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特集「最高の悪役」

2016年6月22日

特集「最高の悪役」㉒ リヴ・タイラー 
ジュエルに気をつけろ(2001年 コメディ映画)

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監督 ハラルド・ツワート

出演 リヴ・タイラー/マット・ディロン/マイケル・ダグラス

 

シネマ365日 No.1790

はみ出す男たち 

特集「最高の悪役」

ジュエル(リヴ・タイラー)に関わった男3人のうちひとりが殺され、ふたりが破滅した、原因はジュエルがひたすらマイホームがほしかったから。出会った男に、ぼろ家ながら自分の家があるとわかると強引に転がり込み同棲。その前に美人局をさせた男を殺してしまうおまけがつく。家が手に入ると、次はリフォームだ、キッチンセットだ、ソファだ、ステレオだ、車だ、と次々取り揃え、彼女もせっせと働くのだが、甲斐性のない男が「働くのは嫌だ、俺は家にいるほうがいい」なんて言い出すと「仕事しなきゃダメよ、人間バカになるわ」ともっともらしいことをいい、で、どんな仕事をさせるかというと、自分が男を連れ出している間に、侵入してごっそり家具一切を盗み出してくればいい、ソファにリビングセットにテレビにと…早い話この映画は、女は欲しいもののためには男を使嗾し、色仕掛けどころか、強盗教唆、実行犯、あるいは殺し屋まで丸め込む、つまり女というものは、物欲のためには何をするかわからん、という主張が見て取れる、けしからん映画なのであります(笑)▼ジュエル(リヴ・タイラー)を見たら誰でも男は一目惚れ。バーテンダーのランディ(マット・ディロン)は「路地裏で出会うような女じゃない」と呆然。刑事のデリング(ジョン・グッドマン)は聞き込みで出会って以来仕事が手につかず、解決したはずの事件の捜査と称して家を訪れ、失業していつも家にいるランディが邪魔だから、DV男だと言いがかりをつけ、家から追い出し接近禁止令を裁判所に出させる。弁護士のカールはランディの従兄だ。ジュエルに会いたいがため、ランディを昼食に呼んだ。ジュエルを見て、敵対したカールの妻は、何のことはない、ジュエルの気配りの行き届くいたわりにすっかり籠絡され、今にもベッドインしそうなほどラブラブムード。ジュエルのハニー・トラップ術は向かうところ敵なし▼リヴ・タイラーのキャラが陽性で、ヨーロッパ映画のヒロインのような、本気度100%の悲壮感漂う悪女ではなく、男たちが競って獲物になりたがり、ライバルの裏をかこうと焦理ながら、ジュエルの術中にはまっていくプロセスが進展する。悪魔女に翻弄されてばかりのランディは、とうとう殺し屋のバーマイスターにジュエル抹殺を依頼した。弁護士、バーテンダー、刑事、殺し屋によるジュエル包囲網を、ジュエルはどう打ち破るのか。無邪気そのものなのだ。ランディがバカな買い物をするなと注意すると、やおら大事そうに大きなノートを見せ、これに自分の夢が詰まっているという。雑誌の切り抜きなのだ。好きな家具や家、インテリアを写真で見たら切り抜いて貼っておき、寂しくなるとそれを見て、いつかこんな家に住むのよ、と夢を描く。こんな話をしみじみされたら、ましてそれが相性のいい女であれば、多少の欠点には目をつぶる気になる。それに彼女はセックスが大好きで、ベッドで必ず男を有頂天にさせる。刑事は「花のような女性だから守ってやりたい」といい、弁護士はカバンにSMコスチュームを詰めて会いに来る。刑事は、殺しに来たはずなのに、拳銃を突きつけるジュエルがカッコよくて見惚れてしまい、意気投合する▼ジュエルが欲しかったのはDVDデッキだった。家で映画を見たくて、ランディの元雇い主のグレッグ家に強盗に入ろうと持ちかけた。ランディはジュエルの計画を聞くたび「やめよう」と諌めるが結局いうことを聞いてしまう。グレッグの家で男たち全員が鉢合わせする。銃撃戦となり刑事とグレッグは死に、弁護士はSMコスチュームと手錠のまま窓から脱出して街路を走る。ランディは負傷。警察が駆け付けたときジュエルは殺し屋の車で逃走。車中、バーマオスターは「俺は家にいるのが好きなのだ。夜はDVDで映画を見るのが最高さ」なんていうものだから、ジュエルは次なる落ち着き先は「殺し屋の家」で決まりである▼犯罪と殺人が絡みながら、「無邪気な悪女」では済まないのだが、監督はジュエルの弾劾より、どちらかといえば彼女に喜んで翻弄されたがる、男たちの馬鹿さ加減に的を絞り、それがまた生き生きとしていて、どうしようもないのだ。ハラルド・ツワートには「ベスト・キッド」「シャドウハンター」などの監督作品と、製作総指揮に当たった「コン・ティキ」があります。「コン・ティキ」はポリネシア人の祖先がアメリカ・インディアンである可能性を、筏の航海と漂着によって証明した映画で、2012年スウェーデン映画最高のヒットとなりました。筏で海に出る無謀な男と、ジュエルの罠にはまりにいく、どちらも「はみ出し気味」の男たちに、監督は何か共通項を感じているのかも(笑)。

 

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