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特集「ベストコレクション」

2016年5月11日

特集「風光る五月のベストコレクション」⑪ 
ジョン・ウィック(2015年 アクション映画)

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監督 チャド・スタエルスキー

出演 キアヌ・リーブス/ウィレム・デフォー

 

シネマ365日 No.1748

キアヌ、どうぞ頑張って 

特集「風光る五月のベストコレクション」

この映画を見て泣いた。「スピード」の匂い立つ青年、「マトリックス」の若竹のようなしなやかな肉体、「コンスタンティン」のアンニュイが絵になったキアヌ・リーブスは、もう永遠に戻らないのかもしれないという悲しみに。ブルーレイのパッケージにはこうあった。「見惚れるほどの復讐!」。冒頭すぐにジョンの妻が倒れる。死んだのだ。撃たれたようではない、毒殺か、謀略か、だれだってそう思うでしょう、でなかったらだれの復讐にキアヌは、いやジョンは命を賭けるのよ。はてなと思いながらでも疑問は発せず沈黙していた。なにしろキアヌの復活なのだ。口は挟まない。もうじき「見惚れるほどの復讐」の幕は上がるのだ。奥さんの葬儀にマーカスが参列した。ジョンは伝説の殺し屋だったが、結婚して足を洗ったのだ。マーカスは現役の殺し屋である。彼はしのびやかにジョンを慰める。でもな〜。マーカスになるのがウィレム・デフォーなのよ。やめてよ、キアヌがかすんじゃうじゃないの…嫌な予感って的中するのね。ジョンは車アディクトで、見事なムスタングに乗っている。マフィアの息子が譲ってくれという。ジョンはお前のボスには世話になったが、息子のいうことを聞く義理はないと冷たくあしらう。バカ息子はジョンの自宅を襲撃し、ジョンをボコボコにして車を盗み、ワンちゃんを殺してしまうのだ。ワンちゃんとは、余命を知った妻が自分の死後、夫の心の支えにと残してくれた犬なのである。ジョンは復讐に煮えたぎり立ち上がる…というのはこの映画、復讐、復讐と言っているのは、犬の復讐のことなのね…▼気をとり直して書くことにするわ。バカ息子はぞろぞろ手下を連れて風呂なんか入っている。そこをジョンは襲った、丸裸の男を射撃の名手が狙うのである、だれでも「伝説の殺し屋」となれば一撃で仕留めると思うだろう。でも風呂場がひっくり返るような大騒動の挙句、バカ息子はまんまと窮地を脱するのだ。デヴィッド・クローネンバーグの「イースタン・プロミス」に、同じような、サウナでのアクションがあったわね。タオル一枚だけの裸の男たちのひとりがヴィゴ・モーテンセン。アクションだけで言えばキアヌは決して引けを取っていないのよ。動きもシャープだし、格闘技の術も冴えている。でも殺せるはずのシーンで殺せないなんて設定は、それでも殺し屋かと観客に横を向かせるようなものでしょ。どこが伝説なのよ▼再度気をとり直そう。ジョンは復讐のため、足を洗った裏の世界に戻りました。さて、いくらバカ息子だとしてもむざむざ殺し屋に息子を渡す親父はいないだろうと思っていたら、この親父は簡単に差し出すのよね。今や「ゴッドファーザー」の血の結束は、過去となったのでしょうか。それにしても軽いマフィアだわ。アホ息子ひとりに散々手間取り、あげくジョンは重傷を負う。業界専門の闇医者に駆け込み、傷口を洗い縫ってもらう。下腹部にグサグサ五寸釘を通したような縫い目が残る。薄汚い部屋で設備も道具もろくになく、10センチくらいの裂け目のある傷では、手術の前に出血死していたのでは。ところが心配ご無用。ジョンはたちどころに鮮やかなカンフーで敵を迎えうち、ガンガン銃をぶっ放して神業のようなアクションを見せる。もうどうでもよくなるのだけど、キアヌのために最後まで書くわね。ラストはマフィアのボスと対決。銃ではなくコブシでやろうと相対する。冗談じゃないでしょう。相手は初老のメタボですよ。蹴り一発で片がつく勝負に、時間かけすぎ。他に殺す相手はおらんのか▼キアヌ・リーブスはなんでこんな「お子様向け」キャラが好きなのかしらね。「マトリックス」や「スピード」だって、ただのアクションだと言えば言えた。でもそれが傑作だったのは、主人公を位置させる世界観が卓抜だったからだ。殺せるのに殺せないで、簡単に車にはねられるようなドジな殺し屋も、犬が殺されたからと、し返しに人間を殺す、自制心のない殺し屋もいなかった。本作は大ヒットして、二作目が決まったそうだ。よかったわ、キアヌのハンサム・キャラが長持ちすればいいけど。

 

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