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シネマ365日

2016年3月14日

特集「純愛物語」① 
セインツ ー約束の果てー(2013年 恋愛映画)

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監督 デヴィッド・ロウリー

出演 ルーニー・マーラ/ケイシー・アフレック/キース・ランディング/ベン・フォスター

 

シネマ365日 No.1690

わたしを探しあてて 

特集「純愛物語」

主人公ふたりは犯罪者のカップルですが、ボニーとクライドみたいに派手な映画ではない。陽気な犯罪者というのもあまり知らないけど、世間の日陰でひっそり生きていく妻ルース(ルーニー・マーラー)と、妻の罪をかぶって刑務所に入った夫ボブ(ケイシー・アフレック)の持ち味がよかったわ。ルーニー・マーラーは「ドラゴン・タトゥーの女」のデビューが鮮烈だったせいか、暗い役がよくオファされるのかもしれないけど、「サイド・エフェクト」でキャサリン・ゼタ=ジョーンズに背負投をくらわす女もなかなかやりましたよ。「her/世界でたったひとつの彼女」では、ヘタレのホアキン・フェニックスに対する気の強い妻。ケイシー・アフレックは本音をいうと、ちっとも強盗や脱獄犯らしくないのだけど、妻を一途に愛し「会いたい、会いたい」と思いつめるとこういう行動にでるのね、ということにしました▼そこでどこが彼らの「純愛物語」のキモなのかといいますと…ボブは25年の刑を受け監獄入りして4年、逮捕されたとき妻のお腹にいた娘シルヴィーは、まだ写真でしか顔をみていない。妻子に会いたいばかりに脱獄を試み、6度目にして成功し逃走中。ルースはその知らせを聞くが、夫が今どこにいるか知らない。ボブは貨物列車にもぐりこんだり、乗用車のドライバーを脅したりして、ルーシーの近辺に近づいてくる。ルーシーの生活は洗濯をしたり教会に行ったり、娘とふたり常と変わるところがない。「ボブは訪ねてくると思うか」と聞かれ「来ないわ」と確信を持って答える。ボブはボブで昔の相棒に「ルーシーにはわかるのだ、オレの存在を感じることができるのだ」と言う。ふたりともテレパシーが通じるみたいな一心同体である。ボブは強奪して隠し持っていた現金を埋めた場所でトランクを掘り出し、自分をかくまった黒人に札束をわけて謝礼とする。残りは「ルーシーと家を買う」ための金にする。そしてルーシーに手紙を言付ける。会いに行く、いっしょに町を出よう、支度をしておいてくれという内容だ▼ルーシーは返事を書き、自分たちを親代わりで育ててくれたギャングの元締め、スケリット(キース・キャラダイン)に、ボブが来たら渡してほしいと託す。彼のところに必ずボブは来るとわかっているからだ。すでにボブは来ていたのである。スケリットはルーシーを愛している。ボブに「お前がいるとルーシーに危険が及ぶ、ひとりですぐ町を出て行け」と厳しく言うが、ボブは出て行かなかった。読んでもいいとルーシーが言った手紙をスケリットは開く。「愛するボブ。ここに来てはだめよ」そう書き出している。「つかまるわ。いっしょに逃げたとしてもわたしとシルヴィーは足手まといになるわ。だからあなたが来る前にわたしたちが出て行くわ。なんの縁もない町へ。いつかこの町が落ち着いたら戻るかもしれないけど。あなたを待つのが少し長くなるだけ。わたしを探し当てて。あなたならできる。心から愛している」▼一心同体であることを100%信じて、行く先も告げず姿を消し、自分を探し当ててくれというのですね。ボブは結局この手紙を読まず、スケリットが放った殺し屋に銃撃され、重傷を負いながらも出発前のルーシーの家にたどりつき、虫の息ながら娘の顔を見て、妻の腕のなかで息をひきとります。保安官代理のパトリック(ベン・フォスター)は4年前の銃撃戦でルーシーに胸を撃たれた。ルーシーのお腹に子供がいたので、ボブは撃ったのは自分だということにして投降した。パトリックは女手ひとつでつましく娘を育てるルーシーにいつか恋心を抱き、なにくれと力になります。娘もなつき、ルーシーが町を出る当夜は娘の誕生日だった。プレゼントを持って訪れたパトリックと母娘が楽しく過ごしているところにボブは現れます。ひとめで重態だとわかったパトリックは救急車の手配をしにパトカーの無線にもどるのですが、ボブを抱きしめているルーシーになにもいうことがない▼ルーシーとは社会に適応しにくい性格です。だれにも相談せず身の振り方を決め、決行する。「わたしを探し当てて」に彼女の夜行性動物のような生き方がよく出ている。いちいち誰かに打ち明け判断を聞き、天秤にかけていい方を選ぶなんて、まだるっこいことをしない。決めるときに決める即断が彼女にとっていちばん正しいのである。ルーニー・マーラーの愛想のない顔がよく似あっていました。ケイシー・アフレックはジョージ・ワシントン大学とコロンビア大学で物理・天文・哲学を学んで俳優になった変わり種。ベン・アフレックは兄です。

 

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