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シネマ365日

2016年10月21日

特集「腐女子が萌える」④
ベイツ・モーテル サイコ前章(下)(2014年〜 サスペンス映画)

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出演 ヴェラ・ファーミガ/フレディ・ハイモア

 

シネマ365日 No.1911

共依存の絆 

特集「腐女子が萌える映画」

いろいろエピソードはあるものの、ノーマ(ヴェラ・ファーミガ)とノーマン(フレディ・ハイモア)の、母と息子の依存関係とその描き方が本作の焦点と思えます。ノーマは自分がついていなければノーマンはやっていけないと思っている。ノーマンは、性格の強い衝動的なノーマだから、自分が一緒にいなければ何をするかわからないと目が離せない。彼のほうが気持ち的には母親みたいです。ノーマンの異母兄ディランは子供の頃からの嫉妬の裏返しで、激しい憎しみを母ノーマに向けるが、実は愛してほしくて仕方ない。その一方、弟がこのまま強烈な母親の愛を浴び続けていればいるほど、おかしくなると判断し、弟と一緒に家を出ようする冷静さがあります、でも弟は「母さんを一人にしておけない」。母親はディランが、嫌味ばかりいう嫌な息子だとわかってはいるものの、「ノーマ」ではなくやはり、「お母さん」と呼んでほしい。神経を逆なでするディランより、一緒にいて居心地のいいノーマンに、どうしても心は偏ってしまう。ノーマとノーマンはどっちもが、お互いのやさしさに吸い込まれ、自立の力を奪われ、愛情の支配による「共依存」の蟻地獄にはまり込んでいく。わかっていても、どうにもならない▼ノーマがノーマンを不憫に思う理由に、ノーマンの病気があります。ノーマンはショックを受けたとき、自失して一種の心神喪失となり、記憶をなくす。父親が急死したことにしているが、事故死ではなく、ノーマンが殺したのだ。母に暴力を振るう父親を見て、後ろから殴り殺し、気を失った。ノーマは一人で夫を作業所に運び、棚が落ちて事故死したように見せた。ノーマは人一倍、支配したがる母親に見えるかもしれないが、単純に息子が心配で仕方ないからだともいえる。ノーマは性格が明るく、「わたしの周りには、なぜイカレタ男ばかり集まるの!」と激怒するシーンがあるが、これには思わず笑う。彼女は正直で計算高く、狡猾かと思えば情にもろい。そんな女性の振り子のような感性を、ヴェラはしっかり飲み込んで演じています▼学級で孤立しているノーマンを、担任はセラピーを受けるように勧め、ノーマが付き添っていく。ところがセラピストから「あなたもセラピーを受けたらどうですか」といわれる。医師の質問に、ノーマンより先にノーマが答えてしまうからだ。「ノーマンはいつまでも子供ではない。次回はノーマン一人で来させてください」としっかり注意され、面白くない。同級生のエマの父親は全米で有数な剥製師だ。ノーマンは剥製作りの聖地な作業に引き込まれる。これまたノーマは心穏やかではない。すぐ父親を訪ね、「あの子は普通と違っているのです。周囲に馴染めずすぐカッとなります。フリーク(異常)と言われるのを嫌がっています」父親は「詩を書く人は少ないが詩は必要です」と答え、よくわからんが、ノーマは納得したらしい。カッとなるのはノーマも人後に落ちない。ディランがせっかくモーテルの開業前に予約を取ってやろうと(彼は実は母親思いなのです)、若いバンドの宿泊客を連れてきたのに、ノーマは彼らが大麻を吸っていると叱りつける。「バカなこというな、この町が潤っているのは大麻のおかげだ」と若い連中は取り合わないが「わたしの敷地では許さない」ノーマはガンとして引かず、息子たちも、この母親だけはどうしようもないと諦めている▼ノーマンに悲劇は訪れつつあった。彼は初体験の相手、ブラッドリーに恋心を打ち明け、真剣な付き合いをしてほしいと頼むが、ブラッドリーにしたら出来心だけで寝たまでで、真剣なんていわれ困ってしまう。ごめんなさい、ごめんなさいと謝るが、ノーマンにしたらショックだ。あの歓喜の夜は出来心だったのか。エマはノーマンを慰める。エマはノーマンを好きなのだが、自分は重い肺の病気を抱えている。恋の進展は見込めない。ところが母ノーマはエマが好きなのだ。あれほどノーマンに近づく女性を嫌うノーマが、モーテルの仕事をエマに手伝ってもらうくらい気に入っている。エマも性格の難しいノーマとなぜか気が合い、色っぽいとか、セクシーだとかいわれるノーマを、ひとつも色メガネで見ない。エマは初対面のとき、ノーマをひとつも警戒せず抱きついた。ノーマは戸惑い、どう応えようか、両手を宙に浮かせていたが、やがてその顔に微笑が浮かび、しっかりエマを抱きしめる。もし息子がエマと付き合うのなら文句なく、ノーマは背中を押すのである。うがった見方をすれば、エマはせいぜい27歳くらいで死んでしまうからか▼ブラッドリーから一方的に別れを告げられたノーマンは、深く傷ついた。担任の女教師に暴言を吐き許可なく早退する。女教師はノーマンが贔屓である。なにくれとつきまとい面倒を見ようとするが、ノーマンは邪険だ。母親の危惧は当たり、ノーマンは次第に気を失う頻度が増えていく。その間の記憶はなく、気がついたときは自分がなにをしたか覚えていない。ノーマの不安と呼応するように、ドラマは「シーズン2」に入っていきます。

 

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