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特集「フリーク/変態の詩人たち」

2016年6月25日

特集「フリーク/変態の詩人たち2」① 
フェノミナ(1985年 ホラー映画)

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監督 ダリオ・アルジェント

出演 ジェニファー・コネリー/ダリア・ニコロディ

 

シネマ365日 No.1793

主役はウジ虫だとも! 

特集「フリーク/変態の詩人たち2」①|監督 ダリオ・アルジェント

いくらホラーでも少しは物語の整合性がいると思うのですが、ごちゃごちゃケチをつけているヒマもなく、ダリオ・アルジェントの怪力に引きずられます。この映画の出演時、ジャニファー・コネリーは14歳。もちろん「ビューティフル・マインド」でアカデミー助演女優賞をとったジェニファーであり、「ノア 約束の舟」では、わからず屋の亭主ノアを説得する美しい妻。二作の夫役がどっちもラッセル・クロウだったというのも奇しきご縁ね。有名な映画俳優をパパに持つジェニファーはスイスのチューリッヒの女子寄宿学校に入るために空港に到着、付き添いの女教師ブラックナー(ダリア・ニコロディ)に迎えられ学校に。ジャニファーには昆虫と交信できる不思議な能力があり、夢遊病が持病というダリオ好みのヘンテコな少女だ。入寮した夜、同室のソフィアから自分たちと同じ年頃の女の子ばかり狙う殺人鬼がこの村に出没していることを聞く。ジェニファーは悪夢にうなされ夢遊病の発作を起こし、校内を徘徊していたとき、殺人鬼が現れソフィアを惨殺した▼ジェニファーの超能力を笑いものにした女子学生たちは、ジェニファーのまわりに集ろうとする黒雲のようなハエの大群をぞっとする。校長はジャニファーが異常者だとみて精神病院に隔離しようとする。昆虫学者マクレガー博士の森の中の家にたどりつく。博士は殺された少女の死体に付着していたサルコファガスというウジ虫を手がかりに、殺人鬼を特定しようとしていた。博士によると死体にたかる昆虫には「墓場の八連隊」と呼ばれる正確な順序がある。まずハエは死体に卵を産み付け各々の連隊が15日ずつ死体にたかる。15日✕8、つまり4ヶ月が1サイクル。「ウジの種類や成長具合で被害者の死亡時期がわかる」というのだ。「サルファガスは墓場にすみ死体をかぎつけ食いつくす。犯人は被害者を身近におきたい異常者だ」と博士は判断し、サルファガスを使って死体の隠し場所を探そうとした。ジェニファーはサルファガスが導くとある森の小屋にたどりつく。同じころ博士がないものかに襲われて殺され、精神病院を訪れた刑事が、15年前に起きた忌まわしい事件を調べていた▼ちょっと脇にそれますがイタリアのジャッロについて。ジャッロ(黄色)の表紙に装丁された小説のジャンル。映画におけるジャンルとしての「ジャッロ」は1960年代に始まり、スリラーやホラーの作品群をさすようになります。過度の流血、狂気、偏執病などを源泉とし、犯罪に導入した荒唐無稽な作劇で、イタリア映画の固有のジャンルとなりました。1970年代ジャッロは絶頂期を迎え、代表的な作家がダリオ・アルジェントであり、ルチオ・フルチです。本作でも犯人と蛆虫、少女連続殺人、過去にさかのぼる犯罪が縦軸に、14歳のジェニファーを超能力が横軸になってドラマを構成します。アルジェントのかもしだす映画空間の演出として、音楽や風景、夜、無人の廊下、半開きのドア、姿なき犯人の襲撃、極めつけがウジ虫プール。ダリオの美少女イジメとでもいうのでしょうか、ジェニファーがゲロ吐きするわ、パンティはチラッとやるわ、とどのつまり腐乱死体のごろごろ漬かったプールにはまり、そこはウジ虫が盛り上がるほど湧いている。ジェニファーの頭やら顔やら、腕も喉もたちまちウジ虫に覆われ「キャーッ」と絶叫につぐ絶叫が響き渡るがだれも助けにこない。いやひとり現れた。これがなんとジェニファーを空港に迎えた女教師である。彼女はジェニファーに嘲笑を浴びせ、殺人鬼の正体を知ったジェニファーに「どんなに醜くても息子なのよ」と叫ぶ。ジェニファーが女教師の家で部屋に引きこもっている少年に声をかけ、少年が振り向いた、その顔が怪物だった、しかも彼の乱グイ歯のまわりにはウジ虫がうようよ。気の弱い観客は卒倒しそうなグロなシーンに一瞬呆然、すぐさまこの少年と「醜くても自分の子」という一言で、真犯人の脈絡がわかる人はすごいわ▼15年前ブラックナーは精神病院の患者に強姦され息子を産んだ、彼は姿形も精神状態も通常ではなかった、人前に出られず閉じこもって人形を相手にし、同じ年頃の少女に偏執した。ブルックナーは博士や刑事の捜査が息子にたどりつく前に殺しちゃったのですね。そこでジェニファーの両能力はそうなった。ジャニファーのSOSに応じて昆虫が助けに群がるのです。でもねえ、べつに昆虫と交信できる力があってもなくても大局に影響ないように思うのですが。猟奇殺人鬼は少年である、ジェニファーは昆虫と交信できる、このふたつがきちんと交錯しないから、しょせんハエなんか飛んでも飛ばなくてもどっちでもいいのよ。同じハエという生物を漬かっても、クローネンバーグの「ザ・フライ」の恐怖とおそれと、そこがえらいちがいなの。主役はずばり「ウジ虫」よ。映画館を出るときに憶えている「さすがダリオ」の映像は「ウジ虫プール」だわ。こんな映画それまで絶対なかったですね。

 

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