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シネマ365日

2016年8月24日

特集「B級クィーン1」② 
ライアー・ハウス(2016年 犯罪映画)

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監督 ジェシー・バジェット

出演 ジーナ・ガーション/ケリー・ギディッシュ/ヴァル・キルマー

 

シネマ365日 No.1853

監督に拍手 

B級クイーン ジーナ・ガーション

久々にジーナ・ガーションらしい映画。この人犯罪映画だと精彩を放ちますね。鋭利なナイフみたいな容貌のせいだと思うけど。「バウンド」のとき34歳、本作では50歳。でも体の線がひとつも変わらないばかりか、若さと幼さが消えて、野獣のような彼女の持ち味が、より鮮明になっているわ。文句なしに面白い佳品です。監督は「デス・マスク」のジェシー・バジェット。本作も92分の短い尺にどんでん返しの連続技。この女性監督、異色ですね。セリフがまたスタイリッシュです。テキサスの田舎町の主婦ローナ(ジーナ・ガーション)は、亭主のデイル(ヴァル・キルマー)が銀行強盗で10万ドルを奪い、隠していることを知る。夫を椅子に縛り付け、金の在り処を吐かせようとするが、手強い。親友のタイニー(ケリー・ギディッシュ)を呼んだ。ダメ亭主に10万ドルを持ち逃げされるより、横取りして親友と山分けしようというのだ▼「強盗なんかしていない、俺はアヒルみたいにまっとうな男だ」「あんたは言葉より先にウソを覚えたのよ。お金はどこ?」「あなたの夫よ。好きに撃てばいいわ」「結婚17年、あんたの考えていることは手に取るようにわかるわ。お金は家に隠したのね。呆れた」ローナが銃を振り回したはずみに発砲し、旦那の額を撃ち抜いた。女たちはうろたえ、目を剥いて死んでいるデイルの頭に「袋をかぶせて」とローナが頼む。いやだとタイニーがいうと「わたしは撃った、あなたは袋をかぶせて。全部わたしにやらせないで」と妙な理屈を言い、どうするのかとおろおろ訊くタイニーに「わたしは高校もろくに出ていないのよ。少しは考えさせて」。ニューヨーク大学で学位を取った秀才のジーナ・ガーションにこんなセリフを言わせています。そこへ保安官が銀行強盗の捜査で立ち寄る。コンビニ強盗の前科のあるデイルに聞きたいことがあるというのだ。令状なしには応じられないとローナが突っ張る。保安官は車で待機し、令状を手配しパトカーに届けろと指示した▼ぼやぼやしておれない、死体をどうする。女たちは電動ナイフで切り刻むことにする。床も壁も女たちも返り血で血まみれ。足や腕が切断され、内臓はサビ取りで溶解、小さな部分はミキサーにかけたがもう、バラバラになった部位は容易に片付かない。精魂つき果てタイニーがいう。「見て、この部屋もあんたもわたしも、ひどいありさまよ。もう逃げ切れない。あんたと知り合えてよかったわ」ローナ「最高にワクワクしたわ」。そこへ踏み込んできたデブのハゲ男。タイニーは仰天するが、ローナは男を知っているらしい…。彼はローナが雇った探偵なのだ。何のために。「デイルの浮気を暴くためよ。動かぬ証拠が欲しかったのよ」。探偵は脅すようにいう、「聞き込んだ結果、目撃者はデイルが車の右側に乗ったというのだ、助手席だ、運転している奴がいたのだ、そいつはマッチを落としていた」その店はタイニーがパートで勤めている店だ。「不倫の相手はあなただと気づいていたわ」「わたしだとわかっていてお金を山分けするなんて、裏切ったのはあんたよ」喚き散らす女たちに業を煮やし「どうでもいい、金の隠し場所はどこだ!」▼ローナが「ひょっとしたら」とある場所を思い当たる。通風孔だ。金具を外し、手を入れた探偵は中に仕掛けてあったネズミ捕りに手首を挟まれ動きが取れない、タイニーが首をぐっさり突き刺し、男は一貫の終わり。残ったのはローナとタイニーと、パトカーの中で居眠りしている保安官だ。やがて令状の手配を終えた保安官の部下が到着した。家の中では何が起こっているか。ローナは隠し場所がどこか感づいていた。ヒントはデイルの爪に入っていた土だ。庭にはデイジーの花壇があり、ローナの育てたデイジーは、町の品評会で連続受賞するくらい見事だった。「土のミックスが大事なのよ」さりげなくローナが話し始める…小道具がけっこうな役者ぶりを発揮します。デイルのブーツはオストリッチの革に手縫いの刺繍、見ただけで只者じゃないと教えるブーツの傑作。10万ドルの隠し場所は咲き乱れるデイジーのお花畑。死体を切り刻む電動ナイフは、家事を手早く処理する有能な主婦の力強い味方。最後に笑うのはだれか。ラストまで息もつかせぬ逆転の連続。女二人のバディものと思わせておいて、裏技を駆使しまくった監督に軍配をあげよう。ジーナのとんがり方も冴えていました。

 

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