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シネマ365日

2016年8月29日

特集「B級クィーン1」⑦ 
アメリカン・サイコ2(2002年 ホラー映画)

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監督 モーガン・J・フリーマン

出演 ミラ・クニス

 

シネマ365日 No.1858

頼む、くたばってくれ

B級クイーン27-31

オープニングまもなく、この映画は衝撃を与えてくれる。少女時代のヒロインが、前作「アメリカン・サイコ」の連続殺人鬼ベイトマンの殺戮から生き延びたサバイバーだと告白するのだ。なんですって? おい。生き延びたということは、ベイトマンは殺人犯だった、つまりホントに人を殺していたということじゃないですか。ちょっと待ってよ。今頃そんなこといわれても。本欄「シネマ365日 美しい虚無」編(2014/7/8付)で、わたくし一連の連続殺人はベイトマンの妄想である、彼の脳内殺人であって現実の事件ではないと断言したのです。ううむ。しかしバックナンバーを読み返しても映画を見なおしても、疑問の余地のない妄想オチなのよね。自分と同じ見方をしている人はいないか、ググッてみたわ。なんと、なんと。映画好きのみなさんが指摘するところによれば、それらしき(シリアル・キラーらしき)設定は、劇中確かに仕掛けてあります。してはあるのだけど、メアリー・ハロン(監督)のトンズラのうまさというか、韜晦のテクというか、妄想だ、いや事実だと、ここでも二派に分裂しているのよ▼モーガン・J・フリーマン監督は、前作が故意にそのままにしておいた曖昧さに乗じたのだと思うわ。で、どんな解釈になったか。これがね…映画はヒロイン、ナターシャ(ミラ・クニス)のナレーションで進みます。ワンマンショーよ。「わたしは連続殺人犯の根絶に人生を捧げると誓った。高校時代は必死に勉強し成績はオールA。連続殺人犯のプロファイリングを学ぶため、国内屈指の大学に進学し行動科学科に籍を置く。大学でも勉強に集中している。脳を悪くするタバコもやらない。苦労してここまできて、第一人者の講義を受けている。スタークマン教授だ。FBIが生んだ最高の連続殺人犯ハンター。多くの猟奇事件を解決し大学教授になった。彼が最後に扱ったのがベイトマン事件だった」▼わかりやすいでしょう。なにしろ主人公が自分で自分のやることを解説していくのだから。彼女のナビについていくと「教授の助手になれば100%FBIに入局できる。成績には自信があるが、成績がすべてではない。わたしにはライバルがいる。ブライアン。成績はわたしの足元にも及ばないが家が大金持ちだ。ここへの入学も金の力だった。彼のアタマでは寄付って字もかけないはず。カサンドラ。教授と寝ているという噂だ。いちばんの強敵はキースだろう。何度も討論したが、負けなし」ということで、ナターシャが合格の最右翼にいた。助手採用試験の受験申請に事務局に行ったナターシャは、1年生は受けられない、助手試験が申請できるのは3年生からだと事務員に拒絶される。いじわるではなく、そういうきまりなのだが、いかにも唐突ですね。少なくとも申請者が事前に規則のイロハを知らないのはおかしい。ナターシャは早速彼女の独自の考え方を実行に移す。自分はFBIに入局し連続殺人犯を根絶することによって社会の正義を具現するのである、目的達成途上で殺人を犯したとしても、将来の数知れない犠牲者を防ぐための障害物除去であると▼邪魔者は消せ。ナターシャはライバルの3人を消去してしまう。ブライアンは「助手試験を降りてくれたら7桁の報酬をだす」と莫大な提示をしたが、ナターシャは歯牙にもかけない。さっさと部屋に引き込み、コンドームを引き伸ばしたゴムでブライアンを絞殺する。これもどうかなあ。やる気まんまんの男の子が、たかが細いゴム一本でやすやすと息を引き取るだろうか。だれでもそう思うが、ナターシャの殺害計画はイケイケで実行される。彼女が定期的に通っている、大学指定の精神科医がいる。彼はスタークマン教授の友人だ。ナターシャの精神構造を「診察に来ている君の学生のことだが、医師に守秘義務があるから名前はいえないが、危険な人物だ。絵に描いたようなサイコだ。現実感覚がなく、善悪の区別がつかない。寒気を感じるほどだ」そう警告しているところへ、帰ったはずのナターシャがバッグを忘れたとか言って、ヒョイと戻ってくる。医師のうろたえぶりで、会話の内容の察しをつけたサイコ女子はどうでる…▼結果をいうと彼女は8人殺します。2年後、医師は講演会場で、著書にサインを求める学生に応対していた。ひとりの女子学生が話しかけた。名前も変わり顔もいささか雰囲気は違っているが、まちがいなく事故死したはずのナターシャだ。大学2年で助手に抜擢され入局が確実視される、FBI始まって以来の秀才だという。医師は呆然とその後ろ姿を見送る。いいのですかね、たかがサイコ女をこんなに甘やかして。日本未公開でした。無理ない。

 

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