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シネマ365日

2016年8月12日

特集「懐かしい、あいつら1」③ 
ビタースウィート(2003年 青春映画)

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監督 マリア・フォン・ヘランド

出演 アンナ・マリア・ミューエ/カロリーネ・ヘルフルト

 

シネマ365日 No.1841

迷えるイケズ女子 

特集「懐かしい、あいつら1」

17歳の高校生ふたりが主人公。どっちも問題児だ。しつけの厳しい母親のもとで育てられているカティ(アンナ・マリア・ミューエ)。部屋にはコンドームやタバコを隠し派手な服をきて夜遊びにでかける。親友のステフィ(カロリーネ・ヘルフルト)は新聞社に務める父親と、明るい母親のもとで何不自由なく暮らす。同級生のイヴォンヌは父親とトラぶり、パリへ家出する費用を稼ぐため、ポルノの撮影スタジオに行くとステフィに打ち明けた。父親の不倫の現場をバーで見たステフィは、相手の女性の娘テッサを、イヴォンヌから聞いていたポルノスタジオに、そこはミュージシャンのグループがヴォーカルを募集していると嘘をついて、事務所に行かせる。カティは「テッサに罪はない」と止めるが「相手の女を地獄に突き落とす」とステフィは過激な行動に走る▼性格のちがいといってしまえばそれまでですが、カティがまだ良識派であることに比べ、ステフィは人を不幸にすることに暗い情熱がある。みるからに意地悪そうな表情で、悪巧みばかり考えるのです。テッサはポルノスタジオに来て、変態ジジイにあやうく強姦されかけるが、とびこんできたステフィに救われる。家に戻って殴打のあとをみた母親はびっくりするがテッサは「ママが悪いのよ、不倫なんかするから」と叩きつけるように言う。母親は取り乱さず「詳しく話して」。だんらんの最中のステフィの家にママはふみこみ父親にいう「あなたが離婚するというから待っていた、でもそのときはきそうにない。お宅の娘がこの子を騙しレイプされかけた。今度こんなことをしたら刑務所にぶち込むわ」うろたえる父親に母親は「この人、さしあげるわ。とっくにダメになっていたの。わたしが出て行くわ」。張本人のステフィは急展開に為す術がない。数分の間に、監督はてきぱきと処理します。十代とは難しい時期で、体は大人だから大人並みに扱われるが、内面はまだ社会性がともなっていない。現実とのちぐはぐなキシミの間で、自分自身も自分の扱いに迷う、と監督は言います。ステフィは思う通りにならない人間関係や、周囲へのうっぷん晴らしに、意味のない反抗を繰り返し、社会から逸脱していきます▼イヴォンヌが行方不明になって1週間。学校にも警察の聞き込みがあり、だれか心当たりはないか、と尋ねたにもかかわらず、ステフィはイヴォンヌがポルノスタジオに出入りしていたことを隠す。警察に本当のこと言わないと、カティは気が気でないが「彼女はパリへ行ったのよ」とステフィは言い捨てる。まもなくイヴォンヌは死体で発見された。死後1日だった。事情を知った刑事は「なぜ早く本当のことを言わなかったのか」とステフィを非難する。早く動いていればイヴォンヌは助かっていたかもしれないのだ。カティはすてばちなステフィの無軌道についていけなくなる。ステフィはドラッグとセックスに溺れ、とうとうカティの恋人クラウスに手を出す。同級生たちは「彼女にかかわりたくない」と避け、だれひとり相手にしなくなる▼ステフィは自殺を図った。両手の手首を切ってバケツに突っ込んだまま、ベッドで気を失っているところをカティが発見した。遺書があった。「今まで他人を罰してきたけど、今度は私の番ね。許してもらえなくても愛しているわ。あなたはいちばんの理解者よ。すべてが複雑で逃げ場がない。わたしは災いを招く悪い人間です。いないほうがいい。あなたにとっても」。ステフィは命を取りとめる。カティとクラウスはふりだしにもどりやり直すつもりだ。病院に収容されたステフィにカティが見舞いに行く。十代が人生最悪の時期であるというスタンスで監督は映画を作っています。ステフィが救いようのない根性ワルな女でして、これじゃ自殺させるしか落とし所はないなア、と思わせます。自分で解決する社会経験も備えていないのに、悩みは一人前に襲ってくる、その対応がわからない。自分を見失わないためには、だれかを傷つけるしかない、というような錯覚を持つこともある。どこの国のどんな時代の十代も、「すべてに解決法なんかない」現実を知って生きていくしかない。それは苦い発見だけれど、自分を生きやすくするための脱皮でもある、女の子たちを甘やかさない、監督のそんな視線がピリッと引き締まったガールズムービーにしています。

 

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