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シネマ365日

2016年4月11日

特集「アクション女子」⑤ 
アサシン 暗・殺・者(1993年 アクション映画)

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監督 ジョン・バダム

出演 ブリジット・フォンダ/ガブリエル・バーン/アン・バンクロフト/ハーヴェイ・カイテル

 

シネマ365日 No.1718

荷車を引くサラブレッド 

特集「アクション女子」

ニキータ」のリメイク。オリジナルに比べ酷評されたのはかわいそう。ブリジット・フォンダがよく頑張ったと思うのだけど。ブリジット・フォンダが殺し屋だって。大丈夫かなあ、と思うよね。案の定ヒロインのマギーは、工作員の厳しい訓練に嫌気がさし、運動能力やハイテク技術の習得能力はあるのだけど、性格が情緒的なばかりに、殺伐としたこの業界には不向き。といいながら、上司であるボブ(ガブリエル・バーン)には反抗しながら甘えるという、典型的なカマトト。反抗する、指示は守らない、命令を無視する、組織内のトラブルメーカーで、ボブはとうとう「次に一つでも問題を起こせば墓場に戻す」と最後通牒を突きつける。彼女は死刑宣告を受けた死刑囚だったが、ボブが工作員の素質があるといって身柄を引き受けた、マギーは戸籍の上では故人であり、ちゃんと葬式まで出してもらっている。だからいつ墓場に戻ってもおかしくないのだ▼退路を断たれたマギーは、女性上司のアマンダ(アン・バンクロフト)に泣きつく。彼女の役目は工作員をレディに仕立て直すこと。正しい話し方や美しい歩き方、外国語やコンピューター操作の習得。アマンダ曰く「新緑は黄金。若さは老いより美しいわ。あなたの反抗は愚かだわ。自分を美しいと信じれば美しくなれる。辛い時はどうする?」「殴る」「これからはニッコリ微笑むといいわ。そして心が軽くなる言葉をいうの…小さなことなど気にしない、と。強いだけではダメ。エレガントでないと。太陽と月、戦士と詩人を併せ持つの」あ〜難しいぞ、やれやれ。マギーは命がけの卒業試験にも合格し、コンピューターの営業担当者となって任地に赴く。指示はいつ入るかわからない。そこで写真家のJ・Pと知り合い、愛し合うことになるのだけど。でもな〜、言っちゃナンだけど、この恋人同士というのが全然「らしく」ないのよね。男は女の出身地、生い立ち、年齢、いちいち聞きたがる。女はウザクなり「ほじくり返されたくないのよ!どうしてもいえない理由があるのよ」と、ますます興味を与えるような、ガールズトークの言い方をする。お前ホントに工作員か▼この映画の骨組みを支えているのは、アン・バンクロフトやガブリエル・バーン、殺人現場の証拠隠滅と、最後にマギー殺害を受け持つ「掃除人」のハーヴェイ・カイテルのベテラン陣なのだ。マギーは「こんな生き方もうイヤ。足を洗わせて。あなたが思うほど、私は強くないの」と新卒の新入社員も顔負けのセリフでボブにすがりつく。ボスは彼女に甘いから、できない相談だと知りつつ、マギー殺害に失敗した掃除人の轢死をうまく利用して、マギーは死んだことにする。つまり、ブリジット・フォンダが演じたのは、挫折した殺し屋という、本来、絵にもシャレにもならないヒロインなのです。でも本当いうと、フォンダ一族にいて、あれほど無色透明なキャラを維持するにはよほどの性格の、というか、生き方の強さがいるのではないか、と大きなお世話ながら思ってしまうのです。叔母はジェーン・フォンダ。闘士だわ。祖父はヘンリー・フォンダ。父はピーター・フォンダ。彼女が有り余る素質と、映画界のネットワークと、恵まれた容姿美貌を利用しようとせず、結婚と同時に引退したのは「こんな生き方もうイヤ」だったからよ。「足を洗わせて、あなた方が思うほど、私は強くないのよ」ですね。最近の彼女の写真を見ると、ひとつも衰えていないばかりか、まぶしいほど幸せオーラを放っている。オスカーだ、アカデミー賞だ、主演だ、助演だ、人気だ、ヘチマだ、大女優だ、名女優だ、ケッ、女優がなんぼのもんじゃい…と言わんばかりのアクのない存在は、ハリウッドではスピリチュアルでさえあった。本作のキモは、実は「命がけの卒業試験」とたった一行で片付けたあのシーンなのよ。スピーディで華やかで、並の女優ではできなかったオーラを放っている。それなのに、なまじメソメソした良識あるフツーの女性にしてしまったこの映画に、荷車を引くサラブレッドの哀しさを感じるわ。

 

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