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シネマ365日

2016年4月7日

特集「アクション女子」① 
ダイバージェント(2014年 SFアクション映画)

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監督 ニール・バーガー

出演 シャイリーン・ウッドリー/ケイト・ウィンスレット/アシュレイ・ジャッド

 

シネマ365日 No.1714

ダイバーシティの真逆 

特集「アクション女子」

近未来、ディストピアとなったシカゴ。打ち続くテロと戦争の結果、人類はサバイバルする唯一のシステムを構築した、という壮大な前提のもとにこの物語は始まります。つまり理想郷を作ったはずなのですがやっぱりおかしくなった、ヒロインのベアトリス(のちトリス、シェイリーン・ウッドリー)は、無意識に埋め込まれた不安と疑問を抱えながら将来の選択を迫られる。そこでは、人々は5つの共同体のどれかに属する。無欲(アブネゲーション)、平和(アミティ)、高潔(キャンダー)、博学(エリュアダイト)、勇敢(ドーントレス)だ。16歳になるとテストを受け(国家試験のようなものか)、適性に応じて属する共同体がわかる。結果にかかわらず自分の意思で選択することもできる。トリスは「勇敢」を選んだ。両親は「無欲」に属していたから、両親と同じか、適性検査の結果に従うのが普通のケースだったが、トリスは「無欲」の生き方に疑問を感じていた。自分は「無欲」が理想とする、献身的な生き方はとてもできそうにないと思ったのだ▼一度派閥を選べば一生そこから転属は許されない。それは生まれ育った家庭や両親との離別を意味する。トリスの兄はテストを受ける前は「何があっても家族を大切にしよう」と言っていたが、自分は「博学」を選んだ。妹は「勇敢」を選んだ。彼らは別の道を生きていくことになる。一緒に暮らすことはもう許されない…この辺りに来ると、最もらしいけど、ウソくさくなってくるわね。バカバカしい。でもそんなこと言っていたらダメ。この映画は最後まで、成り行きと同調歩調で付き合わないと、ストーリーがなりたたないのよ。でもよくしたもので、馬鹿臭さを救ってくれるのが、「勇敢」を選んだ新入生に対する烈火のごとき厳しいトレーニングと武闘。権力の権化であるケイト・ウィンスレットの登場である。ケイトは「博学」のトップ、ジェニーンだ。「博学」と「無欲」は仲が悪い。不倶戴天の敵である。おかしいだろ、そういう世界をなくすために理想的な、民主的なシステムを構築したはずなのに、もう誤作動しているのか…そうなのだ、考えてもみるといい、16歳で人生を決めろとか、別々の派閥を選べば家族と一緒に暮らせないとか、派閥なる枠組みに死ぬまで縛られるなんて、動物園の檻より残酷なチンケなシステムは、本来壊れるようにできているのよ▼トレーニングシーンがなかなかリアルでしてね。「勇敢」派閥は警察の役目であるから、武器と武術に習熟する必要がある。トリスは普通の女の子でしたが、死ぬような恐怖に毎日さらされる。新入生が放り込まれる合宿みたいな部屋がもうひどいの何のって。男女共同生活で、トイレも一緒、シャワーも一緒、ベッドにカーテンの仕切りすらなければ部屋中見通せて風通しのいいこと、着替えるのもその場で。格闘技の実技は手加減なし。新米は大抵一度か二度、再起不能なまでにマットに沈む▼そうだった、肝心なことを書かねば。適性テストの結果、トリスは「勇敢」「博学」「高潔」など複数の要素を持っている、つまり一つの派閥に収まりきれない「ダイバージェント」(異端者)だとわかる。テストの担当官、トーリは顔色を変え、この結果を絶対だれにも言ってはいけない、自分の弟は「ダイバージェント」だとわかった途端、殺されたと教える。なぜ。「ダイバージェント」は世界を支配するのに邪魔なのである、らしい。属性が一つでないからあそこにもここにも、好奇心か本能かによって、首を突っ込む可能性がある、どうしても派閥に対するロイヤリティが希薄である。絶対忠誠「あなた命」が組織の鉄則である、他に気のある者はトラブルの元凶であり、厄介者なのだ。だからって殺すのかよ。まあいい。先に進もう。「博学」のジェニーンが「無欲」を目の敵にするのは、「無欲」の力が大きくなってきたからだ。誰だって自分の身を犠牲にして、困っている人や不幸な境遇の人を助けるため、献身する人たちの集団を支持する。「博学」は何でも知っている優秀な頭脳の集まりだが、人情味にかけた。近未来ハイテクからアナログ感覚ゾーンまで、完全管理体制に組み込まれているのだから、恐ろしい▼トリスの父も母も、ジェニーンに反旗を翻した娘を救うため命をなげうつ。考えてみれば、主役のシェイリーン・ウッドリーといい、母親役のアシュレイ・ジャッドといい、トリスの盟友となるゾーイ・クラヴィッツといい、これは武器をとって戦うアクション女子の映画である。アクションしない主役はケイト・ウィンスレットだけですが、いや〜もう、あの体格のいい姿を現した途端、威容あたりを払う貫禄でした。ダイバーシティの真逆を行く発想とその実現路線が面白かったですね。

 

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