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シネマ365日

2016年8月17日

特集「懐かしい、あいつら1」⑧ 
アバウト・ア・ボーイ(2002年 家族映画)

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監督 クリス・ワイツ/ポール・ワイツ

出演 ヒュー・グラント/ニコラス・ホルト/トニ・コレット/レイチェル・ワイズ

 

シネマ365日 No.1846

好漢ヒューのモラトリアム男子

特集「懐かしい、あいつら1」

ヒュー・グラントは今年(2016)で56歳になるらしい。らしいというのは「モーリス」の27歳から「ブリジット・ジョーンズの日記」を含め、なかには「赤い航路」というロマン・ポランスキーの社会派もあったにもかかわらず、人の好い軽薄なモラトリアム男子という印象がついてまわり、そこからあまりはみ出した作品はなかったように思うのだ。なにをいいたいのかというと、ヒュー・グラントとは年をとっている気がひとつもしなかった俳優なのだ。彼は来日したときのインタビューでどこまで本心かはともかく「自分はコメディ向きだと思っている。ダークな、暗い落ち込むものは人に任せて、わたしはこっちのほうが向いていると思う」と語っている。本作は38歳にして大人になりきれないジコチュー男子・ウィルをヒューが演じる。はまり役といわずしてなんと言おう。彼は父親の残した印税で生活には困らず、毎日テレビやDVDを見てビリヤードに行き、デートを楽しむが女性との関係は2ヶ月以上続かない。そんな精神未熟のグータラ男だが、本人だけは「孤島というパラダイスで生きている」と余裕綽々だ▼本作のときヒューは42歳。油が乗り切っている。この映画を見ながら「洗練」とはこういう感じをいうのだなとつくづく思った。暑苦しさが皆無のヒューの持ち味もさることながら、脇の女優陣の一人にトニ・コレットがいる。アカデミー助演女優賞にノミネートされた「シックス・センス」で覚えておられる方が多いかもしれないが「リトル・ミス・サンシャイン」の母親もよかった。本作ではウツが発症する直前とめどなく涙を流し、治療するが再発する母親フィオナというしんどい役だ。その息子マーカスがヒューと主役をわけあうニコラス・ホルトだ。彼は12歳。精神が不安定でヒッピー風な母が心配で、学校でもママが自殺しないかと気が気ではない。彼は決心する「ぼくだけでは見きれない、だれか助けがいる、そうだ毎日ヒマなあいつに頼もう、どうせ無職だし」と目星をつけたのがウィルだった。年の離れた男子ふたりの奇妙な友情が始まる▼マーカスの愛情がベタベタしないでとても大人だ。彼はウィルのエゴイストぶりにも腹をたてない。人間どっかで助け合えればいいのだ、それ以外はウィルの言うとおり「孤島にいる」部分があってもいいのだと(そう言葉にはしないが)達観している。ある日学校から帰ったマーカスは暗い部屋で泣いている母親をみて動揺する。ウィルの家にかけつけ「ママがまた自殺する」と訴える。さあ、どうするウィル。ウィルはうろたえながらも事態を収拾する。マーカスは年頃の少年らしく不良の上級生エリーに恋をする。ウィルもまたイラストレーターのレイチェル(レイチェル・ワイズ)に出会い真剣に愛するようになるが、レイチェルの思い込みから息子がいることになってしまい、マーカスに息子のふりをさせるが長続きするはずもなく、最終的に事実を話すがレイチェルは怒ってしまい破局▼母親のウツを救いたい一心で、マーカスは校内ロックコンサートに出場する。エリーは「やめな」と止める。伴奏を頼んだ友達もマーカスが舞台にたつ直前に断ってしまう。講堂には父母たちがぎっしり。子供たちは演奏やパフォーマンスや得意の技を披瀝する。マーカスの番だ。伴奏もなく彼は舞台にたち「ママに捧げます」という。歌い始めたのは「キリング・ミー・ソフトリー」マーカスが歌っているのを聞いたママが「天使の声のようだよ」と褒めてくれたのだ。同級生たちは「ひっこめ、下手くそ」とヤジの嵐。客席にいるフィオナは居ても立ってもおれない。そこへ、来たのだ。ウィルがギターの伴奏を買って出ただけでなくマーカスといっしょに歌ったのだ。力をえたマーカスは最後まで歌い切る。いつしか客席は聞き惚れる。ヤジをとばしかけた生徒はエリーにぶん殴られる▼1年後のクリスマス。フィオナ、マーカス、マーカスの実父、ウィル、レイチェルとその息子もいるのか、とにかく関係者一同が会しなごやかにパーティしている。結局、人は人とかかわりをもって生きていくのがいいンじゃないか、という点に着地しますが、押し付けがましくないところがいいですね。監督のクリス・ワイツとポール・ワイツは兄弟。共同脚本、共同監督の映画が多いですが、クリス単独の脚本・監督に「ライラの冒険 黄金の羅針盤」があります。「ニュームーン/トワイライト・サーガ」も単独監督。ロマン・ファンタジック系に強いです。マーカスのニコラス・ホルトは今や26歳、189センチの美青年になりました。「シングルマン」でゲイのパートナーを事故で失った、失意のコリン・ファースに話しかけ、いっしょに夜の海に泳ぎに入ったキレイな学生が彼です。

 

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