女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss
  • ブックマーク

シネマ365日

2016年10月24日

特集「腐女子が萌える」⑦
パヒューム ある人殺しの物語(2007年 ホラー映画)

Pocket
LINEで送る

監督 トム・ティクヴァ

出演 ベン・ウィショー/カロリーネ・ヘルフルト/レイチェル・ハード=ウッド

 

シネマ365日 No.1914

ベンを守る会 

特集「腐女子が萌える映画」

この映画、原作を読んだ段階であまり好きじゃなかったから、どうしようかな、と思っていたのだけど、監督がトム・ティクヴァ、ジャン=バティストにベン・ウィショーだったので見ることにしました。トム・ティクヴァは「ヘヴン」「ラン・ローラ・ラン」の監督ですね。前者ではケイト・ブランシェットをスキンヘッドに、後者ではフランカ・ポテンテを燃える赤毛の女にしました。彼は赤毛が好きみたいで、本作でも、ジャン=バティストの運命を決める果物売りの少女は赤毛です。気が進まなかった理由は、いくら究極の香水づくりのためとはいえ、13人も若い女性を殺す変態の主人公がおぞましかったこと。おまけに完成した「愛の香水」は、絞首台の周辺を埋めた数百人の見物人が、愛に目覚め、あれよ、あれよという間に欲求もだし難く、全員がその場で集団セックスに至るという、荒唐無稽の顛末なのだ。何百人のエキストラが青空の下、全裸で絡み合うのは壮観ではありましたが、やたらバカバカしく、暑苦しかったわね▼人間離れした臭覚の持ち主、ジャン=バティストはパリの魚市場で産み落とされ、母親は絞首刑、自身は孤児院で不幸な少年期を送ります。自分に並外れた臭覚があることに気づき、香水調合師に弟子入りし、メキメキ調合の腕をあげるが、師匠からこの世でたったひとつ、香水の奇跡であり、秘儀である「13番目の香水」はまだ誰も作れていないと聞き、奥義を極めようと香水の本場、グラースへ行く。そこで果物売りの少女のエもいえぬ体臭に魅了され、後をつけ、思い切って近づくのですが、驚いた少女が抵抗し、うろたえたジャン=バティストが口を塞いでいるうちに、窒息死してしまう。少女が死ぬと体臭も消えた。ジャン=バティストは香りの保存技術の開発にのめり込み、巡り合った天使の香りとその収集・保存に打ち込み13人も殺すのだ。頼まれもしない香水づくりのために、どこまで自分勝手な奴だろう▼ところがこの役のベン・ウィショーが絶品なのだ。やせ細った体躯に(栄養失調寸前の肉体である)暗い眼窩、地下の工房で暮らす生活ゆえ、皮膚は青白く髪はボシャボシャ、出歩くのは夜、人と口を利く機会は絶無だ。かわいそうにも思うのよ。彼を人間らしく扱ってあげる誰か一人でもいて、普通の会話や挨拶ができれば、可愛い女の子に出会って「僕は香水の調合師、君のいい匂いをちょっと採集させてくれないか」とさえ言っていれば、まさか運命が狂うことはなかったのよ。若い男だもの、女の子に興味あるのは自然だわ…とばかり、「ベン・ウィショーを守る会」が結成されてもおかしくないくらい、腐女子が萌えそうな男子なのである。それに果物籠を持った少女がカロリーネ・ヘアフルトだ。「シネマ365日」では「ビタースウィート」と「パッション」で主役を演じています。本作の女優陣は、きれいなヌードですがみな死体。二人だけ、レイチェル・ハード=ウッドとカロリーネ・ヘアフルトが生きています。レイチェルは地元グラースのセレブの商人の娘ローラです。ジャン=バティスタが果物売りの少女の匂いをローラに見出し、手に入れようと付け回し、結局殺してしまう。役柄からいえばヒロインはローラなのですが、セリフがほとんどなく、あっというまに退場してしまうカロリーネのほうが印象に残りました▼ベン・ウィショーは「007」の「Q」で注目を集めましたが、それだけではない、何といっても彼本来の繊細な感性が生きたのは「追憶と、踊りながら」でした。一緒に住むゲイのパートナーが死んで、介護ホームにいる彼の母親をベン・ウィショーが訪ねる、恋人はベンというゲイの相手がいることを隠していた。母親はベンに会って、息子はベンと一緒に住むために自分を遠ざけたのだと思い、心を閉ざす。そんなヒダの深い役にじっくり取り組んでいました。彼は2012年代理人を通じて同性婚したことをコメントしました。理由はベンが度々ゲイの役柄を演じ、人気俳優として注目されることで、ネット上に憶測が広がっていたことから、公表に踏み切ったそうです。

 

Pocket
LINEで送る