女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss
  • ブックマーク

特集「B級映画に愛をこめて」

2016年11月28日

特集「B級映画に愛を込めて4」②
デンジャラス・ラン(2012年 アクション映画)

Pocket
LINEで送る

監督 ダニエル・エスピノーサ

出演 デンゼル・ワシントン/ライアン・レイノルズ/ヴェラ・ファーミガ

 

シネマ365日 No.1949

失敗するたび成功に近づく 

デンゼル・ワシントンが、息子の学ぶペンシルベニア大学の卒業講演に招かれたときのこと。彼のキャリアに期待されがちな、アカデミー賞受賞の裏話とか、有名女優と共演したときの裏話とか、トップを維持するための人脈つくりとか、健康維持のトレーニングとかにふれず、自分が払っている高い授業料が適切に使われているかどうかに関心があったから、オファを受けた、一流大学に学ぶ諸君に敬意を払い、ハリウッドのゴシップネタは話さないと決めてきた、とジャブをかました。蛇足ですが、同学はアイビー・リーグの一校であり、合格率9.9%の全米最難関大学の一つです。日本人ではノーベル化学賞の白川英樹、俳優ではブルース・ダーン(「ジャンゴ繋がれざる者」)、エリザベス・バンクス(「ピッチ・パーフェクト2」)らがいます▼彼は成功例でなく、過去の失敗例を具体的に上げ、自分の目的が見つからなくて大学を転々としたこと、映画界を目指したものの、オーディションに落ち続け、気の利いたセリフの応酬話法なんか、何一つできなかったこと、ここまで来たのは、失敗するたびに、これで成功に一歩近づいたのだと思うことをやめなかったから。「トーマス・エジソンは実験を1000回失敗しました。1001回目に電球を発明したのです。わたしは知りませんでした。彼は前向きに倒れ続けた。成功へ一つ近づいたと考えていたのです。でも成功に至る1000回の失敗を知る人はほとんどいません。俳優業は失敗の連続です。でもそれは問題ではなく、古いことわざにあるように、床屋で辛抱強く待っていれば、いつか自分の髪を刈ってもらえるからです。運は巡ってきます。そしてわたしは運をつかみました。わたしがいいたいのは、みなさんは成功するための教育を受けています。でも失敗する度胸はありますか?」▼映画に関係ない、こんな話をなんで持ち出したかというと、デンゼルの人柄がよく表れていたのと、本作がイマイチ面白くなかった、というより、「イコライザー」の胸のすくアクションや、同じ悪役でも「トレーニングデイ」の底意地の悪さが本作には薄い。CIAを裏切ったベテランの工作員がデンゼル、彼を追う新人がライアン・レイノルズで、組み合わせから言えば、ベテランと新人という構成は「トレーニングデイ」と一緒なのですけど、こっちは妙に物分かりのいい悪役で、天才的心理作戦で敵の重要人物を寝返りさせる、という、それこそ見せて欲しかった「頭脳のアクション」シーンがサラッと片付けられているし、レイノルズ売り出しのためのサポート役なのかなと思ったくらい。この物足りなさは最後まで祟り、結局デンゼルは殺されちゃうのだけど、途中で説教垂れたりする、ノーマルな男の死に方なのよね。体を動かすアクションにしても、「イコライザー」の神業のような体技を知れば拍子抜けするにちがいない。映画そのものはヒットしたけれど、デンゼルはきっと貴重な「失敗例」の一つに数えたと思う。監督のダニエル・エスピノーサは本作の後「チャイルド44森に消えた子供たち」をとった監督です。重厚な造りを特徴とする有能な人で、物足りなかったのは彼の監督術ではなく、デンゼルの役作りに誤差が生じたとしか思えない。本作の続編が作られるという話があったけど、まさかデンゼルが続投ではないでしょうね。当然の事ながら、本作の活躍でめでたく正工作員に昇格したライアン・レイノルズが頑張ればいいわ。劇中では、仕事が暇なばかりに妻に電話ばっかりして、いったい「お主、いつ仕事するのじゃ」といいたくなりそうなキャラでスタートし、後半やっと盛り返します。でもそれはまだいい。ヴェラ・ファーミガなんか盛り返すヒマもない。CIAの職員で出演しますが、これまた「なんで出たのじゃ」といいたくなるスカみたいな役で、味方の中にいた裏切り者にあっさり殺されちゃう。女優って、顔さえ出せばいいってものじゃないでしょうが。要は、デンゼルの悪役が本来のできじゃなかった、もひとつひどいのはヴェラ・ファーミガだった、好きな二人の俳優が冴えなかったのでブツブツ言っているだけ。寝よ。

 

Pocket
LINEで送る