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シネマ365日

2016年8月6日

特集「気になる女1」⑥ アナ・ケンドリック 
マイレージ・マイライフ(上)(2009年 社会派映画)

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監督 ジェイソン・ライトマン

出演 ジョージ・クルーニー/ヴェラ・ファーミガ/アナ・ケンドリック

 

シネマ365日 No.1835

傷ついた魂を運ぶ 

特集「気になる女1」

劇中ジョージ・クルーニーとヴェラ・ファーミガが横に並んで、アナ・ケンドリックが対面に座り、学生が、カウンセラーに話を聞いてもらうみたいなシーンがあります。アナは「ピッチ・パーフェクト」で「チビ」がギャグになるくらい小柄ですし、長身のクルーニーとヴェラに挟まれると引率された生徒みたい。簡単に言うとこの映画は、小難しい人物や、複雑な事件があるわけでもない、人が生きるのは妥協と挫折の連続、でも少しの希望を元手に再出発することはできる。結婚してもいいし、しなくてもいい、一緒にいて楽しい相手は大事にして、シビアな現実を、時々でもいいから温かい視線でみよう、概ねそういっている映画です。主要人物は前述の3人。セリフや撮影が極めて洗練されています。脚本はジェイソン・ライトマン監督とシェルドン・ターナー。ゴールデングローブ賞脚本賞を受賞しました▼ライアン・ヒンガム(ジョージ・クルーニー)はいわゆる解雇宣告屋。1年のうち322日、飛行機で全米中を飛び回る。「バックパックに入りきらない持ち物は人生で持たない」主義を講演したりする。コーネル大学を首席で卒業した女性、ナタリー・ターナー(アナ・ケンドリック)が入社した。彼女は「わが社は23人の担当者が250日以上、出張する。非合理的です」とネット解雇を提案した。「コカコーラもIBMもやっている方法です。誰も出張する必要がない」。ライアンは「モニターを見てチャットするだけで人の心理はわからない」と反対するが、上司はコストカットに飛びつき「ナタリーを教育しろ」とライアンに命じる。「ネット世代の小娘に社運を任せるのか」「実地で仕事を見せてやれ」。仕方なくライアンはナタリーを連れ、各国の企業の「首切り現場」に飛ぶ。空港で一悶着。ナタリーの荷物が多すぎると、ライアンはパッケージのほとんどをゴミ箱に放り込む▼ナタリーは機中もパソコンを叩き詰めに叩く。フローチャートを作り、パターンに嵌め込めば交渉は機能的になると、早速現場で応用したが、彼女のワンパターンかつビジネスライクな対応が反発を買った。つまり、こうだ。「あなたの雇用は今日限りとなりました」「なぜわたしが。10年真面目にこの仕事に打ち込んできた。子供にどう伝えろというのだ」「お子さんたちには返ってプラスになるでしょう。統計では辛い思いをしたお子さんは学問に打ち込む傾向があります」「年収9万ドルから失業手当週250ドルだ。どこがプラスだ! クソくらえ!」。ライアンが言った「スポーツ選手はなぜ子供に好かれると思いますか」「女にもてるからだ」「違います。夢を追っているからです」「俺はバスケもできん、スポーツは何もできん」「料理はできるでしょ」「?」「履歴書に書いてあります。フランス料理を学んでいると。学生時代のアルバイトも一流レストランだ。いつか仕事を辞めたら、夢を実現しようと思いませんでしたか。生涯、一つの仕事に勤め続ける人を僕はたくさん見てきました。時間に縛られ、他の幸せを知らない。あなたが生まれ変わるチャンスは今です。夢を追い続けるあなたを、お子さんたちはきっと尊敬するにちがいない」。考えがちになった彼に、ナタリーは再出発支援の資料一式を渡します▼ライアンはナタリーに訊きます「われわれの仕事とは?」「失業者に心の準備をさせ訴訟を避ける」「それは表向きだ。現実は苦痛を和らげ傷ついた魂を船で運ぶ役だ。淡い希望が見えるところまでね」。解雇される痛みを知り、充当者の履歴にまで目を通し、背景を理解したうえで「船で運ぶ」ライアンの現場感覚と、そこにある「人対人」の温かみをナタリーは身を以って教えられる。さてアレックス(ヴェラ・ファーミガ)の登場です。バーでたまたま出会ったライアンとアレックスは意気投合、大人同士の交際と割り切って、出張の出先で日時を調整し「気楽な付き合い」を始めます。アレックスがどんな環境にいるか、具体的な風景は何一つ紹介されません。ミステリアスでありますが、彼女自身が、そういう自分に一つも無理をしていないことをライアンは敏感に感じ取っていて、願ってもない気楽な付き合い相手だとみなしています。

 

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