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特集「男前」

2016年4月21日

特集「男前3」⑧ メラニー・ロラン 
ラスト・アサシン(2011年 アクション映画)

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監督 ジェローム・ル・グリ

出演 メラニー・ロラン

 

シネマ365日 No.1728

この殺し屋、サマにならないわ 

ラスト・アサシン(2011年 アクション映画)

本作のメラニー・ロランを「男前」シリーズにいれたら、辛口の映画ファンから怒られそう(笑)。仕事が遅くて担当を降ろされてしまった、これが一般企業でなく殺し屋業界の、しかも超一流と目される殺人メカ・ガールの話なのだ。ヒロインのリュクレス(メラニー・ロラン)は業界では最高額の報酬をとるとスゴ腕だが、8歳になった娘や年老いた母親に、本当のことをいえないのが辛い、このへんでリタイアしたいという。育児・家事・介護・仕事に疲れた女ね。よくわかるわ。でも殺し屋という特殊な中にも特殊な職業で、そういうフツーの事情って、介在が許されるのでしょうか。あなた、大丈夫? ときくのもおかしな話だけど、どことなく不安要素をかかえながら映画はスタート。彼女に殺しの仕事を持ってくる依頼人にチェッキー・カリョ。「王は踊る」のモリエールや、「スペシャル・フォース」のフランス軍司令官。大臣の指示をきかず、仲間を助けに行くのだと強情に言い張るダイアン・クルーガーを、おぶってヘリに運んだ人。「そして友よ、静かに眠れ」とか、とても渋い俳優が、簡単に毒飲まされてコロリと死ぬなんて、バカみたいな役に出ているわ▼不思議だわ。組織を脱走した工作員リコが、場末のクラブで機嫌よくギター弾いて歌っているのよ。CIAだかなんだか知らないけど、組織の長はリコを呼び返し次の仕事をいいつけ、渋面を作っているリコに、引き受けなければ殺すと脅す。冗談でしょ。職場放棄した工作員なんて、発見された段階で殺されているのが業界のジョーシキだわ。標的はスコットランド人アレクサンダーという人物。彼は石油会社がパイプラインを通すための土地を売却しようとしない地主なのだ。アレクサンダーは歌手でもある。妙な地主だが、まあいい、彼が参加する音楽会に歌手として潜入し、機会をみて殺すというのがリュクレスの役目だ。彼女の殺しの手段はもっぱら毒殺である。女に毒殺、とくると猫にマタタビ、と答えたくなるほど古来のコンビネーションであろう。パーティ席上、リュクレスはさっそく毒をアレクサンダーのワインに滴らすが「うん? このワイン渋いぞ」「どれどれ」とテーブルにいた全員が回し飲みしてしまう。あわてたリュクレスは解毒剤を取りに走り、とりつくろって今度は解毒剤入りワインで乾杯させる。急いで部屋を出たものだから、毒薬の小瓶をそのままにした、こういうマヌケに最高額の報酬を払うものずきがいるのか、あん?▼歌手という建前で参加している以上は、リハーサルでも歌わなければならないが、リュクレスは「高所だから声の調子がでない、しばらくひとりで練習する」とか「ポリープがあって歌えない」とか、言を左右して歌おうとしない。ギリギリになって歌うのが、実際に歌手でもあるメラニー・ロランが自分で歌ったというシーンだ。このシーンのためにポリープだ、ヘチマだと気を持たせていたのだ。リュクレスがいつまでたっても仕事にとりかからないので、業を煮やした依頼主が彼女をクビにして別の殺し屋を送り込む。その殺し屋は、業界の事情を知りすぎたリュクレスを消すことも同時に請け負った。ストーリーは二転三転といいたいが、歌手のアレクサンダーはあっさり殺されてしまう。つぎはリュクレスだが、彼女を守る男たちがちゃんといて、リュクレスは傷ひとつ負わない。結局メラニー・ロランを最後まで無傷のままで、映画を終わらせるためのストーリーだったのだ▼メラニー・ロランは「オーケストラ」でも「イングロリアス・バスターズ」でも際立つ女優だった。「人生はビギナーズ」では抑制的な若い恋人を演じ「リスボンに誘われて」は、若き日の主人公がのめりこむレジスタンスの女を。中身なんかどうでも、ともかく主演女優だけみたい、というのも映画をみる立派な理由だから取り上げたものの、立派なのはアホらしさだけ。日本未公開は当然だったわ。

 

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