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特集「ベストコレクション」

2016年5月3日

特集「風光る五月のベストコレクション」③ 
ピッチ・パーフェクト2(2015年 青春映画)

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監督 エリザベス・バンクス

出演 アナ・ケンドリック/レベル・ウィルソン/ヘイリー・スタインフェルト/ブリタニー・スノウ

 

シネマ365日 No.1740

世界の中心はガールズ!

特集「風光る五月のベストコレクション」

あいつらが帰ってきたぞ。しかも完全アウェーのコペンハーゲンで、世界アカペラ選手権に挑戦、優勝しなければ栄光のバーデン・ベラーズ(バーデン大学アカペラ部)は消滅するのだ。全米大会で優勝して3年、バーデン・ベラーズは連続優勝3回の偉業を成し遂げた。ところがオバマ大統領の生誕記念式典のパフォーマンスで、ファット・エイミー(太っちょ・エイミー)がエアリフティングのソロ中に下半身を露出させ、「全米の恥」「アカペラ界の名誉を傷つけた」と非難轟々、どの大会にも出場できなくなってしまったのだ。ベラーズのリーダー、ベッカ(アナ・ケンドリック)は、ベラーズがアカペラ世界選手権で優勝した場合のみ、復活を認めるという条件で、リベンジに賭けました▼「ピッチ・パーフェクト」は全く注目されない低予算の映画で、日本では公開もされませんでした。ところがアメリカでたった300館ばかりの小規模でスタートした同作は、世界累計340億円を超える大ヒット、たちまち「2」の制作公開が決まり、日本では急遽、一作目と二作目がほぼ同時期に公開された異例の上映となりました。これじゃヒットするわね。エリザベス・バンクス監督は徹底した女子目線で小気味よく、劇中、物語のスクラップ&ビルドを繰り返します。ジコチューなんてもう古い、「青春」という手垢のついた言葉は博物館入り。彼女らの行動原則は「わたしたちがルールなの。ほかは何にもいらないの」それにむちゃくちゃ説得力を持たせたのは、イキのいいセリフ力によります。「世界選手権で、アメリカは勝ったことがないのよ。世界中の嫌われ者だからさ」「嫌われていなくても、あんたにだれも興味ないわ」「負けたらどうなるの」「ただのレズ軍団よ」「ベラーズ解散よ」「箱に入れてノコギリで切ってやる」「勝てるならだれとでもやる」「何とでも、でしょ」ベラーズで歌うため、3回も落第したクロエ(ブリタニー・スノウ)は、「100%レーザー集中」つまり特訓に注ぐ特訓で勝つのだと決意表明。出場登録を済ませたが「コペンハーゲンって、どこにあるの?」▼ベラーズの大先輩を母親とするエミリー(ヘイリー・ステインフェルド)が入学、ベラーズに加入した。本命はドイツのグループDSM(ダス・サウンド・マシーン)だ。DSMのステージを見学に来たベラーズたちに、DSMのリーダーは小柄なベッカを見下ろし「勝とうとしても無駄よ。わたしたちはサイコーよ。あ〜あ、あんたと話していたら、上から目線ばかりで首が疲れたわ。首を休めに行くわ」言いたい放題いってベッカを歯軋りさせる。打倒DSMに燃えるグループをよそに、ベッカは隠れてレコーディング・スタジオでインターンを始めていた。それも知らずクロエは、ベラーズの前部長オーブリーが経営する「世捨て人のロッジ」で合宿、全員集合した。オーブリーの大歓迎を受けたものの「キャンプって犬みたいに生活すること?」「空気の9割がオナラだわ」「合宿の目的は、クロエ?」「絆よ。不機嫌ね、ベッカ。背中を揉む?」「もう何かに揉まれている…」雑魚寝だから隣の誰かの足か背中かが当たっているのだ。夜が明けた。「ベラーズ、起床!」オーブリーの号令で合宿開始▼ベッカのインターンがばれた。クロエは激怒する。ベッカの言い分は「ベラーズに3年間を捧げたわ。将来の夢があるのはわたしだけよ。ベラーズに執着しすぎよ、クロエ」「執着しちゃ悪いの? 7年間一緒なのよ」「変わるのが怖いのでしょ」「わたしたちを騙しておいて、今度は消えるわけ? 世界選手権の直前に」「その話ウンザリ。もう帰る」「ここで脱退?」「みんないつかは抜けるわ。今のうちよ」スタスタと合宿から出ようとするベッカは、いきなり宙吊りに。草の中に隠れている獣鳥の罠にかかり、ネットにくるまれ梢高くに吊り上げられた。「苦しい、死んじゃう、降ろして」「一緒にやるの、やらないの!」地上に降りたベッカは「ベラーズの変化が早すぎて、プレッシャーだったの。一人でもがいていたのよ。オリジナルの歌はわたしたちには無理かも、と」とリーダーとして悩んでいたことを打ち明ける。新入生のエミリーが言う「わたしはベラーズが夢だったのです」「あなたはもう仲間よ」▼クロエも言った。「世界大会で引退する。卒業して孤児の歌の先生か、ストリッパーになるわ」。ファット・エイミーは「わたしはメイン州で結婚するわ。あなたたち全員招待するわよ」「グアテマラからバーデン大学に転校してきているクリッシーは「卒業したら国外退去の可能性大ね。再入国するけど、多分海で死ぬかも」。後輩の話を聞きながらオーブリーのコメントはこう「記憶に残るのは世界大会じゃない。変人のあなたたちね。この瞬間が恋しくなる」「わたしも」「わたしも、きっと」そこでみなで歌う。ベタの極みだけど、これがいいのですよ(笑)。歌詞を書いておこう。「長距離列車の切符を買ったわ/道連れは2本のウイスキー/やさしい話し相手がいれば言うことない/あす発つけど/平気なの?/わたしが去ったら寂しい思いをするよ/髪を撫でたくなる/わたしの全てが恋しくなる/わたしが去ったらあなた、後悔する」…▼クライマックスの世界選手権。ついにバーデン・ベラーズのオリジナルが炸裂した。「世界の中心はガールズ/やろうぜ、だれにもいわないから/友だちを呼べ、お前の体は最高だ/親友に会わせろ、女は大歓迎だ/髪にネイル、全身決めているよな/いい女はどこだ」ステージには歴代・全世代ベラーズが勢ぞろい、怒涛のフィナーレであります。ハリウッドの上層部も、そろそろ女性の関心がどこにあるか、本気で市場としての焦点を絞るべきです。ベタだろうとヘチマだろうと、エリザベス・バンクス監督の戦略は見事だったわよ。

 

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