女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss
  • ブックマーク

シネマ365日

2016年8月1日

特集「気になる女1」① ヴェラ・ファーミガ 
情事-セカンド・ラブ(2007年 恋愛映画)

Pocket
LINEで送る

監督 キム・ジナ

出演 ヴェラ・ファーミガ/ハ・ジョンウ

 

シネマ365日 No.1830

青い眼のヴェラ 

特集「気になる女1」

初めて見た彼女の映画は忘れてしまったのですが、主役より脇だったヴェラ・ファーミガの名前を覚えました。場面に彼女が現れるたび「だれに似ているのだったかな」と、思い出そう、思い出そうとしているうちに映画は終わってしまった。ヴェラが出ずっぱりで出ている映画なら、見ているうちにわかるかもしれないと本作を選んだのですが、印象は同じ。「この表情、見たことがあるな、だれだったかな。キム・ベージンガーの若いときだったかな、いや、ちがうな」。どうもはっきりしないのに、記憶の底に「ほら、ほら、あの映画ですよ」とささやく声がする。だれとは思い当たらないのだけど、親近感とともに「知っているような、もしくは知っていたような」気のする人だったのです▼女優の中に、時々おられません? とても感じのいい人で、知性的で控え目で、オスカーなら主演女優ではなく助演(ヴェラも候補になっています)、出番は少なくとも役の作り込みが行き届いているので、記憶に残る人。もちろんきれいではありますが、目を剥くような美女でもゴージャスな女優でもない。といってケイト・ブランシェットのような、神業みたいな演技をしでかす「演技の鬼」か、というと雰囲気として、もっとのんびりしている…アバウトにいって、ヴェラ・ファーミガのアウトラインはそんなところでした。全然ハリウッド的じゃなかったしね▼本作は韓国の女性監督、キム・ジナの長編デビュー作です。ヴェラは韓国系アメリカ人家庭に嫁いだソフィー。夫は弁護士のアンドリュー。もっぱら夫の実家が主に描かれ、一族揃って子供のできることを待ち望んでいる。これじゃ嫁は大変ね、と思うが夫のプレッシャーも想像を超えている。何しろ一家の期待を担っている息子ゆえ、後継が欲しいのだろう。でもこればかりはねえ、と思うが実家の母親、姉ら女性たちはみな信心深く、祈ればかならず神様は願いを聞き届けてくださるというが、ヴェラは祈り方を、だれも教えてくれないような家庭で育ったのだ。思い余ったヴェラは人工授精を医師に頼むが、それには夫の承認がいる、実家はとてもそんなこと許さない、悶々とするソフィーは、病院で出会った青年ジハ(ハ・ジョンウ)に精子の提供をお願いする…なあんて、この段階でソフィーは夫とすでに気持ちが離れているのよ。ソフィーの実家の背景がさっぱりわからないし、なんでそこまで子供にこだわるのか映画ではイマイチ不鮮明です。子供を産むことでしか、夫の家に自分が落ち着く場所はないと思わざるをえなかったのか。旦那すら「子供、子供」の大合唱に疲れきって自殺未遂にまで至る。「もういい、諦めよう」と妻にいうところなんか、けっこう痛々しいわよ。でもソフィーは不妊の原因は夫にあることがわかっている。自分は一度妊娠しているからね。医師に言わせると精子に元気がないらしいのだ。よっぽどアンドリューは子供の時からストレスが強かったのかも▼ンでまあ、あとはお定まりの、妊娠までの割り切ったセックスだけの関係だったのに、どっちも寂しくて気持ちが通い合う、本気で好きになってしまって、義務と責任を果たす行為から歓びに転じた、そして妊娠、夫の実家は一家あげて妊娠パーティーを開く、その席でソフィーが妄想したのはジハの抱擁だ。妻の不審な外出先を突き止めた夫は、ジハを不法滞在で警察に突き出し、ソフィーの子を中絶しろと迫る。勝手な奴ねえ。本当に子供が欲しけりゃ、養子だってなんだって引き受けてやればいいだろ。ジハは強制送還だ。その夜ソフィーはジハの電話を受け取る。ここから一挙にエンドです。どことも知らぬ海岸にソフィーと男の子がいる、ソフィーは第二子が生まれる予定。大きなお腹で海岸を歩いている。見るからに幸せそうだ。ジハはいないが、思うに強制送還が決まったジハは、ソフィーに韓国に来て欲しいと頼んだのだろう。幕切れとしてはあまりにあっけなくて「なんだ、これ、どうなってンだよ」とブーイング必至。荒っぽいとしかいいようのないくくり方だ。あれがジハの故郷、韓国の海岸だと、どうやってわかれというのだ。こう書きながらも、そうとしか考えられないからという消去法的推測にとどまる。どこの海岸だろうがソフィーは幸せなのだから、監督は「よし」ってことにしろというわけね。ジハの貧しい、過酷な労働で日銭を得る移民生活とか、ソフィーの、夫とその家族を見る冷静な眼差しとか、水に弾かれた、あるいは水を弾きあった油滴がくっつくような、そして溶け合ってしまったようなソフィーとジハの親密度とか、パーツ、パーツがきめ細かくて退屈しなかった。しかしどのシーンでも、ヴェラ・ファーミガは目立ちすぎだったわね、特にあの青い眼が。ジハが行為のさいちゅう「眼が青すぎる」っていったのはアドリブ?(笑)。

 

Pocket
LINEで送る