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特集「ザ・クラシックス」

2016年7月30日

特集「ザ・クラシックス4」⑧ 
トリコロール/赤の愛(1994年 社会派映画)

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監督 クシシュトフ・キェシロフスキー

出演 イレーヌ・ジャコブ/ジャン=ルイ・トランティニャン

 

シネマ365日 No.1828

愛と救済の三部作完結 

特集「ザ・クラシックス4」

やっと終わったわ。三部作の全部が、もうやめようかな、もうやめようかな、と思いながら最後まで見さされる不思議な監督、クシシュトフ・キェシロフスキであります。彼の映画は必ず「再生」があります。三部作も例外なし。そういう意味では安心してみておれるのね。この監督は登場人物たちに、どんな紆余曲折の辛い目をさせたって、最後には救うのです。決して残酷なまま放ったらかしにしない。本作だって一言でいえば「出会いと救い」の映画よ。でもね〜、途中何度か(ひょっとして妄想オチではないか?)と疑いましたよ。ジャン=ルイ・トランティニャンがイレーヌ・ジャコブに夢の話なんか始めたときはね。のちに青年のジャン=ルイの悲恋が語られ、それと同じ状況が、若い弁護士の青年の身の上に起こる。彼は愛している女の情事に傷つき、船でイギリスに渡る。その船は嵐で遭難する。ニュースでそれを知ったジャン=ルイは、救出作業を見る。イレーヌ・ジャコブはボートに移され、その隣に青年がいる。ジャン=ルイは過去の自分をみる思いがする。彼は天使のように無垢なイレーヌに「君は存在するだけで充分だ」という、ピュアな愛を捧げているのです。彼の孤独と人嫌いなさびしかった半生を覆し、人生の実りを与える最高の出会いがあったわけよ▼役者名でいきます。イレーヌは恋人がいるがうまくいっていない、彼は劇中電話でしか登場しないが、聞いているだけで、嫉妬深い自己中心的な男。遠からず破局は目にみえている。イレーヌはある夜イヌをはねた。獣医に連れて行き、首輪にあった住所に訪ねていき、ドアが開いているので中に入るとジャン=ルイがいた、わけをききイヌは「君にあげよう、利口なイヌだ」「いらないの?」「なにもいらん」と世捨て人同様の対応。妙な機器がとりそろえてある。「盗聴さ」とこともなげに言う。隣人の家の夫はゲイだ。「君は他の男の前で裸になる。僕の唇で君の体中にキスを浴びせたい」と聞こえてくる。「楽しくないか」とジャンールイ。「卑劣だわ」「そして違法だ」。ジャン=ルイはイレーヌの弟がドラッグ中毒であること、隣人の夫婦はいずれ「男が身投げするか妻に知られる、地獄さ、彼に電話して盗聴されていると伝えろ」イレーヌは隣家にいくが、きれいな妻と幼い娘をみてなにもいえず引き返し「哀れな人ね」とジャン=ルイに言う▼そんなやりとりをかわすうちにふたりの心の距離は近くなっていく。自分のことを話すようになる。イレーヌはある日退職判事が盗聴で逮捕された記事を読む。ジャン=ルイを訪ねるとすでに家に戻っていて、「君がどんな反応をするか知りたくて警察に自分でタレ込んだのだ」「わたしを待っていたの?」「そうだ。そこにすわってなにか話してくれ」「愛する人は?」「いない」「愛したことは?」「きのう君の夢をみたよ。君は50代で幸せそうだった」「夢は実現する?」「ひさしぶりに幸せな夢だった」「わたしにできること、ない?」「いるだけでいい。充分だよ」ふたりはすっかり打ち解け、イレーヌは勝手な恋人などどうでもよくなり、モデルの仕事でイギリスに行く、もどってきたら子供を産んだワンちゃんの子をもらいにくると約束する。そこで海難事故にあうのだけど、前述の通り救出される。このシーンに「青」「白」の主役が顔をみせます。ジュリエット・ビノシュ、ジュリー・デルピー、ズビグニエフ・ザマホフスキ、つまりカーテンコールね▼「青」は自由、「白」は平等、「赤」は博愛が三部作のテーマです。「青」でジュリエット・ビノシュが過去からのしがらみを捨てて自由になり、「白」でジュリー・テルピーが元夫に復讐されて「おあいこ」になり、「赤」でイレーヌがジャン=ルイとの友愛を得るっていう映画。キェシロフスキ監督についてはどっちを向いても絶賛だから、やれ技術だ、構成だとかに触れる気はないのだけど、女優についてだけちょっと。いちばん力強かったのはビノシュ、いちばんキレイだったのはテルピー、いちばん監督のお気に入りはまちがいなくイレーヌ・ジャコブよ。ホンワリした鷹揚な持ち味がたぶんいいのだと思うわ。ビノシュは強すぎる、テルピーは賢すぎるからね。

 

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