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特集「ベストコレクション」

2016年9月5日

特集「天高く初秋のベストコレクション」⑤ 
マネーモンスター(2016年 サスペンス映画)

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監督 ジョディ・フォスター

出演 ジョージ・クルーニー/ジュリア・ロバーツ/カトリーヌ・バルフ

 

シネマ365日 No.1865

監督力パワーアップ 

特集「天高く初秋のベストコレクション」

ジョディ・フォスター監督はこの路線で監督業を進めるのだろうか。映画賞に関係なく、名作も狙わず、知的サスペンスに溢れる上質エンタメ系という…「リトルマン・テイト」や「それでも愛してる」など、家族の絆を描いてきたフォスターが、一転、荒々しいまでの超高速電子取引の金融ビジネス社会で、裏取引を暴くなど、パワフルな映画を撮ったのに驚きました。監督業のスケールが大きくなったと実感しました。6月2日、キャンペーンのため来日した彼女は「日本の文化が大好き、何かの形にできれば」と、しっかり日本のファンにアピールしています。市場を意識したご挨拶だとしても、それさえできず、日本嫌いを平気で口にするハリウッドスターもいることを思えば、数少ない良識派だと思います。アタマのデキがちがうのね▼すでに大物女優としての地位を確立しているフォスターですが、ウォーク・オブ・フェイムに名を連ねたのは意外なことにこの5月4日。何度も申し出があったにもかかわらず、女優より監督として評価されたいという意思が強く、断ってきました。「マネーモンスター」によって監督ジョディ・フォスターの夢が叶い、よかったですね。長いあいだ彼女の映画を見てきて思うのは、映画に出る・映画を撮る・脚本を読み漁る、仕事以外に何の趣味もなさそうなのね、この人。「役者は役者以外の者になるべからず」といった世阿弥を地でいっているわ。彼女は自分がゴージャスな美人でないことはよくわかっていて、ブランドのモデルをやるわけでもなく、香水を作るわけでもなく、カムアウトした同性婚にしても、実はどっちでもよかったのではないかと思うわ。フォスターは若いときから絶対に私生活に触れなかった。秘密にするとか隠すとかいうより、私生活をオフィシャルな場に持ち出すことを潔よしとしないのよ。同性婚にしたって、本音は(どっちでもいいでしょ。あなたたちに関係あるの?)だったと思える。それくらい公私の区別が徹底していました。ハリウッド全体の風潮も、カムアウトしようとするまいと放っておいてもらうわ、隠しているわけじゃないし、恥ずかしいと思っているわけでもないから、好きに受け取ってくれたらいいわっていう、事実上のカムアウトに動いているように思えます▼さてこの映画、テンポが速くスリリングです。スタジオをハイジャックしたカイル(ジャック・オコンネル)は、人気番組「マネーモンスター「の情報を信用してアイビスに投資したが、株の暴落によって全財産を失う、それは株の情報操作が不正に行われたからだと主張し、放送中のスタジオに侵入し、キャスターのリー(ジョージ・クルーニー)を人質に、真実をテレビの前で明らかにしろと要求する。プロデューサーのパティ(ジュリア・ロバーツ)は冷静に対応し、ハッカーのオタク男を使い、南アの革命戦士とアイビス社のトップが裏取引で株を操作していた事実を突き止める▼ジュリア・ロバーツもさすがですけど、むしろこの女優がよかったな。アイビス社の広報責任者ダイアンになったカトリーナ・バルフです。アイルランド出身の女優であり、モデル、36歳。「グランド・イリュージョン」「大脱出」に出演しましたが、今回の役がいちばん大きい。社長の指示に忠実に従っていたのですが、番組を見て自社に不信を抱き、調査を始める。社長は株主にも役員会にも無断で南アに資金を投入していたと思える。彼女の内側からの行動がなかったら真相は究明されなかった大事な役だ。スキッとして、周りの空気が彼女を引き立てるためにある、という感じです。コンピュータのプログラムによって、1秒間に何千件もの高速売買が成り立つ取引の実態は、ビジネ第一線を活写する緊迫感がありました。これまでのフォスターの家族向け作品とちがった、男っぽい作りこみです。興収もまずまずだったみたいだし、フォスター監督、新婚後、初作品の成功、おめでとうございます。改めて、お幸せに(笑)。

 

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