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シネマ365日

2016年8月26日

特集「B級クィーン1」④ 
ミス・ウォンテッド 美しき女怪盗の罠(2008年 サスペンス映画)

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監督 ジョナサン・デュエック

出演 ジーナ・ガーション/ジョナサン・ワットン

 

シネマ365日 No.1855

肖像画を返せ 

B級クイーン ジーナ・ガーション

「美しき女怪盗」なんて、タイトルからしてコテコテのB級です。ジーナ・ガーションがヒロインの女弁護士で、稀代の宝石泥棒である父親イーライの弁護に当たる。イーライは1996年に出所した。きちんと年代が出てくるのがヒントです。出所して足を洗い引退していたが、獲物の大きさに心動かされ、最後のご奉公とばかり美術品泥棒に手をつける。相手は名品のコレクターとして有名な大富豪デヴィッド・グレイ(ジョナサン・ワットン)だ。忍び込んだイーライは手際よく絵画3点を盗み出す。グレイはその中の一点、自身の肖像画をどうしても取り返したい。他の2点に比べたかが金持ちの肖像画になぜこだわるのか。警察は手口を見てイーライの犯行だと確信する。イーライは娘に弁護を依頼する。盗まれた富豪は必死で絵を奪い返そうと、警察のやることは手ぬるいとばかり、用心棒兼秘書にイーライを誘拐させ、拷問して吐かせろ、それでも言わなければ娘のイヤリングを耳ごと切ってみせろとかなり荒っぽい指示を出します▼回想シーンとして1951年香港で、グレイが中国で何やら中国人画家に頼んでいる。中国人は「君は取引する気になったようだね、人を殺すことに抵抗はないようだ、戦争中狙撃兵だったのだね、君は自分を邪悪な人間だと思うかね、グレイ?」というようなことを訊ね、グレイが「時々はそう思う」と答えると、正直でいいとか何とか言って褒める。1951年のグレイと、少なくとも1996年に出所したイーラーが、泥棒を働いたときのグレイと一緒の顔をしているのだ。つまり、中国人画家の描いた肖像画は永遠の若さを保つ力があり、その絵をなくすとグレイの若さは失われるってわけね。それにイーライの昔の仲間が次々殺されるのは、これもグレイの仕業なの? ドリアン・グレイも平気で人を殺し、その罪業で肖像画がどんどん醜くなっていったけど、デヴィッド・グレイは大富豪になって美術品蒐集のエキスパートだというから、そうそう罪深いことはしていないのね。基本よくわからない映画なので、ほとんどわたしの独断的解釈なのだけど、ついでにお願いするけど、どういう映画かキッパリとわかった方は、どうぞ間違いを指摘し、正解を教えてください▼50年経過しても容貌が変わらない、でも体力のほうは別と見えて、グレイはしょっちゅう鏡を見てシワを気にし、動くのが億劫そうで、ほとんど屋敷から外に出ない、暗い部屋に座ってレコードを聴き(CDもDVDもない)、クラシックな車で(ヴィンテージか)移動する。変化がないといえば中国人画家も全然容貌が変わっていないのだ。まず自分を永遠の青年にして、希望者と取引し、彼もしくは彼女の肖像画を描いて変わらぬ美貌と若さを保証する、でももっといい取引相手が現れたら、過去の「青年」は、本来の年齢に戻らねばならない、そういうことなのね、きっと。だからラストシーンで、ジーナ・ガーションと父親は肖像画を描いてもらい、永遠の若さを手に入れ、元のグレイはよぼよぼのお爺ちゃんに戻って、画家は「悪く思うな、これはビジネスだから」と言い、若さを手に入れた父親はカジノでラッキーナンバー「4」に賭けている、でもこのときはイーライではなく「グレイ」だと名乗っているのはどうして? パパはハンサムなグレイの顔に描いてもらったってこと? キャンパスに描くだけで元の顔を変えることができるなんて、一体どんな秘法なのよ▼これだけいい加減な要素が山盛りだと、普通嫌気がさすところなのだけど、割と最後まで律儀に引っ張っていくのは、意味不明の回想シーンが、なんとなく意味ありげに見えることと、どう見ても弁護士には見えないジーナ・ガーションが、やっぱりただの食らわせ物だとわかり、捜査に当たる若い刑事がかわいそうに殺される(犯人はジーナ・ガーションに違いない)とか、拷問シーンがグロくない、などけっこうそれなりのセンスと変化に富むからです。グレイという名前と、1941年から1996年という時間経過がわかった段階で全貌はほぼ見えて来るけど、小技を利かしてどんでん返しに持って行った奮戦を買おう。

 

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