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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2016年10月7日

特集 LGBTー映画にみるゲイ198
愛しのグランマ(2016年 ゲイ映画)

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監督 ポール・ワイツ

出演 リリー・トムリン/ジュリア・ガーナー/マーシャ・ゲイ・ハーデン/ジュディ・グリア/サム・エリオット

 

シネマ365日 No.1897

乾いた風が心地いい

特集LGBTー映画にみるゲイ

ポール・ワイツ監督は長年温めていた映画のイメージが、リリー・トムリンにあって像を結んだといいます。もちろんリリーがヒロインのエルです。50歳くらいの詩人で大学の講師。彼女はゲイで、恋人のオリヴィア(ジュディ・グリア)との別れ話がオープニング。「あなたは若くて私はもうすぐ50、うまくいくと思ったのが間違いよ」「わたしを大事にしないひどい恋人だけど、あなたは一流の詩人よ」「違うわ、仕事のない大学講師よ。わたしを励ますのか別れ話か、どっちかにして」「わたしを愛した? 一度でも愛した? 返事してくれないのね」「シャワーを浴びてくるからその間に出てって」エルの剣幕にオリヴィアは出て行く。エルはシャワーを浴びながらさめざめと泣き、コップに2本入った歯ブラシの1本を捨てる…なんとなくうまくいきそう、という予感で映画は始まります。うまくいきそう、というのは、いい映画になりそう、という密かな楽しさを与えてくれる予感です。この映画は途中で寝たりしないだろうという予感です(笑)。日本未公開でしたけど▼孫のセージ(ジュリア・ガーナー)がやってきて630ドル貸してとエルに頼む。中絶するというのだ。孫は高校生だ。いつかは家庭を持って子供も欲しいが今は大学に行きたい、勉強したいと話す。10週目だ。不幸中の幸だと、エルは孫を助けてやりたいがローンを一括払いしたばかりで金はない。とりあえずお腹の子の父親に会うことにした。できたと知ってびっくり、でも金はない、親に知れたら殺される。エルのことをババア、ババア、といい「てめえに関係ねえだろ、すっこんでな」とわめく口汚ないガキである。「おや、そうかい」エルは急所を蹴り上げ「さっさと金を出しな、次は殺すよ!」と一喝、男は呻きながら60数ドルを出し。これでありったけだという。目標額に全然足りない。予約したクリニックは夕方の5時45分だ。エルは別れた元夫カール(サム・エリオット)に30年ぶりで会いに行く。借金を申し込むと、カールは「キスしてくれれば貸す」。その通りするが、お金の理由が孫娘の中絶費用だと知ると、応じられないと一変した▼エルの娘、セージの母親ジュディ(マーシャ・ゲイ・ハーデン)に会いに行く。略図的に書くとこうだ。おばあちゃんはゲイ。母親は精子バンクでセージを産み、孫娘は10代で妊娠中。ジュディは実業家である。バリバリ仕事して、娘に構ってやる暇はなかった。やさしい言葉ひとつかけてやらなかった。さすがに胸が痛む。忙しいから手術には立ち会えないというジュディ。エルが付き添ってやる。女医が丁寧に説明するが、エルの聞きたいことは孫が痛い目をするのが、少しでもマシな方法かどうかだ。手術中仕事を放り出してジュディが駆けつける。しばらくしてセージがお腹を押さえて戻ってくる。「お嬢さん、頑張りましたよ」と看護師が言い添える。母親の車で帰る孫をおばあちゃんは見送る。このおばあちゃん、もともと厭世家である。おばあちゃんはタトウの店に行って、店主に昔貸した金を今返してくれと督促するシーンがある。彼(女装)も金はなく、代わりにタトウを彫ってあげるといい、おばあちゃんは「◯」(まる)を彫ってもらう。いちばん簡単だし時間がかからないからだというが、でも多分オリヴィアの「O」だろう▼エルには38年間、一緒に暮らしたヴァイオレットがいた。彼女を亡くしてからも、ひとときだって忘れたことはない。Violetと腕に彫ってある。エルは時々そのタトウに話しかけている。オリヴィアと出会ったのは、彼女がエルの詩を読み、感動してエッセーを送ってきて、コーヒーを飲みに誘ったからだ。それから会うようになり、恋人同士になって4か月過ごした。エルはしかし、まだ若い、学生のオリヴィアの前途を自分が邪魔したくない。ちゃんと学位を取らせ、大学院にも学び、もっと文学を極めてほしい。心を鬼にして追い出した。彼女の家に寄って、自分の詩集の初版本を贈った。家には客がいて「両親よ」とオリヴィエが紹介した。母親は「あなたの詩のファンです」とやさしくエルをもてなすが、父親は風采の上がらぬエルに否定的なうえ、娘が付き合っていることに「なんてこった」と嘆く。オリヴィアはエルを追いかけてきて言った「私たちの4か月はなんだったの。あなたの本当の姿を見たわ。そのジコチューを。でもわたし、そばにいたい」。孫はおばあちゃんに「オリヴィエは美人ね」「そうよ。名前からして美しい。彼女といた4か月で、5年分よりたくさんの詩を書いた。セックスの効用ね。わたしとは不釣合い? わたしの見た目はどう?」孫沈黙。「本をわたしにきただけ?」とオリヴィエは訊いた。「そうじゃないわ」とエル。「あなたとの日々は大事だった。まさかもう一度恋するとは思わなかった。あなたには輝く未来を掴んでほしいの。あの頃のわたしのように。今から帰ってわたしは何か書くつもり。あなたは家に戻りご両親のショックを和らげてあげなさい」▼全然感傷のないエルの愛し方が、心地よく乾いた風のように吹すぎて行きました。リリー・トムリンはもちろんですが、オリヴィアのジュディ・グリアがよかったですよ。一輪の花のように清楚です。「キャリー」ではイジメにあうクロエ・モリッツをかばう体育のデジャルダン先生でした。クロエのいかれた母親には怪人ジュリアン・ムーア。やっぱり役には適性ってものがありますね(笑)

 

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