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特集「男前」

2016年4月23日

特集「男前3」⑩ ジェシカ・チャスティン 
キリング・フィールズ 失踪地帯(2011年 事実に基づく映画)

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監督 アミ・カナーン・マン

出演 サム・ワーシントン/ジェフリー・ディーン・モーガン/ジェシカ・チャスティン/クロエ・グレース・モーガン

 

シネマ365日 No.1730

沈黙の主人公 

キリング・フィールズ 失踪地帯(2011年 事実に基づく映画)

テキサス州にある犯罪多発地域「失踪地帯」(キリング・フィールズ)で実際に起きた事件をベースに映画化されました。荒涼とした沼地。空に突き出す枯れ木の枝に大烏が羽を休め、あたりを見回し虚空に飛び立つ。寒々とした光景からこの映画は入っていきます。ニューヨークから転属できた刑事ブライアン(ジェフリー・ディーン・モーガン)とマイク(サム・ワーシントン)は相棒だ。ふたりとも仕事熱心で目下住宅街で起きた少女殺人事件を捜査中だった。マイクはたびたびブライアンに「ここはテキサスだ」と言う。アメリカのどこの州ともちがう独特の閉鎖性があり、よそ者には馴染めず、よってブラインの捜査は難航するだろうという予告である。うらぶれた町の売春宿に出入りする男や女。折も折、ブライアンが気にかけている保護観察中の少女アン(クロエ・グレース・モリッツ)が失踪した。一連の少女誘拐殺人に巻き込まれたと直感したブライアンは、事件の中心地「失踪地帯」に向かう。マイクには離婚した妻パム(ジェシカ・チャスティン)がいる。彼女も刑事でブライアンとマイクに協力して犯人を追う▼本作は犯人を追うミステリーでもサスペンスでもなく、この世から隔離されたような不気味な犯罪地帯「キリング・フィールズ」の雰囲気で見せる映画ですね。誘拐犯らしき人物はちょろちょろ出てくるし、怪しげな事件の環境もそれなりに整ってはいるけど、少女殺人の動機とか犯人像とか、映画の肝になる部分が軽いから、スウ〜といつのまにか(え、この人が犯人だったの?)という感じで終わっちゃう。たとえば「羊たちの沈黙」なんか映画の前半でとっくに犯人をばらしているのだけど、犯人をとりまく事件と人間の重層構造が完璧だから、ただの謎解きで終わらないのね。犯人逮捕だけで解決できないもっと思い暗闇が潜んでいることに気づかせる▼マイクは父親も警官、地元警察のたたきあげで、地域住民とはみな顔見知り。仕事にどこか馴れあいがあり、土曜の午後からは絶対にケータイにでない。ブライアンにすれば信じられない勤務ぶりだ。妻のパムはマイクよりやり手のきつい仕事をする刑事で、彼女からみてもマイクはイマイチ。元妻のそんな視線がそもそもマイクをいらだたせる。保護観察の少女の身の上を心配するブライアンを、マイクは最初冷笑気味にみていたが、彼の真摯な捜査に感化されていく。ブライアンは「キリング・フィールズ」で瀕死のアンを発見し、現場で待ち伏せする。そしてあっけなくボコボコになるのだ。事実を基にしているからこうなったのかもしれないが、本作のポリさんたちはまことにカッコよくない。おサボリのうえ銃を持たせたら一発も当たらない射撃ヘタの刑事に、格闘したらたちまちやられちゃう刑事が相棒を組むのだから、捜査は難航するわね▼この映画の主人公は「失踪地帯」なる無人の沼地だろう。ここの映像がいちばん詩的で美しい。サム・ワーシントンは相変わらず大味な演技で、たくましい肉体が無為無策に見える。ジェームズ・キャメロンはなんだって彼を「アバター」の主役にしたのでしょうね。たぶん演技の余地が必要なかったからでしょうね。人の好い刑事に扮したジェフリー・ディーン・モーガンってだれよ? だれでもいいわ。かろうじてジェシカ・チャスティンとクロエ・グレース・モレッツが光っている。チャスティンは感情を外にださないシャープな刑事が「どうして電話にでないのよ!」と怒りを爆発させる一瞬の表情がよかった。本作のあとキャスリン・ビグローは「ゼロ・ダーク・サーティ」で彼女を主役に抜擢、監督自身は女性初のアカデミー監督賞を受賞、チャスティンは主演女優賞にノミネートされた。クロエは当時14歳。それから3年の間に「ヒューゴの不思議な発明」でマーティン・スコセッシ監督、「ダーク・シャドウ」でティム・バートン監督、「キャリー」でキンバリー・ピアス監督と組む。ピアスも本作のアミ・カナーン・マンも女性監督だ。ピアス監督の「ボーイズ・ドント・クライ」と比べるのは酷かもしれないが、いい環境にいるのだから(父親がマイケル・マン監督)頑張ってほしいわ。

 

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