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特集「B級映画に愛をこめて」

2016年11月29日

特集「B級映画に愛を込めて4」③
ロフト.(2009年 ミステリー映画)

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監督 エリク・ヴァン・ローイ

出演 ケーン・デ・ボーウ/ブルーノ・ヴァンデン・ブルーク

 

シネマ365日 No.1950

しわ寄せはいつも弱者 

男の隠れ家好きと浮気癖は、洋の東西を問いませんね。愛人との情事に使う、秘密のロフトで全裸の女が手錠をはめられ血の海で死んでいた、発見したルク(ブルーノ・ヴァンデン・ブルーク)が、ロフトを共有する他の4人を召集した、設計士のビンセント、精神科医のクリス、クリスの弟フィリップ、会社員のマルニクスだ。鍵は5人しか持っていない。誰かが女を呼び情事の後で殺した、犯人は5人の中の一人。疑心暗鬼になり、交互に自分は殺していないと言い張り、警察に知らせよう、いやそんなことをしたら妻にばれる、世間に知られたら都合悪い、など勝手なことを言い合ううち、新事実がポロポロ表れる。盗撮DVDまで出てくる。おかげで犯人がわかった…はずなのだが、やり手の女性刑事がふと漏らす「ビンセントが仲間を責めるわけは、サラ殺害の真相を隠すためではないの? 死因は睡眠薬じゃなかった。手首も自分で切ったものじゃなかった。ためらい傷がどこにもなかった」▼プロセスが二転三転するうち、それぞれの家庭の内情が暴かれていく。夫婦仲がいいカップルは一組もないが、ルクだけは糖尿病の妻を抱え、看病と子育てを分担している。彼は愛妻家だし家族思いだ。仲間入りはしたが、所詮、妻に隠れて恋愛などできるタイプではない。男たちの年齢は中年以上だ。結婚してン10年、妻以外の女性に目が吸い付けられるようになっている。クリスは真面目な医者だが妻との間は冷えていた。弟のフィリップは妹シャロンと、父親に虐待され施設に預けられて育った。兄のクリスは大学にいて家に帰らず、フィリップは一人で妹を守り、今でもシャロンを溺愛している。妻は建築王と呼ばれる大物の娘。フィリップは逆玉の義理の息子である。マルニクスはクリスらの親友だが、彼が喋り出すと、一緒にいるのが恥ずかしいくらい品下る男。妻にも愛想を尽かされ離婚手続きに入っている。ビンセントは建築設計士だ。ロフトは彼の設計したビルの一室である。次から次、女と関係するプレーボーイの野心家だ▼彼らは女好きなのに女房が怖くて仕方ない。口々に人のせいにしているうちに「裏切られて傷ついた者同士が手を組めばどうなると思う?」と誰かがいい「わかった、俺たちを陥れようとしているのは女房たちだ」となった。全員しっかりうなずく。思い当たる理由が回想シーンで紹介される。堅物のクリス先生でさえ、市長の個人秘書で、実は娼婦のアンにフラフラ。一夜限りの関係以上になりそうである。マルニクスは妻が荷物をまとめて出て行ったと大騒ぎ。彼女がいないと俺はないもできないのだ、とわめくうるさい男。妻は出て行って正解だわ。5人が現場でなすりあいしているうちにビンセントが昏倒する。彼は4人の合意で、一服盛られたのだ。殺された女性サラはビンセントの情婦だった。ルクはしかしサラに惹かれていた。ルクはサラにいう「僕は君を傷つけない、つきあってくれればわかる、ビンセントのことは忘れろ」でもサラは「あなたとの付き合いはありえないわ。来世ではあるかもね」女にだらしない、性格が冷たくても、刺激のある男のほうがサラはよかったわけね▼なぜビンセントは4人の男たちを敵に回したのか。理由はルクのDVDにあった。そこに隠し撮りされていた映像には、ビンセントが4人の男の妻たちと妹と関係していたのだ。ルール違反も甚だしい。特にフィリップは処女だった妹を陵辱され、怒り狂う。だが警察の尋問で、サラは今朝まで生きていたことがわかる。死亡したのは手首を切ってからだった。自殺らしく見せるため手首を切る工作をしたのはフィリップである。ビンセントが昨夜部屋を出るとき、サラは生きていたというのは本当で、その後、殺されたのだ。仕組んだのはルクだ。サラに手ひどく断られた腹いせに彼女を殺し、ビンセントのせいにしようとした。ルクは「妻と息子に愛していたと伝えてくれ」と言い残し、ビルから飛び降りる。ビンセントは無罪放免、クリスはアンと再出発、フィリップは裁判を受け、マルニクスは妻と和解する。決して後味のいい映画ではないけれど、いちばん罪深い、いやらしいクズ男がお咎めなし、苦労性でおとなしいルクが、魔が差して貧乏クジ。弱い者のところにしわ寄せが来る、現実の辛い人生がよく滲んでいたわ。

 

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