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特集「B級映画に愛をこめて」

2016年7月13日

特集「B級映画に愛をこめて3」② 
グランド・イリュージョン(2013年 犯罪映画)

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監督 ルイ・ルテリエ

出演 マーク・ラファロ/ウディ・ハレルソン/メラニー・ロラン/モーガン・フリーマン/マイケル・ケイン

 

シネマ365日 No.1811

要は復讐だったのね 

特集「B級映画に愛をこめて3」

魔術師ものが好きな人には堪えられないでしょうね。確かに面白いですよ。4人の天才イリュージョニストが、謎の人物によって集められた。彼らが仕掛けるトリックと、それを暴くマジシャンの腕比べに謎の人物の正体がこの映画のストーリーです。秘技を繰り出す4人とはチーム「フォー・ホースメン」のリーダー、アトラス(ジェシー・アイゼンバーグ)、脱出の天才ヘンリー(アイラ・フィッシャー)、心を読むメンタリスト、メリット(ウディ・ハレルソン)、カードの奇術師ジャック(デイヴ・フランコ)だ。マジシャンにとっては悪夢のようなタネ明かしの名手、サディアスにモーガン・フリーマン、FBI捜査官ディランにマーク・ラファロ、インターポール(国際刑事警察機構)のアルマにメラニー・ロランがからみます▼一言でいうとマジックを用いた強盗映画です。ホースメンはトリックで大金をまきあげ、それをばらまく、つまり企業の不当な利益を、搾取された人々に戻すのが彼らの仕事だというわけです。マジックで悪を倒す現代版ロビンフッドが「売り」である。最初の強盗マジックのステージはラスベガス。会場にいた観客のひとりの、パリ信用銀行の口座から100万ドルを盗み、ベガスの会場に現金を雨あられと降らせたのだ。つぎはニューオーリンズだった。ホースメンはアクロバットなイリュージョンで会場を興奮させたあと、彼らのスポンサーであり、保険会社を経営する大富豪、トレイラー(マイケル・ケイン)をステージにあげた。彼の銀行口座の預金高を表示したパネルが現れ、ライトを当てると数字はみるみる減少し、引き出された金はすべて、会場にいた観客たちの口座に移し替えられていった。ファイナルはニューヨーク。エルクホーン警備会社が警備する金庫から現金が消えた。金はサディアスの車から発見された。彼によってマジックのし掛けを暴露されたため、仕事を失い、自殺にも至ったマジシャンがいた。サディアスは強盗の現行犯逮捕である▼確かに面白い、とは書いたのですけどね。気持よく屈服できないものがあるのよね。一連の強盗事件とサディアスの社会的な抹殺は、謎の人物の復讐なのです。彼の父はマジシャンで、サディアスがネタバレしたため仕事に行き詰まり、起死回生のマジックを考えだした。金庫に入ったまま川に投げ込まれ、そこから脱出するという、命がけの脱出マジックだった、しかし金庫は開かずマジシャンは閉じ込められたまま沈んだ。彼が失業中、お金を借りた銀行がフランスのパリ信用銀行、とレスラー保険会社に加入していたが保険金は支払われなかった、開かなかった金庫はエルクホーン会社の不良品だった。そしてサディアスへの復讐で完了したわけね。まず、なにが気持よくなかった原因か。復讐行為がしつこすぎるわ。エンタメ映画に堅い小理屈を持ち込みたくないけど、それでなくとも果てしない復讐戦に世界は辟易しているのに、本来罪のないマジシャンを巻き込んで、美名に名を借りた犯罪なんか、うんざりするわ。それにインターポールのアルマっていう人もずいぶん能がないのね。国際刑事警察機構は各国の警察の連絡窓口みたいなもの、というのは言い過ぎとしても、捜査・検察・裁判の実際的な権力はもっていないから仕方ない、ただ現場をうろうろして二言目に「わたしを信じて」というだけ。結果も出せず国に帰って、おいかけてきた真犯人とセーヌ川の橋の上で南京錠をかけ、鍵を川に投げ込んでエンドだなんて、人をばかにするにもホドがあるわ。マジシャン4人がいっしょに組んで、第二作があることを仄めかしていたけど、少なくともメラニー・ロランのインターポールが出て来るのならごめんだわ。この女優、出演作のチョイスがだんだんおかしくなってきたような気がするのだけど。このままつまらん引き立て役で終わってほしくないわね。いちばん感触がざらざらしてしっくりこない原因は、どう考えても作為的すぎるのよ、この映画。ビルごとまるがかえのイルミネーション、舞台の壮大な装置、ベガスやニューヨークであれだけのステージをつくるのにいくらかかると思う? 少なくとも真犯人の所得やふところ具合でできるスケールではないわ。ストーリーの基本が古色蒼然とした勧善懲悪といい、飛びすぎる現実感覚といい、能力を発揮できないヒロインといい、イリュージョンで済ませるにはついていけないものがある。

 

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