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シネマ365日

2016年8月23日

特集「B級クィーン1」① 
スキャンダル(1998年 サスペンス映画)

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監督 グレン・ジョーダン

出演 ジーナ・ガーション/ジェームズ・ガーナー/メアリー=ルイーズ・パーカー/キャスリーン・ターナー

 

シネマ365日 No.1852

いかさまの技、競います

B級クイーン ジーナ・ガーション

ジーナ・ガーションが注目されたのは、ウォシャウスキー姉弟の監督処女作「バウンド」という説がもっぱらだし、事実いい映画ではあるが、同作のガーション扮するムショ帰りのゲイの女泥棒は、出演時間の半分以上を縛られて床に転がっているのであって、いいところは共演のジェニファー・テイリーがもっていってしまう。代表作はむしろその前年公開の「ショーガール」だと思う。ラスベガスのショービズで張り合う、ふたりのトップダンサーのうちひとりを演じた。監督がポール・バーホーベンで、女優らがこぞって相当練習を積んだにちがいないダンスシーンは見応えがあった。暴力とセックスシーンがあんまりえげつないという理由で、ラズベリー賞のやり玉にあがったが、つまらない映画どころか愛すべきB級映画のベストテン入りだと確信する▼だからというわけでもないが、ガーションの容貌は犯罪者にいちばん適しているのではないか。あのとんがった鋭い顔は、どうみても堅実なOLや家庭の主婦や、やさしい母親、もしくは世話焼きのアメリカのおばさんというタイプではない。濃い眉に吊り上がった切れ長の大きな目、鷲のような鼻、欲望に濡れた、めくれた唇から覗く白い頑丈な歯は、肉食性の獰猛さを感じさせる。本人は至ってきさくで世話見がよく、同性から好かれるタイプだとどこかで読んだが、いったんスクリーンに登場すると、黙っているだけでそういう日常性から飛翔する。トクね、こういうタイプって。どこから撮っても「おばちゃん」にならないのね。いくら努力してもその逆の女優もいるのに。本作での役は殺人に巻き込まれたスーパーモデル、アンジェラである。似合いの役だろう。共演陣が粒ぞろいだ。アンジェラの弁護にあたる超腕利き弁護士にジェームズ・ガーナー。栄光を狙うアシスタント弁護士リカにメアリー=ルイーズ・パーカー、スキャンダルをすっぱ抜く辣腕レポーター、ブレンダにキャスリーン・ターナー。テレビのワイドショーの熾烈な視聴率争いで、なりふりかまわぬ取材を展開するブレンダのちょっとした行動が、裏の仕掛けを解くキーになる▼殺されたのはアンジェラの妹の暴力亭主。彼はアンジェラをもレイプに及んだが、抵抗したアンジェラに殺されてしまう。ブレンダの番組に登場したアンジェラは、過去にレイプされた経験がありそれ以来拳銃を所持していた、襲ってくる義弟に夢中で発砲したと涙ながらに訴え、女性たちは「アンジェラ無罪」を叫ぶ。ある日弁護士事務所を訪ねた老人がとんでもない目撃談を語る。アンジェラの証言は嘘っぱちで、彼女は義弟とできていた、つまり不倫だったということ。リカとパートナーを組んだ相棒の弁護士はそれをボスに報告するが、ジェームズ・ガーナーは鼻でせせら笑い無視する。彼の持論は、弁護士の本当の勝利は法廷で無罪をかちとることではなく、検察に起訴を取り下げさせることだ、なぜならば世間の注目を浴びる大きな裁判で勝ったりすると妬まれ、思わぬところで同業者の罠にはまるというのだ▼では彼は検察に起訴をとりさげさせるどんな手を使ったのか。まあペテン同様なのです。リカも相棒も呆気。こんな悪徳弁護士とは知らなかったと、名声に隠された彼の裏のやりくちを知る。もちろん合法的にやっているから犯罪でもなんでもない。したたかなその道のプロのたくらみが映画を盛り上げています。リカのラブストーリーなんか子供だまし同様で、自分では悪女のつもりだが、ボスの狡知にかかると赤子同然。自分なりの正義感をよりどころに、成功を約束されたボスの事務所から去るのは、それはそれでひとつの生き方でありましょうが、ボスと同じ穴のムジナがアンジェラです。殺人の容疑者となったため契約を破棄されたがそれも計算のうち、ワイドショーではひっぱりダコの「時の人」となり、ちゃっかり返り咲きます。実質5人の登場人物のわりには、からみぐあいがひとひねりも、ふたひねりも効いていて、小粒ですがよくできています。ボスにいわせると弁護士はみな嘘つきらしい。よく似たセリフを「リーガル・マインド〜裏切りの法廷」で、裁判長のジェームズ・クロムウェルが、弁護士のケイト・ベッキンセールに言います「裁判は嘘つき大会だ」と。朴訥な田舎出の青年弁護士が、実は裏の顔を持つ二重人格に近い男だから、お前なんか早く仕事から降りろと父親がいきなり現れて意見する通り、出演者がつぎつぎ繰り出す、いかさまの仕掛けが見どころです、もちろんガーションもそのひとりです。

 

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