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特集「ベストコレクション」

2016年11月16日

特集「凍れる月のベストコレクション」⑯
愛しき人生の作り方(2016年 家族映画)

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監督 ジャン=ポール・ルーヴ

出演 アニー・コルディ/ミシェル・ブラン

 

シネマ365日 No.1937

心やさしき家族 

息子たちが無断で自分の家を売却してしまった、おばあちゃんのマドレーヌ(アニー・コルディ)はショックで、介護施設から失踪する。おばあちゃんを一人住まいにしておくのは物騒だと、施設に入れたミシェル(ミシェル・ブラン)は大慌て。ロマンはおばあちゃん思いのいい孫だ。ロマンは夜勤でホテルの受付をしながら作家になるため小説を書いているが、あまりはかどっていない。失踪を聞いて驚き、あれこれ情報を集め、彼女は生まれ故郷のノルマンディーに向かったと確信、車を飛ばす。ノルマンディーとは、モーリス・ルブランのルパン「奇巌城」の舞台。荒々しい断崖が壁のように連なり、海に突き出た岩場の一部が空にそそり立ち「奇巌城」と呼ばれる。スクリーンで遠目にではあるが奇巌城の威容がわかる▼ミシェルに「仕立屋の恋」のミシェル・ブラン。定年で退職し、どこにも居場所がない。久しぶりに会社に行けば、誰も相手になってくれない。妻とレストランに行けば「メニューを1時間も眺めてまだ決まらないの?」ウェイターが来る。「お飲み物は」と訊く。「まだ決めていない」とミシェル。妻はさっさと「ハウス・ワイン、赤で」。おばあちゃんを施設に送る車の中で、ミシェルは気がとがめて喋りまくる。彼はほとほと自信喪失だ。妻はイケメンのカルチャー教室の教師に入れあげ、哀れな老犬を見るような目でミシェルに視線を投げる。息子ロマンは無事、ノルマンディーでおばあちゃんを探し出し、取るのもとりあえず両親に一報を入れた。胸をなでおろす夫に妻は「わたしは心配していなかったわ。強い人だもの。失踪は彼女らしいわ」。「こっちは迷惑だ」ぼやく夫に「あなたにはウンザリ。どう生きようと勝手でしょう。あなたと一緒に生きたくない。何もかも捨て、あなたから離れて生きるわ」「ひどいこというなよ。好きな人がいるのか。誰だ」「誠実でハンサムで、活力を与えてくれる人よ!」▼こちらはノルマンディー。戦争のため途中で辞めなければならなかった小学校に、もう一度行きたいという、おばあちゃんの希望を叶えるため、ロマンは二、三日滞在することにした。学校を訪問した彼は、話を聞いて、おばあちゃんを教室に招いてくれた女教師ルイーズに一目惚れする。家に電話し、様子を聞くと父は「母さんが出て行くというのだ。お前は母親を知らない。あれは肉食系だ。クーガー女だよ!」。ロマンが母親に事情を聞くと「そういえば慌てると思って、脅かしてやったのよ」。念願の小学校訪問を終え、祖母と孫はホテルに戻ってきた。そしておばあちゃんは倒れる…。ミシェルは妻のいう「活力を与えてくれる人」がてっきりカルチャー教室のヨガのインストラクターだと目当てをつけ、授業中のスタジオに怒鳴り込む。「きさま、女房に手を出したな。ただではおかん!」。インド人のインストラクターは呆気にとられ「宇宙に広がる邪魔をするな!」。ロマンは父と母の馴れ初めを聞いた。「教師になって間なしの時、下校時にマドモアゼル、と呼びかけた人がいたの。近づいてきて、あなたは美しすぎる、二度と会わない、そう言ってスタスタと行ってしまった。それがパパよ」。ミシェルに恋の記憶が呼び覚まされた…▼ま、ケチをつけるのがちょっと(マズイ)気がしてくる、よくできたいい映画ですね(笑)。だからもうやめますが、やっぱりアニー・コルディとミシェル・ブランがエンジンになっています。施設からさっさと失踪して、孫の顔を見て「やっと来たわね」なんていう、おばあちゃん、腹がすわっています。グズ亭主に幻滅して、ちょっとした喝を入れる女房、シャンタル・ロビーもはまり役でした。あとひとり、コンビニのレジのおじさん。ロマンが「あなたは僕がチョコレートを選ぶのがわかった。きっと先が読めるのだろう。どうしたら運命の人に出会える?」「待つな。待つのをやめて念じれば24時間以内に現れる」。試してみるか(笑)。挿入される歌詞もいいですね。「色褪せた恋/風になびく髪/盗まれた唇/儚い夢/あの日々の何が残っているだろう」。映画のよしあしとは別に、ヨーロッパ映画のこういうセンスって(チェッ、くそ)と、思いながら、してやられてしまうものがあるのよね。

 

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