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特集「B級映画に愛をこめて」

2016年7月19日

特集「B級映画に愛をこめて3」⑧ 
イコライザー(2014年 アクション映画)

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監督 アントワーン・フークア

出演 デンゼル・ワシントン/クロエ・グレース・モレッツ

 

シネマ365日 No.1820

平等にならす人 

特集「B級映画に愛をこめて3」

96時間」のパパもそうだった、「ボーン・アイデンティティ」のジェーソン・ボーンもそうだった、「沈黙の戦艦」のケイシー・ライバックもそうだった、なぜ彼らはむちゃくちゃ強いのか。答えは簡単、元CIAであり、元海兵隊だから。他にも元FBI(「バウンティ・ハンター」)、元グリーンベレー(「ランボー」)とかがある。「元」がつくと、いちいち強い理由を説明しなくてもいいから便利だ。本作の主人公ロバート(デンゼル・ワシントン)は元CIA。オープニングでカメラが映していく彼の部屋とは、古いけれど清潔で塵一つ落ちていない。整理整頓が行き届き、ベッドメークは完璧、ロバートは洗濯したノリの効いたシャツ、動きやすいGパン、腕時計をセットする。なぜここまで入念に、一点一画おろそかにしないのか。単に綺麗好き、なのではない。カーテンやの引き具合、マットレスやデスクの上のパソコンの位置など、僅かでもずれているような、ちょっとした異変がすぐわかるようになのだ▼ロバートは過去を隠し、ホームセンターで明るく働いている。誠実で間違いのない仕事ぶりで職場の信頼は厚い。不眠症の彼は、夜は24時間のダイナーで本を読む。「老人と海」を読んでいたら、馴染み客の娼婦テリー(クロエ・グレース・モレッツ)が話しかけた。クロエがムチっとしています。娼婦という、女優の通過儀礼の役に挑む年になったのですね。くたくただと言って戻ってきたその夜、ケータイが鳴って、まだ客をとらねばならないことになった。「ブタみたいな客」が外の車で待っている。コーヒーを飲み終え「いくら?」と聞くと、マスターは顔を見ないで「いいから行きな」と言った。街角にあるこのダイナーのセットは、絵画のようにエレガントで、昔ながらの橙色の夜の照明が、とてもセンスいい。テリーはロバートの前に座って、話をしてもいいかと聞く。「客をとる前に穏やかな声を聞きたいの」「君はなりたい者になれるのだよ」歌手を夢見ているテリーに、ロバートはやさしく言う▼テリーが売春組織のボスに殴られ、入院したとロバートは知る。売春の元締めはロシアン・マフィアだった。ロバートは現金9800ドルを用意し、テリーを自由にしてくれと交渉するがボスは一笑に付す。選択の余地はなくなった。テリーはボロボロになるまで体を売らされるのだ。ロバートは過去の封印を解き、腕時計をセット、19秒で男5人を全員殺す。さてここからはロバート対ロシアン・マフィアの最高幹部テディとの対決である。彼は背中にも胸にも気色悪いくらいタトウがびっしり。でもロバートの常人ではない殺傷能力に、部下はどんどん殺される。アントワーン・フークア監督は「トレーニングデイ」で、デンゼル・ワシントンにアカデミー主演男優賞を取らせた人ですから、息はピッタリなのだけど、びっくりしたのは、ロバートはマフィアの本拠モスクワへ飛ぶのだ。いくらこの大ボスを殺さないと報復手段を取られるとは理屈でわかりますが、この映画、だんだんイーサン・ハントみたいになってきて、堅牢だったリアリズム(らしきもの)はどこへ。大ボスはあっけなく感電死。映画がゆるくなっています▼おわかりの通り全編を通じて、天使の処刑人「狼よさらば」のオマージュですね。チャールズ・ブロンソン主演のポール・カージーのシリーズとなった映画。本作も大ヒットだったから「2」が作られるかもしれない。第一ロバートは「逃げ場のない困り事、相談に乗ります」なんてネット広告出して、裏の世界に復活する模様。大いに結構だけど130分は長すぎる。もうひとつ、ロシアやらどこやら、世界を股にかける大活躍は「007」か「ミッション・シリーズ」に任せたらどう? ホームセンターで働く読書好きの、博学の、亡き妻を愛する、修道僧のような仕事人には、どう見ても合いません。イコライザーとは「イコールにする人」つまり、ならして平等にする、本作の場合、悪いやつを栄えさせない、とでも考えたらいいのかな。

 

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