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特集「ベストコレクション」

2016年7月7日

特集「7月/真夏のベストコレクション」⑦ 
午後3時の女たち(2015年 社会派映画)

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監督 ジル・ソロウェイ

出演 キャスリーン・ハーン/ジュノー・テンプル/ジェイン・リンチ

 

シネマ365日 No.1805

まあ、いいか。 

暇を持て余すとろくなことにはならないな。ヒロイン、レイチェル(キャスリン・ハーン)はセックスレスの相談にレノア博士(ジェイン・リンチ)のカウンセラーを受けている。「寝る前のセックスなんて最悪」とレイチェル。「いつならいいの?」と先生。「午後3時半よ。真っ昼間にカーテンを閉めてするのが好き」ふうん「昼下がりの情事」を思いだすなあ。ジル・ソロウェイは女性監督だ。それにしてもレイチェルみたいな主婦に女性は共感を覚えると思ったのかしら。クェンティン・タランティーノは本作を高く評価したのですって。キル・ビルのほうがよっぽどまともな女だと思うけど。たるいことばっかり、言ったりやったりしている人物たちの中で、精彩を放つのはこの子、自称セックスワーカー、つまり売春婦のマッケナ(ジュノー・テンプル)ね▼ジュノー・テンプルが、だんだん地力をつけてきているのがよくわかる。決して美人じゃないし、長身でもないし、小柄で目立たない女優だけど、一度見たら妙に覚えてしまう容貌であり、雰囲気をまとっているのよ。小悪魔みたいな役がよく回ってくるけど、それなりに演じ分けている。「汚れなき情事」のズル可愛い、あるいは「聖トリニアンズ女学院」の頼りない女の子なんかの後、ハリポタ王子、ダニエル・ラドクリフ君の恋人をやったときは、まさに純愛物語のヒロインだったわ。彼女けっこう達者な女優よ。いくつなの? 27歳ですって(2016)。やるわよね。思い出したけど、「シン・シティ復讐の女神」では「汚れなき」に続きエヴァちゃん(エヴァ・グリーン)と一緒だった。で、本作ではどんな役かといえば、悩んでばかりいるアラフォーのレイチェルに刺激を与えるストリッパーです。日本のストリップと違って、アメリカの金持ちが見学会みたいにしていくストリップ劇場があって、そこは個室があったり、お気に入りを指名したり、なんていうことはない、売春も同じね。レイチェルたちの集まりって、かなりバカらしいことを平気でやります。「告発の行方」やら、俳優の誰それのネタなんか、こんなことばっかりウダウダいっていたら、風水を担がなくても、運気はよくならないだろうと思うわ▼ストリップ見学会でレイチェルはマッケナと親密になり、なんかのトラブルで部屋を追い出されたマッケナを自宅に泊めてやる。そんなに気軽によく知らない人を家に入れていいのか。レイチェルの夫も、セックスレスの現状に引け目があるのか(でもほとんどの理由はレイチェル側だと思うけど)、今夜はワンちゃんを部屋から出そうかとか、気を使ってそれとなく水を向けるけど、レイチェルの反応は限りなく鈍い。セックスなんかどうでもよくなっている倦怠期がありあり。そのくせ、相手を変えるほどの好奇心も冒険もない。辛気くさい映画なのよ。レイチェルの仲間はマッケナを軽く見ていたけど、そこはソレ、マッケナは歴戦のキャリアだから女の扱いも男の扱いもプロだ。男たちの淫らな視線など(おお、来たか)す〜と外したり、パシッと打ち返したり、レイチェルの仲間のママたちが太刀打ちできるはずがない。とうとうお友達の旦那が一人、マッケナの危ない誘いにはまり、現場に奥さんが踏み込んでしまう。詰め寄る奥さんにマッケナはケロリ「わたしは売春婦よ」と涼しい顔でいう。技ありね▼レイチェルはだんだん、マッケナのたくましさに圧倒される。体を売ろうがなんだろうが、あんたみたいな贅沢三昧の主婦が、勝手な寝言をいって生きているのとわけがちがう…そう言われているような気がする。誘惑騒動で、マッケナを家から追い出し、マッケナは元の娼婦兼ストリッパーに戻る。レノア博士は博士で、多分同性との失恋でカウンセリングの最中に泣き出し、レイチェルに慰められる始末。みんな、けっこう頼りない人生を生きている。この映画はそう思わせるのに成功し、でもそれを責めたりしない。頼りなくてもいい加減でも、人は生きていける。精神科医だってショックで泣き、袋小路だと思っていたレイチェルが出口を見つけた。午後3時のセックスに旦那が賛成し、会社から帰ってきてせっせと励んでいる。憤慨するのもバカらしくなり、マアいいか、と言いくるめられてしまう映画。

 

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