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特集「ベストコレクション」

2016年11月9日

特集「凍れる月のベストコレクション」⑨
アデライン、100年目の恋(2015年 ファンタジー映画)

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監督 リー・トランド・クリーガー

出演 ブレイク・ライヴリー/ハリソン・フォード/エレン・バーンスティン

 

シネマ365日 No.1930

置き去りにされる不幸 

特集「凍れる月のベストコレクション」

いつまでも若く美しく。女性の永遠の願いですから、映画のテーマとしては新しいものじゃないです。そのものズバリ「永遠に美しく」なんて作品もありましたし。永遠の美と若さに執着する、メリル・ストリープとゴールディ・ホーンを、おぞましく描いたブラック・コメディでした。劇中、女性ふたりに振り回されたブルース・ウィリスが「不老不死なんて欲しくない、友だちも家族も死んでしまい、自分だけ生き残って何が楽しい、僕は死んで本望だ」と叫ぶシーンがとても新鮮でした。本作は雷の落ちた電圧と電流で遺伝子が組み変わり、年を取らなくなったアデラインの物語。いつまでも若く、美しい。しまいに娘を追い越し、娘がアデラインの祖母といっていい年齢になっても、アデラインは29歳のままだ。女性ならみな憧れるはずの状態がそうはいかない▼自分の本当の年齢がわかると、あまりの若さに政府は実験のモルモットにする、好奇の目も避けられない、とても通常の市民生活は送れない。アデラインは10年ごとに引っ越し、パスポートを偽造し、誰も知り合いのいない土地で生活をし直すのが、数十年の習慣になった。娘とは早い段階で別居やむなきに至った。辛かったが娘は理解し、母親を支えるのだ。この映画はよくできた人ばかり登場するハート・ウォーミングな映画です。初めから終わりまで安心してみておれるはずですが、アデラインの秘密が、恋人のエリスとの間でいつ明らかになるか、がけっこう巧妙な運びになっていて、最後まで退屈させません。アデラインは結局、恋人に年をとらない自分の状態を打ち開け、結婚するのですけどね。アデラインの青春時代の恋の相手ウィリアム(ハリソン・フォード)が、エリスの父親でした。アデラインはそのときは結婚に踏み切れなくてウィリアムの前から姿を消してしまう。でも再会した今、手のひらに残る傷跡を見て、年こそとっていないがまちがいなく、元恋人のアデラインだとウィリアムはわかる▼エリスとアデラインは結婚した。つまりアデラインは父親とその息子とどっちもと関係する、きわどい妻になるのですが本作はファンタジーですから、ドロドロには触れない。父親はあくまで嫁を愛し、それ以上に妻を愛していると力説し、結婚記念日を祝う良きパパであり夫を演じる。心の中は知らないけど。アデラインはまたもや車の事故に遭い、仮死状態になるが心臓に施された電気ショックが、組み違った遺伝子を解放したとかなんとか、よくわからないけれどまことしやかな説明で、アデラインはある日毛髪に一本の白髪を発見する。なんと、めでたく年を取れる体になったのだ、いうことで映画はおしまい。なんだ、これ…というなかれ。年をとらないのはドラキュラだけかと思っていたけど、ゲノム編集がなされる時代には、こういう設定もあったのだ。さらばトワイライトよ▼じゃ、つまりこういうことなのね。わたしたちが年だ、年だ、と嘆くのはまちがいなのよ。年をとるのは自然で、年をとらないことは人間にとって最大の不幸なのだ、なんとなればそれはすべて愛する人から置き去りにされる運命なのだから。アデラインの娘を演じるのがエレン・バーンスティンです。本来なら自分の死んだあと、残された子供を不憫に思うのが親ですが、逆。老いた娘は自分が死んだあと、年をとらない母はどうなるだろうと死んでも死にきれない。この映画は老いも加齢も受け入れるのが幸福の一つの条件だと言っているわけね。それにしちゃ、アデラインが美人すぎるから「あんな美人のままいられるなら、身分詐称だろうと出生偽造だろうと、なんだってやってやるわよ」なんて、蛮勇をふるう女性が現れなければいいけど。

 

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