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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2016年10月3日

特集 LGBTー映画にみるゲイ194
追憶と、踊りながら(2015年 ゲイ映画)

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監督 ホン・カウ

出演 ベン・ウィショー/チェン・ペイペイ/アンドリュー・レオン

 

シネマ365日 No.1893

美しくやるせない、イケメンふたり

特集 LGBTー映画にみるゲイ

男性二人のベッドシーンが、美しくやるせない。リチャード(ベン・ウィショー)とカイ(アンドリュー・レオン)は一緒に暮らして4年。カイの母ジュン(チェン・ペイペイ)はカンボジアのポルポト政権を逃れロンドンに来た。未だに英語が不自由だ。ジュンは介護ホームで一人暮らし。カイが訪ねて来てくれるのが唯一の楽しみだ。ジュンは息子と友人リチャードの関係が気に入らない。リチャードではなく、息子が一緒に暮らすのは母親の自分とであるべきだと思っている。リチャードは自分たちの関係をジュンに告白し、三人で一緒に住めるよう説得しようという。ジュンは介護ホームが嫌いで、なんで息子がこんな無味乾燥な施設に自分を押し込めたのか、それもリチャードがいるためだ…息子は息子で、母親と恋人の間に入って気が休まらない。真実を打ち明けようと夕食に母親を呼ぶことにした。でもその日、カイは事故で死ぬのだ▼母親は息子の死を乗り越えられない。やさしい子だった。自分に話しかける息子の幻が浮かぶ。初めてリチャードがホームにジュンを訪ねた。息子を奪ったのはこの男だ。ジュンは打ち解けるはずがない。そのうちジュンは、同じホームのアメリカ人男性と心やすくなるものの、言葉の壁が厚くなかなか先に進まない。リチャードは英語、北京語、カンボジア語に通暁する若い女性の通訳を雇いジュンをサポートする。リチャードにしてもカイを奪われた喪失感は大きい。カイの声、笑顔、脇腹に伸びる細い指、肩のくぼみ、まどろみながらカイに抱き寄せられる朝。体に刻みこまれた追憶。母親が描く息子の幻も切ないですが、リチャードの追憶は、とても叙情的に綺麗に撮られています。ベン・ウィショーにせよ、アンドリュー・レオンにせよ、いかにも繊細な青年で、特にベン・ウィショーのほっそりした儚げなまでの体は、亡き恋人を偲ぶ役柄にピッタリ。彼「007スカイフォール」の「Q」ですよ。わかりました?▼脱線したついでですが、今イギリス映画の男優がハリウッドを圧倒しています。「マイティ・ソー」でソーを食ってしまった「ロキ」ことトム・ヒドルストン、「イノセント・ガーデン」でニコール・キッドマン相手に狂気を見せたマシュー・グッド、美丈夫といえばこの人「キック・アス」のアーロン・ジョンソン、ノーベル賞、おっとアカデミー賞受賞だったエディ・レッドメインは「リリーのすべて」。ベン・ウィショーも一画に食い込んでほしい個性だわ▼どうにも心を開かないジュンに、リチャードは「一生ここで暮らすつもりですか」と訊く。「僕への嫌がらせですか」「わたしに同情しないで」「助けたいだけだ。カイはいつもあなたのことを心配していた。あんな事故がなかったら、今ごろ僕たちは一緒に暮らしていたかもしれない。彼はゲイであると告白しようとしたが、あなたに愛されなくなることを恐れていた」「わたしはあなたにただ一人の家族を奪われ、ここへ放り込まれたのよ」リチャードは言い返す。「あなたがカイに重かったのだ。あなたが息子に頼りすぎたから彼は苦しくなり、離れるためにここへ入居させた。でもカイが亡くなった今、もしあなたの希望がここから出たいと思っているなら、それを叶えてあげたい」▼ジュンはやっと、リチャードも自分に負けないくらい寂しいのだ、傷つき、悲しいのだと気づく。「母親はみな同じよ、わたしはカイのそばにいたかっただけ。決して縛るつもりはなかった。あなたも親になればわかるわ」ゲイの青年にいう言葉としては、ちょっとずれているかもしれませんが、ジュンはリチャードによって偏見から解かれ、息子の人生が幸福であったことを感謝します。リチャードに引き取られ一緒に暮らすかもしれませんが、今のところホームで「独立」することを選んだみたいです。「わたしは学んだの。いつも幸福でなくても満足することを。わたしは今こうして生きている。何もなくても、たとえ場所がなくても。忘れていた傷が突然疼くようで怖い、それが孤独なのね。それでも今と違う明日がある。わたしは人生を続けていくわ、カイ」。チェン・ペイペイが堂々としすぎて、あまり悲哀は感じませんでしたけど、でもいい映画でしたよ。

 

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