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シネマ365日

2016年10月23日

特集「腐女子が萌える」⑥
ベイツ・モーテル サイコキラーの覚醒(下)(2014年〜 サスペンス映画)

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出演 ヴェラ・ファーミガ/フレディ・ハイモア

 

シネマ365日 No.1913

愛の闇の深さ 

特集「腐女子が萌える映画」

主役ノーマン・ベイツのフレディ・ハイモアって腐女子好みだと思うわ。ソフトな顔立ちで放っておけないタイプです。感心しながら見ていることは、次回に引っ張っていくエピソード(これ、テレビ映画です)のための、ノーマンと母ノーマ(ヴェラ・ファーミガ)の「母子もの」のネタが全然、尽きないことね。「2」も十話のエピソードから成り立っています。ほぼその一話ごとに「いつも一緒よ、愛している」「僕も、ママ」というセリフがどこかに入る。本作はノーマンが怒って家出します。理由は「僕は異常なのでしょ。それをママは知っているのに隠していたでしょ。ママは僕の信頼を裏切った。そんなママを信用できない。今のママは僕とは違う人間になったのだ。全部親子ゲームだった。誰よりも強い愛で結ばれたフリをしていたんだ」「その愛は本物よ!」。ママは僕とは違う人間になったというのは、一心同体ではないと感じた、ということでしょうね▼兄貴のディランは、町を二分する麻薬組織の、どっちものボスが倒れ、大麻の取引を牛耳るトップの立場になる。それというのも、一方がノーマンを誘拐し、ノーマに脅しをかけ、息子を返して欲しければディランにボスを殺させろと指示してきたのだ。ノーマはディランの事務所(大麻畑のそばにある小屋みたいなものだが)に走り、理由を言い、「だから殺して!」と遅疑なくディランに頼むのだ。いきなり、そんな、無理だよ、できないよ、と長男はビビるが最強の母親は有無を言わせない、「でなきゃノーマンが殺されるのよ!」選択の余地なしである。半分成り行きで敵方のボスはうまく死んでくれた、誘拐されたノーマンを探しに兄貴と保安官は森にいく。ノーマンは箱に閉じ込められ、ヨレヨレだったけど命には別状ない。ノーマは病院に駆けつけ「あなたにもしものことがあったら、わたしも生きていけない」。それにしてもどこまで世話の焼ける息子だろう▼本作の正気の部分を受け持つのがディランである。ノーマンは監禁状態の緊張で、失っていた記憶を取り戻す。自分が女教師を殺したことを思い出す。実はママ…ママは認めたくはなかったが、息子の異常は疑いがない、いつかもっと大事件を引き起こす、ゆえにカナダに行くと飛行機の手配をし、ディランに今まであなたにつれなく当たってゴメンなさい、こんな母親なのにあなたは助けてくれた、あなたは私の宝よ、というのだ。ディランは母親が自分を見てくれさえしたら満足だったのだから、しっかりママを抱きしめ「ノーマンが病気なら治療しなくちゃダメだ」と、この映画で数少ない冷静なセリフを聞かしてくれる。もう一人「正気の部分」を受け持つのはエマだ。彼女はノーマを母親のように慕い、モーテルの受付を手伝っている。家族経営のモーテルを、自分も家族の一員だという気持ちでいたのに、ノーマもノーマンも隠し事をしている。息子が人を殺したなんて、気軽に言えるものじゃないと思うが、正直で誠実なエマにすればどんなこともいってほしかったと、疎外感ひとしおで、自分は必要とされていないから辞めるというのだ。ノーマンは母親が実の兄にレイプされ、ディランを生んだ事実を打ち明け、ママは君が好きだよ、力になってあげて欲しいと頼む。純真なエマは辛かったノーマの10代を思いやり、泣いてしまう。もちろん辞意は撤回よ▼女教師殺害犯を保安官ロマロは逮捕した。本来なら事件解決だが、検出した2種の精液の一つがノーマンのDNAと一致したと鑑識が報告した。ノーマンは殺人のあった直前に女教師とセックスしたことになる。保安官がそれをノーマに告げると、母親は泣き崩れる。息子が以前記憶喪失したときは父親を殺した、今度もそうだとノーマは疑わない。もう一つはノーマンがセックスしたことで、自分から離れていく喪失感があったと思える。事実を明らかにするために、ノーマンはウソ発見器で調べられることになった。「はい」「いいえ」で答え、「女教師を殺しましたか」の質問になった。沈黙。ノーマンの隣にノーマの幻が現れこう囁いた。「ノーマン、大事な話があるの。あなたは殺していないわ。わたしが殺したの。いつもそばにいるわ。何があってもあなたを守るわ」…そうか、ママだったのか。ノーマンは冷静に、自信を持って答える。「いいえ」▼この映画は「サイコ」のリメイクではなく、ノーマを描くことにした、と製作や監督が言っているように、ノーマに大きく比重が置かれています。サイコ・サスペンスの形をとったラブストーリーです。狂気にはまっていくノーマン・ベイツが痛ましい。それを必死で守ろうとするノーマが、愛の闇の深さゆえに、また痛ましい。ヴェラ・ファーミガが、逸脱はしているが一途な、同情を持って接すべき母親を、フレディ・ハイモアが次第に不気味な存在を示してシリーズ快調です。シーズン「4」「5」まで決定しています。

 

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