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特集「B級映画に愛をこめて」

2016年7月12日

特集「B級映画に愛をこめて3」① 
ラストスタンド(2013年 アクション映画)

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監督 キム・ジウン

出演 アーノルド・シュワルツネッガー/エドアルド・ノリエガ

 

シネマ365日 No.1810

後味いい男たちの映画 

特集「B級映画に愛をこめて3」

シュワちゃんの主演で最近何本か見たけど、これがいちばんよかったわ。「ターミネーター:新起動/ジェニシス」と比べてさえ、こっちね。アーノルド・シュワルツネッガー俳優復帰第一作であり、キム・ジウン監督のハリウッド第一作です。第一線を退いた初老の保安官レイがシュワちゃん。彼はかつてロスアンゼルス市警の敏腕刑事で鳴らしたが、部下7人を死なせた自責の念を引きずって、今はメキシコ国境の小さな町、ソマートンの保安官として静かに暮らしている。そこへ移送中の凶悪犯にして死刑囚、麻薬王コルテス(エドアルド・ノリエガ)が脱走し、時速400キロを出せる、シボレー・コルベットZR1を駆って、メキシコに向かい、途中にあるソマートンを通過するというのだ。警察もFBIも間に合わない。ソマートンを守るレイたちが「最後の砦」(ラストスタンド)となって、コルテスを阻止することになった。コルテスは最新鋭の武器を揃えた「軍隊」とさえ言われる犯罪グループのドンである▼役者が揃ってドンピシャリ、決まっていましてね。シュワちゃんは「年だな」とつぶやく老保安官ですが、深く刻まれたシワや、「へ」の字に結んだ頑固そうな口元や、こればかりは少しも衰えない炯々とした眼光。軽々と重銃器を扱う太い腕、確かにお腹は出てきているけど、それさえ年相応よ。68歳になってまっすぐなお腹なんて、不自然よ。見栄はっていないところがいいわ。保安官を助ける副保安官がまた頼りなくて、一人は殉職するのだ、かわいそうに。何しろ「軍隊」を相手にするのに圧倒的少数であるから、ブタ箱に入っている男まで出して銃を持たせる。キム・ジウン監督のきめ細かい作り込みがよく表れているのがこんな役。銃器マニアで、町の古工場に「武器博物館」と称する改造物置のようなところに、大昔の銃器火器を収集して、ドイツ軍が置いていった重機関銃に「クレイジー・ビッチ」なんて名前をつけている爺様ルイス。中世の騎士の剣、日本の兜、骨董品かもしれないが、そうであればあるだけルイスの自慢だ。加勢が要るのだろ、とルイスは助太刀を買ってでる。レイは住民に避難するよう勧めに回る。「脱走犯が町を通るのだ。家に帰って外へ出ないでくれ。聞こえたろ?」コーヒーを飲んでいる爺様も婆様も腰を上げようとしない。彼らはケラケラと笑い「俺は72歳だ。コレステロールで脂肪はたっぷりだ。死ぬのが怖いかってかい? 朝食を頼んでいるのだぜ!」「もう作っているぞ!」処置なし▼いちばん先に異変を察知するのは町のダイナーで働くウェイトレスのクリスティだ。朝いちばんにレオを起こしに行く。「どうしたのだい」「牛乳の配達がまだなの」クリスティは「パーソンズが遅れたことなんかいっぺんもないのよ。おかしいわ」当たりだ。いち早く先遣隊といて町に来ていた殺し屋は、町外れの牧場主、パーソンズを抱き込みに来たが、ほうほうの体で追い返された。この俳優、ハリー・ディーン・スタントンです。ご記憶ないでしょうか。「エイリアン」で宇宙船ノストロモ号の中で、猫のジョーンズを探すクルーだ。「ジョージー、ジョージー」と呼びながら暗い船内を調べていく、すでにエイリアンの襲撃を受けた船艇の内部は水が滴り落ち、男の上に雨のように注いでいる…あの時の俳優です。89歳になりました▼そしてこの悪役。スペインの貴公子、エドアルド・ノリエガが端正な顔立ちで死刑囚の麻薬王。ラスベガスを本拠地とし、巨大組織の首領であり、匿名でレースに参加するほどの運転技術を持っている。ヘリでも飛行機でも飛ばせるのに、陸路を選んだのは、コルベットを走らせたいからだ。この車が1000馬力、時速400キロ。ノリエガが疾駆させる車のシーンの後にシュワちゃんチームが映ると、超アナログがユーモラスなほどだ。全然戦闘意欲のなかった副保安官の一人が、人質になったクリスティを助けようと身を挺する。殺しのプロ集団を相手に最後は肉弾戦。「年だ」と言っていたシュワちゃんが、若いときのスピードこそないが、重量感たっぷりなアクションを見せます。やっぱり彼は骨の髄からアクション俳優です。悪役も殺し屋も含めて、後味のいい男たちの映画でした。

 

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