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シネマ365日

2016年11月26日

特集「アクション愛」⑩
ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ(2008年 アクション映画)

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製作 ワーナー・ブラザース・テレビジョン

出演 レナ・ヘディ/サマー・グロー

 

シネマ365日 No.1947

美しいアクション 

actionLove

映画にはいろんな美意識の基準があります。俳優の美貌に恍惚とする、監督の力量に唸る、名優の演技に痺れる…アクション映画の場合、これは名作だと折り紙をつけたくなる要素とはなんだろう。目もくらむ筋肉か、五輪選手も裸足で逃げる瞬間速力か、スタントを自分でやるあっぱれな努力か。男性が主役の場合、先の要素のどれかに当てはまれば映画はヒットしている。女優ではどうだろう。アクション女優元祖、シガニー・ウィーヴァー、中興の祖ミラ・ジョヴォビッチ。最近では「ハンガーゲーム」のジェニファー・ローレンス、「ソルト」のアンジェリーナ・ジョリー、シャーリーズ・セロンも「マッド・マックス怒りのデス・ロード」とかエヴァ・グリーンの「300スリー・ハンドレッド」なんか見ると、彼女ら、けっこうアクション好きですね▼デミ・ムーアが「G.Iジェーン」で主演したとき、リドリー・スコット監督が、アン・バンクロフトにいわせたセリフがありました。「絹の靴下の似合う女がいいの」。無敵の米軍海兵隊に戦略上、女子が入隊する、どんな女を選べばいいかという質問にバンクロフトが答えたものだ。強い・頑健・タフ。もちろん欠くべからざる要素であるが、プラス「エレガント」。記憶に残っているのは「アサシン」のブリジット・フォンダ、「ハンナ」のシアーシャ・ローナン、「コロンビアーナ」のゾーイ・サルダナ…そうそう、リンダ・ハミルトンも一言いいたい。「ターミネーター」は彼女が出なくなってから、いっぺんにつまらなくなりました(笑)。アンジーも「トゥームレイダー」のやたらイキのいいばかりだったアクションに比べたら、「ソルト」は格段にエレガントになっていました。エレガントとはアクション映画の美意識のひとつの基準である、と思うのは行き過ぎか▼ごちゃごちゃいっているが、本作と何の関係があるのか。ヒロインは二人。未来から送り込まれた殺人マシンが狙う、サラ・コナー(レナ・ヘディ)と、彼女の息子ジョンを守る本編の少女型ターミネーター、キャメロン(サマー・グロー)だ。一言でいうなら、この映画は「母物」です。すべてのエピソードはこのオープニングで始まります。「息子は将来、人類を率いて戦うリーダーとなる。敵は世界を滅ぼすスカイネット。時を超えマシンが現れた。息子を狙う者と守る者が、スカイネット開発阻止のため今日も戦う。未来を変え息子の運命を変えるべく、人類を救う戦いがいま始まる」。荘厳でしょ。ここであげたいエレガントの要素とは、レナ・ヘディが劇中何度かモノローグで述べる「語り」と、サマー・グローのダンスである。もちろん格闘技も銃器の扱いもスタイリッシュで、かなり練習したにちがいない。レナはちょっとしゃがれた声で、お世辞にも色っぽいといえない几帳面な口調で、まるで古典劇のように読み上げる。脚本の言葉がいいと思うのです「息子は中年米で訓練を積んだ。勝つために必要なのは忍耐と大胆さ、計算、なにより犠牲を払う覚悟」なんて格調高い▼「幼いジョンはわたしのアゴに触れて眠り、わたしはそれを見ると心が安らぎ、幸せを感じた。そのまま永遠に時を止めたかった。だが待ち受ける未来からは我が息子を守れない。運命は訪れる。そして終末が来る…」。「人はみな仮面をかぶる。愛のため、周りとつながりたいため。すり切れた心の実情は触らせない。自分を偽り、絆を求める。そしていちばん大事な人に気づかない」「悪人は仮面の奥に潜んでいる。本物の悪は恐怖さえ感じさせない。我われは仮面の奥から目を背ける。そして気付いたときには悲劇はすぐそこに迫っている」▼でもね、親の苦労、子知らず。厳しい母親の訓練やしつけにジョンは反抗的である。サラは嘆く。「胎児は母親と同じ夢を見るという。母親の愛情や自分への期待が胎内で子供に伝わるからこそ、出生児は母を求めて泣くのだろう。だがその子の運命もわかるとしたら。大勢の命を背負い、狙われる息子をひたすら守るのが母の仕事になる。厳しく当たる母親を、理解してくれるか。ともに見る夢が悪夢だとしても、母の愛を感じてくれるのか」。この親子が次々展開するエピソードとは、サラとジョンの愛情確認みたいなところがあります▼キャメロンは文字通り「少女型」ターミネーターです。「ターミネーター3」のクリスタナ・ローケンとは全然ちがう子供っぽさ。送り込まれたばかりであるから、人間社会の習慣やルールも知らない。サラの頼み事も「それは任務ではない」と断る。所詮マシンだから芸術なんかわからないと軽蔑され、キャメロンは学習する。彼女はジョンの妹という設定です。学校が終わってバレエ教室に行きたちまち上達する。サマー・グローはもともとバレリーナ志望で、子供のときからレッスンを受けていた。家に帰り一人で鏡に向かって踊るシーンを見て、この女優の肢体の美しさとダンスの素質を、もっと生かすアクション・シーンを撮るべきだと思いました。

 

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