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特集「最高の悪役」

2016年6月3日

特集「最高の悪役」③ ケイト・ブランシェット3 
ハンナ (2011年 アクション映画)

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監督 ジョー・ライト

出演 シアーシャ・ローナン/エリック・バナ/ケイト・ブランシェット

 

シネマ365日 No.1771

アクションは鬼門? 

特集「最高の悪役」

誰にでも得手不得手はある。猿も木から落ちるというのは、例えはよくないとしても、ケイト・ブランシェットにして、失敗作はあるものらしい。本シリーズの前二作「シンデレラ」のトレメイン夫人と、「インディ・ジョーンズ」のスパルコ大佐に比べ、本作のマリッサ・ウィーグラーの悪党ぶりはどうも迫力不足なのだ。監督はジョー・ライトであり、共演にアイルランドの妖精、シアーシャ・ローナンを迎え、作中いちばん憎まれるはずの非道の悪役がケイトだから、不足はないはずだったのに。考えられる理由はこれ、アクションなんかに手を出すからよ。アクションは演技力だけでは処理できない、難しいジャンルだと思う。最高のアクション女優といえば、綺羅星のようなエクセレントが結集している。「ロング・キス・グッドナイト」のジーナ・デイビスを見たとき、この女優はなぜ五輪選手にならなかったのだろうと不思議だった。「エイリアン」のシガニー・ウィーヴァー、「ターミネーター」のリンダ・ハミルトン、「バイオハザード」のミラ・ジョヴォヴィッチは今や伝説の域だ▼このジャンルで女優の台頭は目覚ましい。ポスト・アンジーの呼び声高いエミリー・ブラント(「ユー・ニード・イズ・キル」)、シャーリーズ・セロンのスキンヘッドがかっこよかった「マッド・マックス/怒りのデス・ロード」や「ダイバージェント」のシェイリーン・ウッドリーら。肉体が衰え、体がいうことをきかなくなる年齢的な壁が厚というかもしれないが、そんなもの、年を取ってから考えればいい話だ。それに彼女らは現にアクション以外のいい映画に貪欲に出演しているではないか。アクションに向く人と向かない人がいるのは確かだろう。一見して筋と腱でできているような肉体の持ち主。痩せもせず太りもしない、メカのようなウェイト・コントロール。意外なところでは、スカーレット・ヨハンソンが「ルーシー」で、エヴァ・グリーンが「300スリーハンドレッド〜帝国の進撃〜」でいい動きを見せていた。信じられないかもしれないが、ティルダ・スウィントンの運動神経は超一級である。ダンスとバレエで鍛えた、ペネロペ・クルスにダイアン・クルーガーも、アクションをやるとなればいい線いくだろう。そういえばシャーリーズ・セロンもバレエ組だ。ハイヒールを履いてスカートで、スタントも使わず、かなりの距離を全力疾走、スピードといい、フォームといい、実に綺麗な走りを見せたのは「追跡者/刑事エデン」のメラニー・グリフィスだった。アクションには美しく見せる体と動きがいる。ジョディ・フォスターは小柄だが、彼女の俊敏な反射神経が、どれだけ演技をシャープにしているかわからない。仕事とあればどんな役でも、イヤとはいわない(ように見える)カトリーヌ・ドヌーヴとメリル・ストリープが、アクションと西部劇には手を出さなかった。オードリー・ヘプバーンは一度だけ西部劇に出演し、二度と失敗を繰り返さなかった▼われらがケイト・ブランシェットはどうか。それを言う以前に、そもそもこの映画はまとまりのよくない映画だった。ケイト・ブランシェットが撃ち殺され、シアーシャ・ローナンがくるりと背中を向けるや否や、いきなりエンドになる。殺人マシーンを作るべくDNAが操作され、感情の働きが抑制されているはずのヒロインが、「もうこれ以上人を傷つけたくない」といって、感性の揺れ戻しに自ら傷つく。北欧の森林で娘に格闘技術を教えたパパ(エリック・バナ)は簡単に殺されちゃうし、マリッサの撃つ銃弾は一つも当たらない。写実的といえばいえるだろうが、スパイ・アクション映画にだれがそこまで、リアリズムを要求する? 唐突な終わり方は「ヤ〜メタ」という以外の何物でもなく、ひたすら中途半端だ。ケイトはどこかで、スクリーンの自分を見ると、顔を覆いたくなるといっていたけど、そのときいちばんに浮かぶのは、この映画じゃありません? シアーシャ・ローナンはどうかした拍子、ケイト・ブランシェットと似ていました。シアーシャはケイトの子供という設定があるのではないかと考えたくらいです。全然ちがったけど。じゃ劇中、シアーシャの存在に触れられるたび、ケイトがやってみせるあの辛気くさい、訳ありの表情はなんだったの。もういい。

 

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