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特集「最高の悪役」

2016年6月9日

特集「最高の悪役」⑨ ジャッキー・アール・ヘイリー 
エルム街の悪夢(2010年 ホラー映画)

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監督 アミュエル・ベイヤー

出演 ジャッキー・アール・ヘイリー/ルーニー・マーラ

 

シネマ365日 No.1777

児童虐待・小児性愛の男

特集「最高の悪役」

悪役でカムバックしたジャッキー・アール・ヘイリーです。繊細な細面で、けっこういい男だと思うのですが、いかんせん、主役の惨殺魔フレディが「火傷で顔のただれた男」だったから気の毒ね(笑)。ジャッキーにしても、ヒロインのナンシーのルーニー・マーラにしても、力量から言うと、人後に落ちる配役ではないと思うのね。にも関わらず、見終わって(ちぇっ…)と思ってしまうのは、この映画があんまり非現実的だからだわ。バカ言うな、どだいホラーとは現実的でないところで成り立つ映画だろ、そう返されたらそれまでだけど、夢の中で人が殺されるって、成り立つ話なの? 怖い夢を見たショック死でもない、催眠術にかかって自殺したわけでもない、正真正銘、夢の中に登場した男が鋭い鍵爪で切り裂き、その生々しい傷跡からは真っ赤な血がどくどく、首はぱっくり切り裂かれ、夢を見た本人は絶命する▼登場するのは5人の幼馴染。ナンシー(ルーニー・マーラ)、クエンティン、ジェシー、クリス、ディーンだ。揃って悪夢にうなされている。火傷で引きつった顔の男が夢に現れ、怖い思いをするのだ。5人ともエルム街の幼稚園で一緒だった。フレディ(ジャッキー・アール・ヘイリー)という、住み込みの庭師が幼稚園の地下室に住んでいた。彼は子供達が生きがいで、子供たちも彼に懐いていた。ある日、地下室から火が出てフレディは焼死する。子供たちは大きくなり、今は高校生だ。ナンシーがバイトしているレストランにクエンティたちがたむろし、悪夢の話をする。ナンシーも同じ夢を見ている。一人、二人と原因不明の死を遂げる。犯人は夢の中にいるのだが、誰もそんなこと信じてくれない。ナンシーは記憶を遡り、母親に「わたしたちは同じ幼稚園だった?」と聞くが母親は否定し、ある人物に「ナンシーが感づいた」と謎の電話▼これもおかしいのよね。還暦過ぎて5歳の記憶を思い出せないのならわかるわ。でも高校生くらいで幼稚園の記憶がすっぽり抜け落ちているなんて、考えられないでしょ。母親にしたら「思い出させたくない」記憶なのだけど、だからって、5人が5人とも記憶喪失みたいに綺麗に消えるものなのでしょうか。ナンシーはクエンティと過去の写真を見て、幼稚園が実際に存在し、火傷を負った庭師がいたことを知り、廃園になった幼稚園に行く。地下室があって、ナンシーは壁に自分が描いた絵が残っていた。クエンティは古びた机の引き出しの写真数枚を見つける。みなナンシーを撮ったものだった。「ひどい」。ナンシーは裸だった。フレディとは児童虐待の小児性愛の男だったのだ…ここで再び疑問。こんな目にあいながらきれいさっぱり忘れられるものなの。記憶消去の薬でもあるのかしら。ルーニーってあの通り、いかにも記憶力のいい賢そうな顔、しているでしょ。だからこのあたりのセリフ、しらばっくれた冗談みたいにしか聞こえないのよね▼母親に詰め寄ってナンシーは真相を知る。フレディは「いたずら」する男だと園児たちの訴えを聞いた親たちは、フレディを懲らしめようと押しかけ、地下室から失火させてしまい、フレディは焼け死んだ。親たちはその件を子供たちに隠し、幼稚園は廃園となった。するとフレディが夜な夜な子供たちの夢に現れ、順番に殺していくのは、焼き殺された復讐だと親は思っていたわけね。ところが違った、ナンシーとクエンティが見つけた写真では、フレディこそ暴行魔、彼がナンシーらを狙うのは「僕たちが真実を知ったからだ」とクエンティが叫ぶ▼ちょっと待ってよ、真実を知ったからって、なんでフレディに殺されなくちゃいけないのよ、アホらしい、とナンシーも思ったはず。フレディと決着をつけてやるわ。そこで夢の領域に、眠りに入るのよ。たちまちフレディが出現し「お前は俺のお気に入りだった。ここは俺の世界だ、興奮するぜ、ナンシー、口では嫌がっても体は喜んでいるぜ」と、またいやらしいことをしようとする。ナンシーはあらがい、夢から覚めようともがくと、な・ん・と、フレディがナンシーにひっついて三次元の世界にやってきたではないか。ナンシーは叫ぶ「残念ね、ここはわたしの世界よ」—もはやどっちの世界でもいいが、いうなりフレディの喉を掻き切るのだ▼いちばん得したのは、セーラー・ムーン的ナンシー、ルーニー・マーラでしょうね。ジャッキーはあの通り、素顔もわからない火傷男だし、若い役者たちは夢に怯えて殺される役、クエンティはかろうじて助かるみたいだけど、どっちにしても最後に自分の足で立っていたのはナンシーだけ。彼女は母親と二人暮し。「たまにはバイト、休めよ」とクエンティたちが言っても、眉も動かさず「たまには違う店に行ったら」と返し、夜遅くまで真面目にダイナーで働く。こういうストイックな役、ルーニーに多いですね。何かのインタビューで「お酒は飲まない、自分をコントロールしにくくなる」というようなことを言っていました。

 

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