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特集「ベストコレクション」

2016年9月9日

特集「天高く初秋のベストコレクション」⑨ 
アメリカン・ホラー・ストーリー/精神科病棟(上)(2011年〜 ホラー映画)

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製作 ライアン・マーフィー/ブラッド・ファルチャック

出演 ジェシカ・ラング/サラ・ポールソン/ザカリー・クイント/リリー・レーブ/ジェームズ・クロムウェル

 

シネマ365日 No.1869

ホラーが疾走する 

アメリカン・ホラー・ストーリー

パワーアップしてシーズン「2」に突入。「1」とは別の物語ですが、主役級は横滑りで出演、ジェシカ・ラングのイケズ&サド度、サラ・ポールソンの被虐度、ザカリー・クイントとジェームズ・クロムウェルのイカレ度、リリー・レーブのクレイジー度、それぞれ得意とするキャラが急カーブを描いて上昇、呆れる・驚愕する・同情する、盛り沢山のエピソードを詰め込んで、引っ張っていく製作・俳優陣の凄腕に敬服▼ときは1964年。解法精神障害者を収容・治療するための施設ブライヤークリフに集まった患者・医師・修道女の面々と、彼らをめぐる事件の連続が描かれます。厳格な病棟の責任者、シスター・ジュード(ジェシカ・ラング)、残酷なナチ収容所の医師アーデン(ジェームズ・クロムウェル)、ジュードの部下で、純朴な修道女から悪魔に憑依されたシスター・マリー(リリー・レーブ)、裁判所から派遣された精神科医でありながら、本性は女性の皮を剥ぐ、連続殺人犯の精神分析医オリバー・スレッドソン(ザカリー・クイント)、殺人の濡れ衣で逮捕、病棟に収容された青年キット、精神科病棟で行われている非人間的な虐待と、人体実験の真相を探ろうと潜入したが、ゲイの友人に裏切られ患者として収容されたラナ(サラ・ポールソン)、アーデンと組んで、悪事を見て見ぬふりしている神父にジョセフ・ファインズ。これくらいにしておきますが、みなさん思い切り奮戦しておられます。リリー・レーブは、ご記憶でしょうか、「結婚しない女」でアカデミー主演女優賞候補となったジル・クレイバーグの娘です▼シスター・ジュードは規律の鬼、ムチ打ち、独房、ありとあらゆる懲罰を課すが、彼女の過去は街から街を流れ歩く、ヤサグレの歌手、酒とドラッグでバンドをクビになり、交通事故で少女を跳ね、気がつけば修道院の庭の木に車をぶつけて気絶していた、以来修道院長に懺悔し病棟を任されるまでになったが、少女を轢き殺し罪と悔恨に苛まれている。医師アーデンときたら、家族のいない患者を実験台に、脳を摘出し薬物を注入し、残酷な外科手術を施して奇形になった患者を病院の裏山に隠し、シスター・マリーが食料を運ぶ。ある日、悪魔憑きの青年のエクソシストが行われた。青年から抜け出した悪魔はマリーにとり憑き、稀代の悪女が誕生、シスター・ジュードを追い出し自分が病棟を乗っ取ろうと、アーデンをアゴでこき使い策略を巡らす▼可哀想なのはこの二人だ。アーデンの虐待によって命を落としたのが、連続殺人容疑者キットの恋人グレース。キットとセックスしている現場を発見され、子宮に施された処置が元で出血死に至る。もう一人はラナ。ラナが病棟の秘密を知ったとみたジュードは、彼女が同性の恋人と暮らしていることを調べ上げ、恋人に脅しをかけて入院承諾書にサインさせ、まんまと収容する。ラナの記憶を消すための電気ショック療法で、ラナはこめかみまで焦げてしまう。オリバー・スレッドソンがラナに施すゲイの治療とは、嫌悪療法だ。体が特定の誘因に対し、不快感を覚えるようにする訓練で、ラナは女性のセクシーなヌードを数枚(なぜかマリリン・モンローの写真があった)を見せられ、催吐剤を点滴で注入され、激しい嘔吐を起こす。それを繰り返し、女性の体を反射的に嫌悪させるように仕向けていく。もう一つは転換療法。筋肉たくましい男性患者の性器をラナが触り、もう一方の手で自分の陰部に触れる。男の勃起を、受け入れる歓びを想像せよ、ですって▼ラナの受難は続く。スレッドソンは善意を装い、君の知性と能力は社会を救うために役立てるべきだ、ここから出よう、僕が助ける、なんて調子のいい文言を並べ、弱り切っているラナは地獄に仏、クレイジー医師とは知らず彼の家に匿われる。そこは人体解体工房だ。ラナの恋人も皮を剥がれた冷凍死体となっていた。嘆きのあまり、生きる希望をなくしたラナの前に「死の天使」が現れます。彼女は喪服に身を包み、息を引き取ろうとする者の前に現れる。もう死なせて、といえば唇に冷たいキスをして、黒い大きな翼を広げ冥界に連れていく。ラナのベッドにも現れるのですが、ラナがまだ死にたくない、というと延期してくれる。案外融通が利くのですね。シスター・ジュードがアーデンの虐待の証拠を握るため、修道院長が紹介してくれたイスラエル人の探偵に調査を頼む、彼はアーデンが間違いなくアウシュビッツでユダヤ人虐殺に関わっていた事実を追い詰めるのですが、神父と組んだ医師は巧みにすりぬける。それによりさすがのジュードも病棟で孤立無援、疲れきって再び酒に走る。女が実権を持つことを嫌う、男社会の構図ってよく出ていたわ。女がここで生き延びるためには悪魔に憑依するしかない? それともジュードは初めから負け戦を仕掛けたのか。ラナはどこまでいじめられるのか。それらは後半戦に持ち込まれます。アーデンの虐待の一つに、ロボトミーの手術があります。眼球に太い針をカナヅチで打ち込み、脳を破壊するのです。ジェームズ・クロムウェルって、こんな悪役をやらせたら天下一品。

 

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