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特集「女のわがまま」

2016年9月17日

特集「女のわがまま3」②
悪魔の秘め事(2014年 サスペンス映画)

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監督 ジェームズ・オークリー

出演 レナ・オリン/ロザムンド・パイク/ジェニファー・ロレンス

 

シネマ365日 No.1877

大女優は強し 

特集「女のわがまま3」

どっちが頭でどっちが尻尾か、得体の知れない映画ってあるものですけど、これなんか最たるものね。気の短い観客ならわめきだすわよ。「だれが犯人だ、親父を殺したのは、だれなのだ。娘か、女房か、まさかヒモ亭主じゃあるまい! はっきりさせろ、はっきり」レナ・オリン、ロザムンド・パイク、ジェニファー・ロレンスという顔ぶれです。ところが蓋を開けたらジェニファーはセリフもなくてカメオ同然。パイクは例によって人好きのしない役で、母離れしないだけでなく、過去の怨念と犯罪を引きずっている売れない女優ゾーイ。引き換え母親は伝説の大女優キャサリン(レナ・オリン)だ▼この母親は、娘がパッとしない独立系で、しょぼい役ばっかりではあるものの、それなりに頑張っているのに「え、これがあなたの専用トレーラー?」とまるで荷車を見るような目で眺め(まあ、それに近いのだけど)娘はがっくり。それでも気をとり直し、次の自分の撮影はいいところだから、よく見ていってくれと頼んでいるのに、秘書が迎えに来るとさっさと帰り支度。娘にプレゼントだけ渡し、そそくさとボロのトレーラーを出て行く。あろうことか、娘の仕事を見ていたら仕事にカムバックしたくなった。自伝はバカ売れ、ワイドショーには出演、大女優復活の狼煙は高々と噴煙を吹き上げるのだ。ゾーイは面白くない。ブライアン・デ・パルマの新作のオーディションを受けたら、審査員が訊くのは母親のことばかり。ゾーイの演技についてはろくに触れもせず「お疲れさま」。何も自分に当てつけるようなタイミングでカムバックしなくてもいいだろう、どこまで意地の悪い母親だろうとゾーイは怨念の炎メラメラ▼ところが前段があるのだ。母娘の別荘で大昔に殺人事件があった。映画の冒頭銃声が二発か三発鳴り響き、殺されたのは父親だとあとでわかる。子供時代のゾーイに扮するのがジェニファー・ロレンスであるが、人形みたいにブスッと現れるだけで一言もモノいいません。母親に容疑がかかりそのため映画界を引退、未だに犯人は不明である。出版した自伝には、夫殺人事件についても、キャサリンは包み隠さず書いたとインタビューで答えている割には、どこがつまびらかなのかさっぱり不明。面白くないゾーイは母親の再婚相手、つまり義理の父親であり、気鋭の脚本家ジェイクを誘惑し、ジェイクもホイホイ関係を持つ。もう一人の重要人物は秘書のエディだ。彼女はジェイクとゾーイの関係を知っているだけでなく、キャサリンを愛している。キャサリンに度々脅迫状が舞い込むようになり、不眠症に陥り睡眠薬を多用するようになる。ある日キャサリンは「一人で別荘に来い」という何通目かの脅迫状を受け取り、誰にも告げず別荘に着いた。昔の殺人現場である。すぐにエディが「心配で放っておけない」と到着。ゾーイが来てジェイクが来て、何のことはない、関係者全員が顔を揃えたのだ▼無邪気なミステリーだわ。父親とゾーイは近親相姦で「彼を愛していた」というゾーイの告白まで出た。おまけに「こんなことになるのなら、関わるのではなかった」とエディは嘆き、ゾーイと手を握り合うのだ。え〜この二人もできているの? ゾーイはジェイクを射殺する。でなければ彼が母親を殺すというのだ。パトカーがやってきて、キャサリンが「もう守りきれないわ」と娘に言う。ゾーイは「あなたが撃ったと言うわ」と開き直ると「好きにして」と言って去る。1年後、リムジンに乗ったキャサリンとエディは、ラジオのニュースでキャサリンがアカデミー賞主演女優賞候補になったことを知る。ゾーイは? 刑務所に決まっているでしょ。父親と娘の近親相姦とか、義理の父との関係とか、母親と秘書の関係とか、とにかくドロドロしたもつれがあるはずなのに、驚くほどサラサラと終わるのよ。母親がそんなに苦悩しているふうにも見えないしね。どころかちゃっかり過去の事件をネタに自伝を書き、カムバックするのだからたいしたものよ。どっちにしても生き残ったのは母親だった。母は強し。いや大女優は強し。

 

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