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特集「ナンセンスは素敵だ」

2016年10月30日

特集「ナンセンスは素敵だ3」⑤
変人村(2006年 日本未公開)

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監督 キム・シャピロン

出演 ヴァンサン・カッセル/ロキサーヌ・メスキダ

 

シネマ365日 No.1920

怒る気力もない

正真正銘、くだらん映画だけど、最後まで見てしまうと、くそバカらしさの中にも、さらに「たわけ」の極致みたいなものがあるとわかる映画ですね。半分負け惜しみですが(笑)。クリスマス・イヴの夜、クラブで男3人が女の子ふたり、ヤスミンとエーヴ(ロキサーヌ・メスキダ)をナンパする。5人は車に乗ってエーヴの家に行く。着いたのは朝だ。なんと遠い家だ。野道に農夫が現れる。エーヴは「うちの使用人のジョゼフ」だという。ジョゼフ(ヴァンサン・カッセル)が歯をむき出し、大げさなジェスチャーでゲタゲタ笑う。彼は怪力で、妙に馴れ馴れしい。ヴァンサン・カッセルが現れた途端、映画は怪奇ホラー調に彩りが一変。粗筋なんて説明するのも馬鹿げています。女の子を見たらヨダレを垂らしそうな男子3人を、郊外の家まで連れてくるのがエーヴの役。ジョゼフには身重の妻がいて、クリスマス・イヴの、真夜中の零時に赤ん坊を産み落とすことになっている。原題は「サタン」。本作はサタンらしき魔物との対決でもあるのか、エクソシストの世界にでも入っていくのかと思うと大間違い▼ウスノロのジョゼフが、男子3人、特に白人のバートにベタベタと絡みつき、温泉に行こうとか、しつこく纏わりつく。エーヴの父は人形制作師で、工房には大小さまざまな人形の頭、ボディ、目鼻のまだ付いていない顔、コスチューム、制作道具あれこれが所狭し、と詰まっている。ジョゼフは客人たちを温泉に連れて行く。岩場で囲まれた温泉には地元の若者や女の子が来る。これがみな、見事なばかりにいかれていて、ひたすらセックスに燃える高校生くらいの年だ。ジョゼフにしてみるとガキ同様の連中と馬鹿騒ぎしたのち追いちらし、街の男子3人は足元の明るいうちに、さっさと帰ればいいものを、目当てがエーヴとヤスミンであるから、もう少し、もう少し、と意地汚く長居するうち、事態は妙な方向へ。ジョゼフは人形作りのくるくるカーブしたナイフをいじり、あとは「目だ、目だ」と独り言をいう。ジョゼフの妻は(これがてっきりモニカ・ベルッチだと思ったが)、顔を見せず、大きなお腹を抱えてベッドであえいでいる。地元のガキらがいつの間にか家の中に侵入していたり、淫らな目つきで男たちを見ていた女の子が、前後の脈絡は忘れたが(もともとなかったのかもしれない)血まみれになって階段から降りてくる。時刻はだんだん真夜中に。ムクッと起き上がった妊婦はお腹を抱えヨタヨタと廊下を歩き、突っ立ったまま壮大に破水したかと思うと、あっという間に「ゴットン」大きな音を立てて赤ん坊を産み落とすのだ▼エーヴはエーヴで、別室で男たちに囲まれ恍惚の表情、と言いたいが実質何もさせず、男たちは身をよじるだけ。カラスがネズミを引き裂いたり、ジョゼフが蛇を首に巻きつけたり、次々気色悪い、意味不明の映像が映し出され、それらをつなぎ合わせて考えるに、エーヴ、ジョゼフ、その妻、地元のガキらは、悪魔崇拝者の一族で、クリスマスの真夜中の赤ん坊誕生が彼らの祭典らしく、赤ん坊をあやす人形制作のため、毛髪、眼球、皮膚などが必要だった。そこでエーヴが町まで調達に出かけ、ウロウロとついてきた男たちを手に入れたわけ。かわいそうに、バートは目をくりぬかれ、後の男たちもボコボコにやられ、ヤスミンはどこで迷子になったか行方不明のまま放置、無事生まれた赤ん坊を抱き、ファミリーは揃って記念撮影、どこがいったい「サタン」の世界なのか。ジョゼフの妻はヴァンサン・カッセルの二役です。真っ赤なルージュを引いたヴァンサンが長い黒髪を垂らし、思い切りニヤついた顔でドアップになる。消えて、この悪趣味男。肝心のモニカ・ベルッチの出演とは。エーヴの家に行く途中、奴らは沿道のコンビニに押し込み強盗に入るのだけど、店主がわきめも降らず見ているテレビが吸血鬼の映画で、映っているヴァンパイアがベルッチなのだ。旦那のヴァンサンから、こんな映画に出ないかと誘われ、内容を聞いて「お断り」された。そこで女房の出演ではなく、彼女が出演した映画を使ったってことね。詐欺じゃない。男たちのH好きが身を滅ぼしたってことなの? どうでもいいけど、気力の残っている方は怒ったらいいわ。

 

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