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特集「フリーク/変態の詩人たち」

2016年6月26日

特集「フリーク/変態の詩人たち2」② 
サスペリア(1977年 ホラー映画)

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監督 ダリオ・アルジェント

出演 ジェシカ・ハーパー/アリダ・ヴァリ

 

シネマ365日 No.1794

ダリオ・アルジェントに拍手 

特集「フリーク/変態の詩人たち2」②|監督 ダリオ・アルジェント

のっけから嵐の夜だ。ニューヨークからドイツの名門、フライブルク・バレエ学院に留学する、スージー(ジェシカ・パーカー)は、人っ子ひとりいない夜の空港で途方にくれる。やっと捕まえたタクシーに行き先を告げると(ああ、そこか)とあまり嬉しそうでない返事。着いたのは赤い壁の学校だ。ピカッと稲妻が光り、女生徒がひとり、半狂乱でドアから飛び出してくる。「秘密よ、扉の影にアイリスが3つ、青を回して」とドアの中の誰かに告げ、雨の中を走り去る。スージーは「新入生です」と案内を請うたが「知らないわよ」と釣れない返事。もちろんドアは開かない、出直すことにした。入学した途端、怪奇現象が雪崩のように生じる。飛び出していった女生徒はガラスで頭を真半分にカチ割られ、その友達と共に惨殺死体で発見された。スージーはまるで毒気に当たったようにレッスン中に失神し、下宿を引き払い、強制的に入寮させられる。校長は外国に出張中。副校長が責任者で、レッスンやら時間割やら、学生の日常生活一切を仕切るのはミス・タナー(アリダ・ヴァリ)だ▼スージーはサラと仲良くなるが、サラは学校の中に魔女が存在する、魔女とは1895年この学校を創設したギリシャ移民のエレナ・マルコスだというのだ。スージーはにわかに信じがたかったが、ある日天井から大量の蛆虫が落ちてきた。学校はパニックになり、原因は屋根裏の保存食が不良品で、腐敗したからだとわかった。蛆虫騒動で学生は一晩だけ、レッスン場に雑魚寝することに。テントの仕切りの向こうに、誰やら得体の知れぬ影が動き、いびきが聞こえる。それが姿を現したことのない校長だと噂が立った。学内にも不審な人物は事欠かない。寮母は口をきかず、小さな孫みたいな男の子をいつもそばに置き、下男のパプロは大男で入れ歯が自慢だ。歯を褒めたら喜ぶので褒めてやれとタナーは言うが、スージーは顔さえまともに見る気になれない。失神してから栄養をつけるため、パプロが毎食、ベッドに運んでくれることになった。赤ワイン付きだが、これを飲むと妙に眠くなる▼女生徒が天井から血まみれで釣り下り、盲目のピアノ教師は犬に噛み殺される。サラまで行方不明になり、眼球に針金が突き刺さった死体で発見された。スージーはサラが一枚だけ残したメモにある男性を訪ねた。精神科医だった。母親の死後強度な神経症を患ったサラは、彼の患者だったことがあった。魔女とは誰のことか。精神科医はスージーの質問に、その分野の専門家、ミリウス教授を紹介してくれた。教授が言うには「マルコスは欧州各国から追放された魔女で黒の女王と呼ばれた。ドイツに落ち着き、バレエとオカルトの学校を創立した。それがフライブルク学院で、10年後学院は火事で焼け、マルコスは焼死した。学院は弟子が再建し、オカルトは排除してバレエだけ残し、それが有名になった。魔女はあらゆる悪事を働く能力がある。オカルトの専門技術で生じさせた魔力を使い、世界や人々の運命を悪い方に変える。物質的優位を追求し、そのため他人を傷つける。苦痛や病苦を与え、邪魔な人間は死に至らしめる」という、ものすごい力である▼定番のホラーものといってしまうには、なかなかの映画です。ナイフがブスブスお腹に刺さったり、ドギャーという悲鳴が今にも聞こえそうだったり、ヒロインはか弱い少女だったり、切り裂かれる首や喉から血がドボドボ。もう刺激に次ぐ刺激ですが、それでいて、叙情的な音楽が、作品の雰囲気をまるで洗練された精密画のように仕上げている。やがてある日、スージーは学校に誰もいないことに気がつきます。台所では寮母が二人、まな板に巨大な肉の塊を乗せ、大きな音を立てて肉切り包丁を振るっているのを見た。なぜ誰もいないのかと聞くと、タナー先生が引率してボリショイを見学に行ったからだと答える。スージーは広い学校に一人残された。やがて嵐の夜が来た。スージーが声のする部屋に近づくと、副校長やミス・タナーや寮母やパプロが集まり、「あのアメリカ娘は厄病神だよ。早く殺さなければ」と副校長がいっているのだ。アメリカ娘とはもちろんスージーのこと。このままでは殺される▼いよいよスージーの大冒険。意味不明の混乱に乗じて彼女はついに魔女「黒の女王」にあい見える。「お前がわたしと勝負しようというのか」と女王はやけどで焼けただれた顔で嘲笑するが、スージーが振り下ろしたナイフのひと刺しであっけなく死んじゃう。おかしいだろ、400年生きてきたはずの魔女が、そう簡単に死んでいいのか。いいらしい。魔女が死んだら「頭のないコブラ」と一緒で、副校長もミス・タナーもバタバタ倒れ、学院のどこからか出火し、たちまち炎に包まれた。いち早く避難したスージーは雨に打たれながらニッコリ微笑む。まあそういうお話で、ホラーの定番を律儀なほどきっちり抑えた佳作です。次の殺人の予測はつきながら、最後までたるみませんでした。ダリオ・アルジェントに拍手。

 

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