祖先の誇りを忘れるな」「内なるものを失うな」ときどき彼らが唱える呪文のような言葉が染み入りました。

 

 

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